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スイス・ジュネーブ、「空飛ぶタクシー」導入に向けた実験都市に名乗り

佐藤仁学術研究員・著述家
スイス・ジュネーブの上空(写真:アフロ)

 スイスのジュネーブ市当局は2018年5月、ジュネーブが「空飛ぶタクシー」の実現に向けた調査実験(フィージビリティスタディ)の都市になることを明らかにした。EUが「空飛ぶタクシー」の導入を目指しており、ジュネーブが名乗りを上げた。

 「空飛ぶタクシー」とは運転手のいない自動運転の1人から数人乗りのドローン。空を飛ぶからタクシーではなくて飛行機と思われるだろうが「flying taxi」や「flying drone」などと呼ばれている。ジュネーブでは「空飛ぶタクシー」の実現に向けた技術的、法的、資金的な観点から「空飛ぶタクシー」の導入に向けた調査や実験を行っていく。

 「The Urban Air Mobilityプロジェクト」と呼ばれている今回のプロジェクト。「空飛ぶタクシー」は2030年頃の実用化を目指しており、欧州ではこの分野でのイニシアティブを取ろうとしている。

「ジュネーブはイノベーティブな都市だ」

 ジュネーブでは2017年11月にドローンに関するビジョンを出版しており、市長のPierre Maudet氏は「今回の取組は、ジュネーブでの『空飛ぶタクシー』導入に向けた最初の一歩。ジュネーブはイノベーティブな都市だ」と語っている。また、ジュネーブ市の交通当局Luc Barthassat氏は「道路の交通渋滞が年々ひどくなっている。当局としては新しいことにチャレンジしていかないといけない」とコメント。

 ジュネーブは欧州の都市の中でもヘルシンキと並んで「空飛ぶタクシー」の導入に積極的であり、技術的、環境的、経済的、学術的な観点から「空飛ぶタクシー」導入に向けた調査実験に適しているとジュネーブ市は述べている。

 ジュネーブ市としては2019年前半までに、最初の調査結果を出す予定で、結果がポジティブであれば2020年末まで調査や実験を続けていく。「空飛ぶタクシー」のプロトタイプは2018年3月にジュネーブのモーターショーでItalDesign社、オランダのPal-V Liberty社が展示していた。

 自動運転の車の本格的な導入が世界規模では進められているが、「空飛ぶタクシー」もだんだん現実味を帯びてきた。「空飛ぶタクシー」はドバイも積極的な導入意向を示しており、世界規模で本格的な導入に向けた実験や調査が進められている。まだ法的な観点や離着陸場所の問題などそれぞれの国や都市で解決しなければならない問題もあるが、「空飛ぶタクシー」で移動する日もそう遠くはないだろう。

 現在、欧州ではタクシーの運転手の多くが海外からの移民労働者だ。自動運転や「空飛ぶタクシー」が本格的に導入されると、彼らの職がなくなるかもしれない。また新たな課題も生まれるだろう。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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