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中国・西安、ショッピングモールの前に「歩きスマホ」専用レーン

佐藤仁学術研究員・著述家
(中国新聞網)

 中国でも、日本と同じように「歩きスマホ」は日常的な風景だ。中国でもWeChat(日本のLINEのようなサービス)から、決済までスマホ無しでは生活できなくなっている。

(中国新聞網)
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 中国陝西省西安のショッピングモールの前に「歩きスマホ専用レーン」が設置された。幅1メートルで長さ100メートル程度で、一般の歩道(「歩きスマホ」をしない人のための道路)と区別するために、赤・緑・青でペイントされており「低頭族専用道路(歩きスマホ専用レーン)」と書かれている。低頭族は「歩きスマホ」をする人の意味。

 近隣にはIT業界の企業も多く、「歩きスマホ」をしている人は非常に多い。また自動車の通りも多いので、ショッピングモールとしては、歩道に車を勝手に駐車させないようにすることも「歩きスマホ専用レーン」設置の目的の1つだった。

 ショッピングモールの広報担当者のCao Hanjia氏は「決して歩行者に『歩きスマホ』を推奨するために設置したのではない。モールとしては、歩きスマホを法的に規制をする立場にはない」とコメント。

 そのため「歩きスマホ専用レーン」の道路には「残りの人生は下を見ないで歩いて行こう!」など、「歩きスマホ」をしている人たちを皮肉った注意書きも書かれている。

年間68000人の歩行者が事故で死亡

 誰もやめようとしない中国での「歩きスマホ」は多くの事故にもつながっている。WHO(世界保健機関)によると、中国では年間68000人が歩行中に事故で死亡している。中国での道路での交通事故の死亡者が年間で26万人とのことなので、約4人に1人が歩行中に事故で死亡している。中国では2014年に重慶でも「歩きスマホ専用レーン」が設置されたことがあった。

 

西安の「歩きスマホ専用レーン」(NY Times)
西安の「歩きスマホ専用レーン」(NY Times)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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