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韓国、いっこうに減少しない「歩きスマホ」マンホールに女性が転落する事故も

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:アフロ)

 韓国での歩行者の事故の6割が「歩きスマホ」に起因するという韓国の報道があった。KBS Worldが報じているので下記に引用しておく。

「歩きスマホ」 歩行事故の6割占める

歩きながらスマートフォンを操作するいわゆる「歩きスマホ」が原因で発生する歩行中の事故が、全体の6割を占めていることがわかりました。

保険会社の三星(サムスン)火災によりますと、2014年から2016年の間、損害保険会社に報告された「歩行中の不注意による事故」の数は合わせて6340件に上りました。

なかでも、歩行中のスマートフォンの操作が原因で発生した事故の割合は全体の61.7%を占めているということです。

また、歩きスマホによる事故で負傷した人の5割を10代と20代の若者が占めていたほか、事故の71%が午前8時から9時までの時間帯で発生しています。

出典:韓国 KBS World(2018年5月14日)

「歩きスマホ」でマンホールに転落事故も発生

 韓国では日本よりも早くスマホが普及し、現在でも多くの人がスマホに夢中で、「歩きスマホ」も日本以上に問題になっている。

上にあっても目に入らないから、道路にも標識を設置したが・・・
上にあっても目に入らないから、道路にも標識を設置したが・・・
「歩きスマホ」注意喚起の標識 (Ed Jones)
「歩きスマホ」注意喚起の標識 (Ed Jones)

 ソウルでは2016年6月から「歩きスマホ」の注意喚起をした標識をソウル市内5カ所に試験的に300本設置した。標識には「歩行中のスマホに注意」と書かれていた。たくさんの標識を街中に設置していたが「歩きスマホ」で、神経はスマホに集中しているため標識は目に入らないだろう。そのためスマホを見ながら歩いていても、目に入るようにと、道路にも「歩きスマホ」注意喚起の標識を設置した。

 だが標識の効果はほとんどなかったようで、韓国での「歩きスマホ」はいっこうに減少していない。2018年4月には、ソウルで「歩きスマホ」をしていた20代女性がマンホールに転落して、足に怪我をする事故が発生。

50代以上の中高年の「歩きスマホ」も急増

 韓国KBSの報道では、事故の7割が朝8時から9時までということだが、朝の通勤・通学時に「歩きスマホ」をしているのだろう。負傷した人の5割が10代と20代の若者とのことだが、2017年夏には、50代以上の中高年の「歩きスマホ」が急増していると、韓国の現代海上交通気候環境研究所が調査結果を発表した。

 

 また2016年末に韓国の統計庁が発表した「韓国の社会動向」によると、スマホ過剰依存危険群は2011年には8.4%だったが、2015年には16.2%、2016年には17.9%と急増していることも報じられていた。また韓国の交通安全公団は、歩行中にスマホを使用していると事故発生率が76%上昇する調査結果も発表している。

 韓国でも「歩きスマホ」に対していろいろと対策を講じて、注意喚起を行ってはいるものの、老若男女、あらゆる人々があらゆる場所でスマホを見ながら歩いている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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