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Googleスウェーデン、「ホロコースト」と検索すると「反ユダヤ主義」のサイトが上位表示で炎上

佐藤仁学術研究員・著述家
スウェーデンでのネオナチ団体によるデモ(写真:ロイター/アフロ)

 ホロコーストとは第2次大戦時にナチスドイツがユダヤ人ら約600万人を殺害したこと。現在でも「ホロコーストはなかった」と主張する、いわゆる「ホロコースト否定」などが議論になっている。

Google「現在、対応中」

 そして2018年3月、スウェーデンのGoogleで「ホロコースト」と検索すると「反ユダヤ主義」や「ネオナチのプロパガンダ」、「ホロコースト否定」などに関するサイトが上位で表示されていた。スウェーデンのネオナチ団体「Nordic Resistance Movement」のブログも上位に表示されていた。スウェーデン在住のユダヤ人らが気がつき、スウェーデンでは炎上している。

 2018年3月12日にはGoogleが検索結果について、対応することを明らかにした。GoogleスウェーデンのスポークスマンのFarshad Shadloo氏は「我々も問題に気がつき、検索結果表示の見直しを対応をしている最中です」とコメントしている。

 Googleでは2016年12月に、「ホロコースト」を検索すると「ホロコースト否定」の記事やサイトが上位に表示されていたことから、検索アルゴリズムの見直しを行った。そのため「ホロコースト」で検索をしても、「反ユダヤ主義」や「ホロコースト否定」などの攻撃的なサイトが上位に表示されることは減少した。

 Googleの検索では結果が表示される上位のサイトにアクセスが集中する。そのため、検索結果で上位に表示されると、情報拡散の影響力はかなり大きい。スウェーデンの地元メディアは、Googleが検索の新たなアルゴリズムを導入したことによって、検索結果の表示が変わったのだろうと報じている。

「ナチズムは言論ではない。人類に対する犯罪だ」

 反ユダヤ主義の監視を行っている団体サイモン・ウィーゼンタール・センターは「Googleの問題について、スウェーデンの当局はヘイトスピーチの問題について再考すべきだ」とコメント。

 スウェーデンの法務大臣Morgan Johansson氏は地元の公共テレビ局SVTのインタビューに対して「我々には言論と表現の自由がある。しかしナチズムは言論ではない。人類に対する犯罪だ」と述べていた。

▼スウェーデンでのネオナチ団体「Nordic Resistance Movement」によるデモ(2017年9月、RT)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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