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Netflix、独自制作ドラマが人気で2017年も好調:米国外でも安定した収益の確立

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:Shutterstock/アフロ)

米国外での収益も安定してきたNetflix

 Netflixは2018年1月22日に2017年第4四半期(2017年10~12月)の業績を発表した。売上高は全世界で前年同期比売上高は33%増の32億8,575万ドル(約3,800億円)で、純利益は2.7倍の1億8,551万ドルだった。2017年での年間売上高は116億9,300万ドル(約1.3兆円)。

 この3か月で全世界で833万人の利用者を獲得。特にアメリカ国外での利用者が636万人増加と伸びが堅調だった。全世界190か国で展開しているNetflixだが、1年前まではアメリカ国外事業では赤字だったが、収益も安定してきた。

Netflixの四半期ごとの業績推移。Netflix発表資料を元に作成
Netflixの四半期ごとの業績推移。Netflix発表資料を元に作成
Netflixの四半期ごとの加入者推移。Netflix発表資料を元に作成
Netflixの四半期ごとの加入者推移。Netflix発表資料を元に作成

業績を支えるNetflixの独自ドラマ

 好調な業績の要因として独自制作ドラマの「The Crown(ザ・クラウン)」や「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」が世界規模で人気だった。また2017年Q4には「Godless (ゴッドレス-神の消えた町)」といった新作もリリースし、これらの人気も高い。Netflixが独自ドラマを制作開始して5年目になるが、2年連続で世界中で検索されたドラマのトップ5のうち3作品がNetflixの独自ドラマだった。

 2017年12月にディズニーが21世紀FOX(FOX)のエンタメ事業を約661億ドル(約7.4兆円)で買収することを明らかにした。その際にもディズニーのライバルとしてNetflixの名前がアメリカのメディアや投資家の間で上がっていた。それだけ従来からのメディア企業もNetflixの存在を無視できなくなっている。それはNetflixの動画コンテンツが視聴者を惹きつけているからだ。

 Netflixは2018年にはオリジナル動画のコンテンツ制作費用として70億ドル~80億ドル(約9,000億円)を投資することを明らかにしている。新しい動画コンテンツは、新規利用者の獲得と既存利用者のつなぎ止めには非常に重要で、新作品の制作費用の投資は止めることができない。

 アメリカではケーブルテレビ(CATV)の解約は続いているが、Netflixのような有料課金動画サービス(SVOD:Subscription Video On Demand)の加入者は増加している。Netflixのような動画サービスは、スマホで誰もがすぐに契約して視聴することも可能だが、解約も簡単にできる。そのため、加入者をどれだけつなぎ止められるかが重要になる。そしてつなぎ止めにとって鍵となるのが動画コンテンツだ。

 例えば、話題になった動画や新作を見たいためにNetflixに加入した人は、見終わったらすぐ解約してしまうかもしれない。解約されないためにも「次も見てみたい」と思わせるコンテンツをどれだけ多く配信しているかが問われる。

▼新作「Godless (ゴッドレス-神の消えた町)」も好調

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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