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Google、インドでスマホ「Pixel」普及のために実店舗を開設か

佐藤仁学術研究員・著述家
(Google IndiaのPixel2広告より)

 Googleは同社のスマホ「Pixel」シリーズの普及を目指して、インドで2018年後半に実店舗を開設するのではないかとインドのメディアEconomic Timesが報じている。人口12億人以上をかかえるインドは現在でも、年間で1億台以上のスマホが販売されており、中国に次いで世界で2番目にスマホ出荷が多い国で、これからも伸びが続く市場だ。

中国のスマホメーカーが圧倒的に強いインド市場

 インドで販売されているスマホのほとんどは100ドル~200ドル程度のミドルエンドだ。なかには50ドル程度のローエンドのスマホもある。そのため、Apple(iPhone)は人気があるが、高価なために購入できる層は限られておりシェアは高くない。そのため、インドに流通しているスマホのOSはほぼGoogleが提供しているAndroidだ。

 Googleはかつてはインドの地場メーカーMicromax、Karbonn、Spiceと提携して「Android One」を搭載した低価格のスマホの普及を目指していたが、現在のインド市場ではサムスン(韓国)、シャオミ(中国)、Lenovo(中国)、OPPO(中国)、vivo(中国)と中国メーカーが圧倒的に強い。Pixelシリーズは世界規模では人気があるが、決して安いスマホではない。

オンラインよりも実際に製品に触れることができる実店舗の強み

 インドでのGoogleのスマホはほとんどがオンラインでの販売だ。また今までにもインドで10店の「ポップアップストア」(モールなどで場所を借りた期間限定の売り場)を展開していたことがあったそうだが、今回は実店舗を開設するとのこと。ポップアップストアではPixel2のカメラの機能を顧客に知ってもらうために、暗室も用意していたそうだ。店舗では「Google Home」や「Chromecast」などGoogleの他の製品も販売される可能性があると報じられている。Googleはインドでの出店について正式なコメントは出していない。

 リアルな店舗では、オンラインでの販売と違って実際にスマホや商品を手に取って触ってみてから購入することが可能だ。特にサイズや使い勝手は実際に手に取ってみると、オンラインでの印象とは大きく異なることが多く、想定していたものと異なることから返品につながることもある。

 

 また、リアルな店舗で店員から説明を聞いて購入する方が安心する人も多い。スマホはコモディティ化したとはいえ、精密機器なので故障した際にも購入した店舗でサポートが受けられる安心感もある。そのためリアルな店舗は多くの人に製品の良さを訴求するには適している。

▼Googleのインドでの「Pixel2」の動画広告。カメラ機能や音声アシスタントサービスの使い勝手を訴求している。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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