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SNSで一強のFacebook:全世界で20億人突破、次は「メッセンジャーの収益化」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

ついに全世界で20億人突破

Facebookは2017年7月26日、2017年第2四半期(4~6月期)の業績を発表した。Facebookを毎日利用するデイリーアクティブ利用者(DAUs)は、2017年6月時点、全世界で前年同期比で17%増の13億2,000万人。月間アクティブ利用者数(MAUs)は、全世界で同17%増の20億1,000万人だった。中国ではFacebookを利用できないが、それでも世界中で約3人に1人がFacebookを毎月利用していることになる。

Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)
Facebookの四半期ごとの地域別MAUの推移と割合(公開情報より作成)

毎度絶好調のモバイル広告

第2四半期の売上高は前年同期比45%増の93億2,100万ドル(約9,600億円)で、純利益は71%増の38億9,400万ドル(約4,300億円)と大幅な伸びを見せた。売上のうち広告売上高は47%増の91億6,400万ドルでFacebookの売上の98%を占めている。Facebookの売上が広告依存に変わりはない。広告収入のうちモバイル向けの広告収入が87%を占めており、ますますモバイルがFacebookの稼ぎ頭になっている。

そしてFacebook利用者の約70%の14億人以上がアジア太平洋地域やその他の新興国市場で、これらの市場ではスマホの普及によって大きく伸びている。だが、まだ売上のほとんどは北米(アメリカ)と欧州だ。アジアや新興国でのマネタイズにはまだ時間がかかりそうだ。

Facebookの四半期ごとの地域別売上の推移と割合(公開情報より作成)
Facebookの四半期ごとの地域別売上の推移と割合(公開情報より作成)

次はメッセンジャーでの広告

今回の決算でザッカーバーグCEOはメッセンジャーへの広告導入に注力していくことを明らかにした。メッセンジャーも全世界で20億人が利用している。

7月11日にFacebookはメッセンジャーのホーム画面で広告を表示する試験を世界で開始することを発表していた。2017年1月からオーストラリアとタイで既に試験は実施していた。ニュースフィードに表示されている広告と同じように、テキストや画像で広告表示ができるようだ。現在、世界規模でFacebookの利用が拡大すると同時に、メッセンジャーの利用も増加している。かつてはSMS(ショートメッセージ)でやり取りしていたのが、現在ではほとんどがメッセンジャーだ。そしてインドネシアや台湾、タイなどかつてはLINEが人気があった国でも、多くの人がメッセンジャーに軸足を移している。Facebookは利用しないけど、メッセンジャーは利用するという人も多い。日本ではまだLINEが優勢だが、世界規模ではメッセンジャーがコミュニケーションのプラットフォームになっている。

メッセンジャーでは、友人や家族、同僚らと「日常の些細なコミュニケーション」が毎日やり取りされている。そこでやり取りされている情報は些細ながらも、広告主にとっては貴重な情報源だ。誰と誰がいつ、どこで、どのようなメッセージをやり取りしているかに応じて、適切な広告を出稿して、広告主の売上増やメディア露出にもつながる。

他にもFacebookは傘下に毎日2億5,000万人が利用しているWhatsApp、若者に大人気のインスタグラムを抱えている。もはやソーシャルメディアでは中国を除く全世界でFacebookの一強となっている。「広告がうざいから嫌だ」と思っても「世界で20億人以上が利用しているメッセンジャーを使わざるを得ない」という状況だ。

(ザッカーバーグのFacebookより)
(ザッカーバーグのFacebookより)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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