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Facebook、全世界で19億人利用「2017年も好調なスタート」次に目指す領域はARとVR

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

Facebookは2017年5月3日、2017年第1四半期(1~3月期)の業績を発表した。Facebookを毎日利用するデイリーアクティブ利用者(DAUs)は、2017年3月時点、全世界で前年同期比で18%増の12億8,400万人。月間アクティブ利用者数(MAUs)は、全世界で同17%増の19億3,600万人だった。そしてFacebook利用者の約70%の13億人以上がアジア太平洋地域やその他の新興国市場で、これらの市場ではスマホの普及によって大きく伸びている。なお今期からはDAU、MAUの中でのモバイルからのユーザー比率の公開はやめた。

いつものようにモバイル広告が絶好調で2桁の増収増益

第1四半期の売上高は前年同期比49%増の80億3,200万ドル(約9,000億円)で、純利益は76%増の30億6,400万ドル(約4,100億円)と大幅な伸びを見せた。売上のうち広告売上高は51%増の78億5,700万ドルでFacebookの売上の98%を占めている。Facebookの売上が広告依存に変わりはない。広告収入のうちモバイル向けの広告収入が85%を占めており、ますますモバイルがFacebookの稼ぎ頭になっている。

FacebookはSNSだけでなく、傘下にある世界の2大メッセンジャーであるMessengerとWhatsAppが全世界で12億人以上の利用者がいるほか、Instagramも世界で7億人以上が利用しており、まさにソーシャルメディアの王者として君臨している。全世界で19億人が利用している。現在世界の人口が73億人で、中国ではFacebookのサービスは利用できない。子供や老人などを除くと中国以外の世界中の大人は多くがFacebookを利用していることになる。Facebookの売上のほとんどは北米や欧州市場なので、これからは利用者が拡大している新興国市場での収益の確保が課題。

2017年Q1のFacebookの地域別MAUと比率 (公開情報を元に作成)
2017年Q1のFacebookの地域別MAUと比率 (公開情報を元に作成)
2017年Q1のFacebookの地域別1人当たりの収入(公開情報を元に作成)
2017年Q1のFacebookの地域別1人当たりの収入(公開情報を元に作成)

「2017年も好調なスタート」次はARとVR

ザッカーバーグCEOは今期の決算発表をうけて「2017年も好調なスタートを切った。これからも強いグローバルコミュニティを構築していくツールを提供し続けていく」(We had a good start to 2017.We're continuing to build tools to support a strong global community.)とコメント。

AR(拡張現実)の話題にもなり、ザッカーバーグCEOからは「ARエフェクトが作成できる『Camera Effects Platform』を公開したので、他サービスよりも可能性が広く、ブランド強化や広告効果もある」とコメント。明らかにライバルのSnapchatを意識した発言が見られた。2017年4月に発表した際には、ザッカーバーグCEOは「最初のメインのARプラットフォームしていく」と意気込みを語っていた。日本ではあまあり馴染みがないがSnapchatは写真に様々なエフェクト効果を出して、友人たちと共有したりできるので欧米では若者を中心に人気がある。SNSで圧倒的な地位にいるFacebookの最大のライバルはSnapchatなのだろう。

またFacebookは2017年4月には新しいVR(仮想現実)サービスとして「Facebook Spaces」を発表。ユーザーはSpacesでアバターを作成し、最大3つの他アバターと過ごすことができるものだ。開発と商用化にはまだ時間がかかるだろうが、Facebookが次に目指している領域はARとVRであることは間違いない。

(ザッカーバーグのFacebookより)
(ザッカーバーグのFacebookより)
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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