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インドネシア:「ポケモンGO」祭りのあと

佐藤仁学術研究員・著述家
「ポケモンGO」大人気だった時に作ってしまったバルーン(ジャカルタにて)

2016年夏には日本だけでなく世界規模で「ポケモンGO」が流行していた。

あれからまだ1年も経っていないが、日本でも世界でも「ポケモンGO」をやっている人を見かけることは激減した。当時のように深夜の公園に人が集まってきてしまったり、私有地や軍事基地に勝手にスマホを手にした人が入ってしまうというトラブルや事件もなくなった。

関連商品も姿を消したが、ピカチュウは人気

インドネシアでも「ポケモンGO」は大人気だった。だがインドネシアでも現在では「ポケモンGO」をやっている人は激減し、ジャカルタにいても「ポケモンGO」をやっている人を見かけることはなくなった。インドネシアでは昨年夏にブームが来た時には、現地でポケモンのTシャツが作られて露天商で販売されていた。その様子は昨年夏にお伝えした(インドネシア:「ポケモンGO」に便乗したキャラクターTシャツも大人気)。だが、現在ではもうTシャツも売り切れてしまったようで、露天商で「ポケモンGO」のTシャツを見かけることもなくなった。

現在ポケモン関連の商品で販売されているのは、バルーンくらいだ。子供向けのピカチュウのバルーンを歩行者天国などで販売されている。これも聞いてみると、昨年の「ポケモンGO」ブームの時に作られたもので、まだ売れ残っているバルーンらしい。ブームの時ほどバルーンは売れていないとのことだ。Tシャツと違って観光客や一般市民の誰もが購入するものではないので、それほど売れる商品ではない。現在売られているピカチュウのバルーンが無くなったら、もう見かけることもないだろう。

「ポケモンGO」大人気だった時に作って売れ残っているバルーン
「ポケモンGO」大人気だった時に作って売れ残っているバルーン

「ポケモンGO」のブームは去って、スマホでゲームをしている人は激減したが、それでもピカチュウなどのキャラクターはインドネシアではまだ人気だ。Tシャツもバルーンもオフィシャルなものではないだろうが、インドネシアではこのようなキャラクターの商品は大人気だ。特にドラえもん、キティ、ディズニーのメジャーなキャラクターなどはブームを問わずにインドネシアの老若男女に人気がある。「ポケモンGO」ブームは去っても、ポケモンのTシャツはリメイクすれば売れる可能性はあるかもしれない。

2016年夏にはポケモンGOと「アナと雪の女王」のキャラクターTシャツで溢れていた(2016年8月撮影)
2016年夏にはポケモンGOと「アナと雪の女王」のキャラクターTシャツで溢れていた(2016年8月撮影)
半年前まではポケモンGOのTシャツが陳列されていたが、現在はキティやドラえもん(2017年4月撮影)
半年前まではポケモンGOのTシャツが陳列されていたが、現在はキティやドラえもん(2017年4月撮影)

ジャカルタの数少ない観光地の1つの「独立塔(モナス)」に隣接した子供向けの遊び場には、ビニールでできた大きなピカチュウのマスコットが設置されている。これも「ポケモンGO」ブームの時に作られたものらしいが、ピカチュウ自体は人気があるので当面は残っていくだろう。

インドネシアでは2016年夏には「ポケモンGO」がリリースされる前から盛り上がっていた。学校では生徒が勉強に集中しなくなるから学校内での「ポケモンGO」禁止を大臣が通達したり、フランス人がゲームに夢中で軍事施設に無断侵入して拘留されたり、「ポケモンGO」がリリースされる前から政府は公務員や警察は職務中にはゲーム禁止命令を発出していたほどだった。今ではそのようなことがあったことすら覚えていない人も多い。あの熱狂は一体何だったのだろうか。

子どもの遊び場にあるポケモンのマスコット。「ポケモンGO」ブームは去ってもピカチュウの人気はある
子どもの遊び場にあるポケモンのマスコット。「ポケモンGO」ブームは去ってもピカチュウの人気はある
学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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