欧米でネットやSNS大荒れ、ロシアで元五輪選手が「ホロコーストを描くフィギュアスケート」

(ナフカ氏のInstagramより)

2016年11月にロシアの国営テレビ・チャンネル1の番組「Ice Age」で放送されたフィギュアスケートに欧米を中心にネットやSNSが炎上している。

ホロコースト囚人服のフィギュアスケート

このロシアのテレビ番組でフィギュアスケートを披露したのは、トリノオリンピックで金メダルを取ったプロスケーターのTatiana Navka(タチアナ・ナフカ)だが、ナチス時代のホロコーストの囚人服の衣装を着ての披露だった。さらにこのナフカ氏はプーチン大統領の報道官の妻であることも炎上の1つになっているようだ。

下記にも動画があるのでアップしておく。

フィギュアスケートを披露する際の音楽もホロコーストを扱った映画「Life is beautiful(ライフ・イズ・ビューティフル)」のテーマ曲「Beautiful that Way」だった。この曲はナフカのお気に入りの曲だったようだ。衣装も完全に囚人服で、当時ユダヤ人が強制的に着用を義務付けられた黄色のダビデの星と収容所での囚人番号を付けている。さらに囚人のパフォーマンスということで、メイクをしていない。ダンスの中には、犬に吠えられて逃げるシーンもあり、まさに収容所に収容された囚人を想起させるようなところもある。

ホロコースト衣装にネットは大炎上

ナフカ氏は、囚人服でのスケートについて自身のInstagramで「私の好きな映画を題材にしました。子供たちがホロコーストについて知るべきだと思います。もう二度とホロコーストが起きないようにするために『ライフ・イズ・ビューティフル』の映画を子供たちに見せてください」とコメントしている。

この動画やInstagramへの投稿はあっという間に世界中に拡散され、ネットやSNSが大荒れだ。設定は囚人だが笑顔でのシーンが多いことから、パフォーマンスと衣装に対して「ホロコーストに対して無知で不快だ」「ロシア人の恥だ」「犠牲者への冒涜だ」とTwitterやInstagramなどのSNSは、イスラエルやロシアだけでなくアメリカ、欧州、オーストラリアなど世界中からの非難の声で荒れている。ナフカ氏の「ホロコーストが二度と繰り返さないために」という意図は伝わらず、鎮火する気配がないようだ。そのようなネットでの炎上に対してナフカ氏は地元ロシアメディアに「私たちのパフォーマンスは映画『ライフ・イズ・ビューティフル』を元にしていて、この映画はカンヌなどでも表彰されています。映画を見てないからなのでしょう」とコメントしている。

もう多くの日本人は忘れてしまったかもしれないが、2016年10月に日本でハロウィンのイベントでアイドルグループ欅坂46が、ナチスを想起させるような衣装を着ているということで、ユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」が抗議の声明文を発表した。このニュースもBBCをはじめ世界中のメディアで報じられていたので、世界規模で話題になっていた。この問題もネットであっという間に世界中に拡散されたが、すぐに関係者が謝罪したことから海外のネットやSNSが荒れることは多くなかったし、沈静も早かった。その根底には、日本にはそもそも反ユダヤ主義の思想や行動がほとんどないということを世界中の人が知っていたからだろう。

欅坂46の衣装のように「ナチスの衣装に似ている」というレベルではなく、今回の衣装は明らかに囚人服で、最初からホロコーストをテーマにしている。ロシアには戦前から多くのユダヤ人が住んでいた。また冷戦が崩壊してからロシアから大量にユダヤ人がイスラエルに移住し、今でもイスラエルにはロシア語しか話せないユダヤ人もたくさんいるので、町中でロシア語を見かける。ナフカ氏の意図は「ホロコーストを繰り返さないために」ということだが、600万人のユダヤ人がホロコーストで虐殺されたことを世界中のユダヤ人らは忘れていない。このようなパフォーマンスをしたらどのような非難がくるか想定できなかったのだろうか。ネットが沈静化するまで、もう少し時間がかかりそうだ。

(ナフカ氏のInstagramより)
(ナフカ氏のInstagramより)

▼ナフカ氏がスケートの題材にした「ライフ・イズ・ビューティフル」の1シーン(MovieClipより)