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11月から「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーン:ポスターには英語、中国語、韓国語での注意喚起も

佐藤仁学術研究員・著述家
(日本民営鉄道協会)

駅での「歩きスマホ」は現在でもポスターや放送で注意喚起しているもののいっこうに減らない。「ポケモンGo」以降は、さらに「歩きスマホ」の危険性を駅で強調しているが、「歩きスマホ」をやっている人は減少しているどこか、むしろ増加している。

ポスターには日本語だけでなく英語、中国語、韓国語も

「駅施設内等における携帯電話・スマートフォンのながら歩きによるお客さまへの様々な危険の防止を目的」として、2016年11月1日から 、全国の鉄道事業者43社局、日本民営鉄道協会、日本地下鉄協会、電気通信事業者協会とその加盟社であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは共同で、駅の安全な利用を促進するため「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーンを実施する。

キャンペーン期間は11月1日から30日までで、駅構内や車内でのポスターの掲出、車内ディスプレイ広告の掲載、ポケットティッシュの配布等、従来と同様な方法で「歩きスマホ」をやめるように訴えていく。

今回の「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーンのポスターでは日本語での「やめましょう、歩きスマホ」の呼びかけ以外にも英語、中国語、韓国語での注意喚起が表示されている。例えば英語で「STOP:Texting While Walking」との表示もある。日本には約2,000万人の外国人が訪問しているし、多くの外国人が住んでおり、彼らも駅を利用している。駅でのポスターでの外国語表記で、どの程度の外国人が駅での「歩きスマホ」をやめるのか不明だが、何もしないよりは注意喚起にはなるだろう。

今までのポスターは日本語での注意喚起だけ
今までのポスターは日本語での注意喚起だけ

実際には外国語表記にするなら「歩きスマホ」よりも、むしろ電車内で大きな声で通話をする外国人への注意をしてもらいたいと思っている人も多いだろう。日本人は10年以上前から電車内での通話は他のお客様への迷惑になることから、やる人はほとんどいない。だが文化や習慣の違いから、海外では電車内での通話を禁止していない国が多く、そのような国から来た人は日本の電車内でも大きな声で通話していることが多い。閑話休題。

危険しかない駅での「歩きスマホ」

今回もポスターでの注意喚起だが、「歩きスマホ」をしているから目と脳はスマホの中のSNSやゲーム、メッセージなどに集中しているから、ポスターにも気が付かないだろうし、注意喚起の放送も耳に入らないのだろう。

「歩きスマホ」をしていて駅のホームから転落する人が後を絶たないようだ。国交省によると2010年度は11件、2011年度は18件、2012年度は19件、2013年度は45件、そして2014年度には32件の転落事故があった。電車の中でスマホに夢中になっていて、降りる予定の駅で下車できずに乗り過ごしてしまう人は多い。それなら笑い話で済ませるかもしれないが「歩きスマホ」が原因でホームから転落して、大事故につながってしまってからでは遅い。「歩きスマホ」は命をかけてまでやることではない。特にお酒を飲んで酔っ払ってからの駅での「歩きスマホ」は足元がふらついていることと、神経が鈍っているから転落しやすく危険である。これから忘年会シーズン、お酒を飲んだら駅でスマホは触らない方が良い。

「歩きスマホ」でホームから転落したり、ぶつかって自分が怪我をするなら自業自得だ。だが視覚障害者や高齢者に「歩きスマホ」をやってぶつかって怪我をさせたりして自分が被害者になる可能性もある。

みんなが迷惑の電車の乗降時の「歩きスマホ」

「歩きスマホ」をしている人は「自分だけは大丈夫」と自己中心的思考に陥りやすい。また「歩きスマホ」をしていない人は、スマホを見て歩いてぶつかりそうな人に対して非常にイライラしているので、トラブルや喧嘩にもなりうる。

特に電車の乗降時にスマホの画面を見ながら乗降する人が多い。電車内で見てるニュースや動画、LINE、ゲームなどが駅に到着してもすぐにやめられないのだろう。だが乗降時のスマホチェックは電車の乗降が遅くなり、時間がかかり鉄道ダイヤにも影響を与えかねない。電車に乗ろうとする時に「降りてくる人たちがスマホの画面を見ながら下りてくるからタラタラと歩いて、いつまでも乗車できずにイライラした」ことや、乗車時にも「前に並んでいる人がスマホを見ながら乗車するので、進みが遅いのでなかなか電車に乗れずにイライラした」経験がある人も多いだろう。これらが原因で電車が遅延したら、さらにイライラが増す。

電車に乗り降りする時くらいはスマホの画面から目を離してさっさと電車から降りたり、乗ったりした方が良い。乗ってからゆっくり車内でスマホを見ればよい。降りる時はもうスマホを見るのをやめた方がよい。また階段の乗降時にも「歩きスマホ」をしている人の歩く速度は、やらない人よりも遅く、イライラさせられる。

駅での「歩きスマホ」は誰にとってもいいことがない。スマホを見ないだけでも見渡しもよくなるし、手も自由になるから、かなり歩きやすくなる。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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