8月10日は、「ハーゲンダッツの日」。ハーゲンダッツ ジャパンの創業日にちなみ、2017年に認定されました。そこで、記念日にちなんでハーゲンダッツが日本で長年愛され続ける理由を、開発担当者にインタビュー。こだわりの商品開発について聞きました。

日本独自に進化を遂げたハーゲンダッツ、いくつかの転機

抹茶や餅など、日本独自のフレーバーを展開してきた日本のハーゲンダッツ
抹茶や餅など、日本独自のフレーバーを展開してきた日本のハーゲンダッツ

1961年、アメリカで誕生した高級アイスクリームブランド「ハーゲンダッツ」。日本では1984年の発売以来、独自の進化を遂げ、高級アイスクリームの代名詞的存在となっています。そんな日本での躍進を支えたのは、これまでに発売された数々のヒット商品。以下、代表的な商品を年表とともに振り返ってみましょう。

1985年 ミニカップ登場

1994年 6個入りのミニカップ・マルチパック発売(現在は、「アソートボックス」に名称変更)

1996年6月 日本開発第1号フレーバー「グリーンティー」発売

2001年3月 日本で開発した新形態クリスピーサンド「キャラメル」発売

2007年 ドルチェシリーズ発売

2015年 華もち 発売

2018年 多層構造のアイスクリームバーを発売

1984年の発売当初は、5種類のパイントカップ(「バニラ」、「ストロベリー」、「ラムレーズン」、「スイスアーモンドチョコレート」、「コーヒーチップ」)からスタート。その翌年には、日本市場に合わせてミニカップが登場し、現在まで主流のサイズとなっています。

2019年、35周年記念商品として発売されたのも、抹茶系の商品でした ※現在は販売終了
2019年、35周年記念商品として発売されたのも、抹茶系の商品でした ※現在は販売終了

大きな転機となったのは、1996年。日米共同開発商品として、初めて日本オリジナルのフレーバー「グリーンティー」が発売されたのです。「もっと日本のお客様の好みに合った商品を提供できないかと考え、1995年に日本での開発拠点『R&Dセンター』を設立しました。初めての日本市場向けフレーバーは、日本らしさを感じられる商品にしたいと思い、抹茶味に着目しました」(ハーゲンダッツ ジャパン 広報部・田村苑子さん)。原料の抹茶をハーゲンダッツ専用に開発してもらうところからスタートしたこの商品は、今ではハーゲンダッツ ジャパンを代表する人気フレーバーとなり、海外のハーゲンダッツでも発売されています。

一方、今ではミニカップと並んでハーゲンダッツの主力商品となっている「クリスピーサンド」も、実は日本で誕生した商品。メキシコ料理の“タコス”から着想を得て、7年がかりで開発された新形態のアイスクリームで、日本での販売好調を受け、世界各国でも販売されるようになりました。

2019年の「ハーゲンダッツ スペシャリテ ノワゼットショコラ」。まるでケーキそのものの贅沢な味わい ※現在は販売終了
2019年の「ハーゲンダッツ スペシャリテ ノワゼットショコラ」。まるでケーキそのものの贅沢な味わい ※現在は販売終了

その後、2007年には、デザートやケーキなどの複雑な味わいや食感を層構造のアイスクリームで表現した「ドルチェ」シリーズが発売。「ティラミス」「クレーム ブリュレ」からスタートし、その後、年末年始の時期限定で発売される「スペシャルエディション」(2011年~)へと進化し、2016年からは「スペシャリテ」と名称変更してパワーアップ。1個400円台という高価格帯ながら、年に一度の贅沢感を味わえるアイスクリームとして支持されています。

また2013年からコンビニエンスストア限定などの限定フレーバーも多く登場。近年は、スプーンで切れるもちとアイスクリームの組合せが話題になった「華もち」や、多層構造を実現したアイスクリームバーなど、食感や味わいの重なりを楽しめる商品が評判となっています。

ハーゲンダッツの商品開発のこだわりとは!?人気のフレーバーは??

不動の看板商品は、「バニラ」。老若男女問わず、高い人気を誇ります
不動の看板商品は、「バニラ」。老若男女問わず、高い人気を誇ります

ハーゲンダッツは、個食タイプの「ミニカップ」、「クリスピーサンド」、「バー」と、ファミリータイプの「アソートボックス」「パイント」をラインアップしており、年間に販売するアイテム数は約40品。同時に20以上のSKUを展開しており、通年販売の定番商品と、新商品の割合が約半々となっています。

素材や製法にこだわったハーゲンダッツの本質が感じられる「リッチミルク」
素材や製法にこだわったハーゲンダッツの本質が感じられる「リッチミルク」

数あるフレーバーの中で、通年販売不動の1位は「バニラ」。また期間限定商品でも、バニラや抹茶、チョコレートといった定番商品でもおなじみの素材を使ったフレーバーや、キャラメルなどのフレーバーを使った商品の人気が高いそうです。とくに近年人気が高かったのは、2020年4月に発売したミニカップ「キャラメルホリック」と、2018年8月に発売したミニカップ「リッチミルク」。2002年から発売していた「リッチミルク」は、2010年の終売後、再発売の要望が多かったため、2018年に期間限定で復活。再販時は大変な反響で、一時休売となってしまったほど。2020年3月より、通年販売商品のラインアップに加わりました。

「キャラメル」は、安心感のある素材を使ったフレーバーの一つ
「キャラメル」は、安心感のある素材を使ったフレーバーの一つ

ハーゲンダッツの商品開発のこだわりをブランド戦略本部マネージャー・武田 悠介さんに聞いてみると、「安心感」と「ワクワク感」をキーワードに挙げられました。「ただ美味しいだけではなく、ハーゲンダッツの購入を検討する時から食べ終わる時までの時間を幸せな時間にできるかを意識して、商品コンセプト・味わい・パッケージデザインの開発を進めています。同じお客様でも気分によって選ぶフレーバーが異なるので、多様なニーズに応えられるよう、幅広く多様な商品をラインアップすることを心掛けています」(武田さん)。

お客様が選んだ2020年上半期のまた食べたい「アイスクリーム」ランキング。この中から、次の定番商品が誕生するかも!?
お客様が選んだ2020年上半期のまた食べたい「アイスクリーム」ランキング。この中から、次の定番商品が誕生するかも!?

また最近は、お客様の「安心して購入したい」という気持ちに応える商品開発にも注力しているそう。「ここ数年、アイスクリーム業界では様々な新商品が導入されていますが、最終的には各社とも主力ブランドのアイスが安定的にお客様に選ばれている傾向があります。新シリーズにトライしてみたものの想像したものと違った経験のあるお客様は、『冒険するよりも安心して購入したい』という気持ちになられている傾向が見られます」と武田さん。「ただし、安心感だけでは新しさや面白みのない商品になってしまいますので、同時に『ワクワク感はあるか?』も意識しています。このバランスはいつまで追い求めても答えが見つかりませんが、商品開発の面白さだと思っています」(武田さん)。

SNSやリアルを活用したブランディングで、ファンを熱狂させる

今年1月には、クリスピーサンドを食べた時のサックサク音にちなんだ様々なコンテンツを展開。
今年1月には、クリスピーサンドを食べた時のサックサク音にちなんだ様々なコンテンツを展開。

またハーゲンダッツと言えば、タレントを起用したテレビCMや、Twitter、InstagramなどのSNS、音楽とコラボしたイベントなど、時代に即したプロモーションも強みの一つ。メインターゲットであるF1層(20~30代の女性)には、ハーゲンダッツの熱烈なファンも少なくありません。

「『ハーゲンダッツが好き』という気持ちを大切に、多くの方に共感や親しみを持っていただけるようなコンテンツを制作しています。近年、反響をいただいた施策の一つは、毎年8月10日の『ハーゲンダッツの日』に実施している1日限定Twitterキャンペーンです。『#ハーゲンダッツの日』をつけて毎年のテーマに合わせたツイートするという簡単な座組みで、弊社の公式アカウントをフォローされていない方にも多くご参加いただいています」(田村さん)。

ちなみにハーゲンダッツでは、新商品の情報は、速報性の高いTwitterに、発売約2ヵ月前にアップ。このタイミングがもっともリアクションがいいそうです。また過去には、情報感度の高い若年層の多いTikTokで、クリスピーサンドの「サクッ」とした音にフォーカスしたスタンプを制作するなど、つねに新しい手法を積極的に取り入れています。

2020年のハーゲンダッツは、ココに注目!

“これぞまさにキャラメル”という味わいを目指して生まれ変わった「ザ・キャラメル」
“これぞまさにキャラメル”という味わいを目指して生まれ変わった「ザ・キャラメル」

2020年のハーゲンダッツは「定番商品の強化」をテーマに、主に3つの商品を強化していくと言います。1つ目は、不動のセンター「バニラ」。ハーゲンダッツは、創業時からバニラがブランドを象徴する一番大切な商品だと位置づけています。

2つ目は、「クリスピーサンド」。とりわけ、シリーズ第一号商品の「キャラメル」がさらに進化した「ザ・キャラメル」は、今年のイチオシフレーバーです。

日本に上陸した当時にも発売されていた人気フレーバーが、美味しくリニューアル!
日本に上陸した当時にも発売されていた人気フレーバーが、美味しくリニューアル!

そして3つ目は、ミニカップの「ラムレーズン」。1999年から2016年まで、秋冬の期間限定で毎年販売していた人気フレーバーですが、2017年以降、復活や通年商品化を希望するお客様の声が多かったことから、この度日本独自にリニューアルして通年販売に。オリジナルブレンドのラム酒を開発し、従来商品よりもアルコール度数を低く抑えながら、ラム酒の香りやミルクのコクを感じられる商品となっています 。

ハーゲンダッツファンの一人でもある筆者は、新商品はもちろん、年に一度の「スペシャリテ」も毎年楽しみにしているのですが、400円以上出しても購入したいと思わせるのは、「ハーゲンダッツなら間違いない!」という、ゆるぎないブランド力が根底にあるからでしょう。近年はとくに、多層構造のアイスクリームバーや、生地やソースの入ったデザート感の高いアイスが、そのブランド力をさらに堅固なものにしていると感じます。その一方で、バニラやキャラメル、ラムレーズンなど、定番のフレーバーが安定的に人気を得ている点も興味深いところ。2020年下半期のハーゲンダッツは、どんなワクワク感を与えてくれるのでしょうか。

※画像はすべて、ハーゲンダッツ ジャパン提供