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あの娘とだったら結婚するの?ハリウッドにもいる、そう言って泣いた女たち

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
ゴメスのTシャツの胸元には「強い者だけが生き残る」と書かれている(写真:Splash/アフロ)

「Only the Strong Survive(強い者だけが生き残る)」。ジャスティン・ビーバーとヘイリー・ボールドウィンの婚約がメディアを賑わせた3日後、セレーナ・ゴメスは、そう書かれたTシャツを着て、公に姿を現した。

 人気歌手同士のビーバーとゴメスがつきあい始めたのは、2010年のこと。途中、別れた時期もあり、この3月にまた破局したものの、ふたりは長年にわたってお似合いのカップルだった。ビーバーは、左の手首にゴメスの顔のタトゥーまで入れている。だが、ビーバーが結婚を決めた相手は、3年前に少しだけつきあい、先月になって恋が再燃したとされるボールドウィンだった。

 当然のことながら、このニュースが出て以来、ファンとメディアはゴメスの反応をうかがい続けている。ツイッターには「ジャスティン・ビーバーとセレーナ・ゴメスのカップルは、ティーンエイジャーにとっての夢を定義するものだったのに」「ジャスティン・ビーバーが婚約したのはセレーナ・ゴメスではなかった。もう愛なんて信じられない」「あなたにはもっと良い人がふさわしい。がんばって!応援しています」などといった投稿が飛び交った。

 中には、ビーバーとゴメスの状況について「とても共感できる。私も同じ」「どんなに努力をしても、ご縁がないことはあるもの」というメッセージもある。まさにそのとおりで、愛し、支え続けてきた男が、自分ではなく、急に出てきた別の女と結婚してしまったという状況は、悲しいことながら、珍しくはないのだ。テレビドラマ「SEX AND THE CITY」でも、ミスター・ビッグが仕事で短期間パリに滞在した時に知り合った若い女と結婚を決めたと知って、主人公キャリーが激しく傷つく姿が描かれ、視聴者の共感を呼んでいる。

クルーニー、アフレック、そしてジョニデも

 そんな経験を共有する仲間は、ハリウッドにも多数いる。たとえば、ジョージ・クルーニーがつきあってきた歴代の女性のほとんどがそうだろう。

「ER 緊急救命室」でブレイクする前に一度結婚したことがあるバツイチの彼は、レネ・ゼルウェガーやルーシー・リューなどセレブから元女子プロレスラーまで、あらゆる女性をとっかえひっかえしてきた。オスカーのレッドカーペットにまでお供させてもらえた元ラスベガスのカクテルウエイトレス、サラ・ラーソンや、イタリア人のテレビレポーター、エリザベッタ・カナリスなどは、「結婚しない」宣言をしているクルーニーの心を変えようと必死で努力したと言われている。彼女らが彼を失ったのも、それが裏目に出たのだと憶測されているのだが、そんなクルーニーは、女性弁護士アマル・アラムディンに出会うと半年ほどでプロポーズした。それどころか、双子の赤ちゃんのパパにまでなったのだ。

 ヒュー・グラントは、1987年から2000年まで13年間もエリザベス・ハーレイとつきあい、一緒に映画のプロダクション会社まで創設したのに、結婚はしなかった。最近でこそあまり姿を見なくなったものの、当時のハーレイは、エスティローダーの顔も務めた人気モデルの代表だ。グラントも「フォー・ウエディング」「ノッティングヒルの恋人」などロマンチックコメディの主演男優として、ハリウッドで大活躍した頃である。ハーレイとパワーカップルを解消した後、グラントは中国系女性との間に娘を授かった。しかしその女性とも破局。今年、グラントが結婚を決めたお相手は、2012年に彼の息子を生んだスウェーデン人女性だ。最近、アメリカのテレビで結婚した感想を聞かれたグラントは、「素敵だよ。もっと早くやっておくべきだった」と語っている。

 やはり元プレイボーイであるウォーレン・ベイティも、アネット・ベニングと結婚するまでには、ダイアン・キートン、マドンナ、ジュリー・クリスティ、ナタリー・ウッドなど数多くの女性セレブとつきあった。また、ジェニファー・ロペスとの婚約を挙式の4日前になってドタキャンしたベン・アフレックは、それから2年しないうちに、ジェニファー・ガーナーと結婚している。だが、恥をかかされた側のロペスは一枚上手で、アフレックとの婚約が正式に破棄になった5ヶ月後にはマーク・アンソニーと結婚し、自分をふった男を見返してみせた。

 ジョニー・デップも、自分の子供をふたり生んでくれたヴァネッサ・パラディとはおよそ14年も事実婚の関係にとどまったのに、アンバー・ハードとは離婚時に財産を守るためのprenupこと婚前契約すら交わさずに、あっさりと結婚している。デップはまだハードとの醜い離婚の傷が癒えないようだが、そんな中でパラディは、今月、フランス人の映画監督と結婚した。45歳のパラディにとって、初めての結婚だ。

次に泣くのはディカプリオの元恋人たちか?

「SEX AND THE CITY」で、ショックから立ち直れないキャリーは、「恋とは結局、タイミングがすべてなのか?」と、ナターシャがまんまとビッグの妻の座を獲得してみせた理由を分析しようとする。その説は、一理ありそうだ。ベイティ、グラント、クルーニーが結婚したのは、それぞれ54歳、57歳、53歳の時。さんざん遊び、そろそろ落ち着いてもいいかと思っていたところで出会えた相手が、今の妻だったのではないだろうか。その10年、あるいは5、6年前につきあった女性だって、もし、彼の人生の違う時期に出会っていたら、「その人」になりえたのかもしれない。もちろん、こればかりは誰にもわからないところである。

 アフレックとガーナーは、デキ婚。24歳のビーバーは、だいぶ事情が違うが、これまたちょうど結婚したいという気分だったのかもしれない。なにせ、ゴメスとつきあい始めた時、ビーバーは高校生の年齢だったのだ。結婚などほど遠い時に出会った女性とくっついたり、離れたりした挙句に別の女性と恋をしたところ、それはとても新鮮で、激しく燃え上がったのかもしれない。

 その意味では、ハリウッドに今も残るプレイボーイ、レオナルド・ディカプリオには、まだそのタイミングが訪れていないのかと思われる。ジゼル・ブンチェン、バー・ラファエリなど数多くのモデルのほか、ブレイク・ライヴリーやリアーナなどとも交際したことがあるディカプリオの現在の恋人は、20歳のモデル。彼自身は今43歳で、クルーニーと同じ歳で年貢を納めるにしても、まだ10年は遊べる。

 その時にタイミング良く彼の目の前に現れるのは、果たして誰なのか。やはり20代のモデルか、それとも、その頃には彼の好みも変わっているのだろうか。いずれにしても、彼がついに婚約する日が来たならば、彼の過去の女性たちの多くは、しかたがないとわかりつつも、やりきれない気分になるだろう。そんな時こそ、彼女らは、ゴメスのメッセージを思い出すべきである。そう、強い者だけが生き残るのだ。ほかの女性たちがそうしてきたように、辛くても、頭を持ち上げて、前進していこう。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「シュプール」「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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