スペイン国家警察がカタルーニャから撤退。クリスマスの晩餐問題とカタルーニャ効果(?)の賃上げ

バルセロナのクリスマス風景(写真:アフロ)

スペインの国家警察と治安警備隊が、カタルーニャから撤退することになった。

10月1日の選挙のために、約1万人が派遣されていた。

州内の情勢や社会の共存の状態が回復したという理由だそうだ。

段階的に撤収し、12月30日には全員の撤退が終了するとのこと。

派遣は3か月で終わった。

月800ユーロの給与の差

彼らにはうれしいニュースがある。

スペイン国営放送によると、政府が賃上げを了承して、来年1月中旬から正式な交渉が始まることになったのだ。

カタルーニャ州やガリシア州などの自治州警察と比べて、スペインの国家警察や治安警備隊は、なんと月800ユーロ(約11万円)近く給与が低い。

国家警察の平均月収は、1799,23ユーロ。治安警備隊は1686,71ユーロ。これに対して前述の自治州警察は2468、67ユーロである。

10年以上も賃上げを要求してきたが、やっと政府が了承した背景には、カタルーニャ独立問題で、国家警察や治安警備隊が派遣されたことが関係あるだろう。

今後向こう3年間の給与の交渉が始まるが、5億ー10億ユーロの予算が必要だという。

しかし、月800ユーロも違うとは・・・。

スコットランドとカタルーニャでは、ここが決定的に違う。

スコットランドの独立投票の際、独立が否定されたと結果がわかった朝、あるカタルーニャ人はがっくり首をうなだれてこう言った。「スコットランドは、イングランドに経済的に頼っているからこうなったんだ。カタルーニャは違う。スペインよりもカタルーニャのほうがずっと豊かなんだ」と。

派遣された国家警察や治安警備隊の人たちは、経済的に豊かで、文化的にも独特の美しさをもつカタルーニャに接し、かつ、中央政府の意向に反して、決して選挙妨害活動に参加しなかった州警察の人たちを目の前にすることで、きっと何か思うことがあったに違いない。

騒乱すらも、交流でありコミュニケーションだなと思う。こうして変化がもたらされてゆく。今の日本は、こういう機会をもつことが少ないなと感じる。島国であり、欧州に比べて隣国にめぐまれない国の宿命だろうか。

クリスマスの晩餐は国レベルの問題

さて、クリスマスで問題になったのが、カタルーニャに派遣された国家警察や治安警備隊で、船に宿泊してきた人たちのクリスマスの晩餐である(船に宿泊は、いかにも地中海らしい)。

スパゲッティ一皿と、コロッケ4つ、魚のフライ1つだけだったと、ネット上で問題になったのだ(写真上ではもう少しおかずがあるように見えたが、そういう問題ではないのだろう)。

政府は「派遣された隊員たちに感謝する。とりわけ家族にも感謝したい」と述べた。クリスマスという時期に、任務のために家族が離れ離れになったからだろう。短期の派遣だったからこうなったので、長期派遣なら順番に休暇をとったのだと思う。

なんせ、一時は「スペイン政府とカタルーニャの仲介を、カトリック教会が行うらしい」という報道がとびかったほど、キリスト教の信仰があつい地域である。クリスマスだから共に祝う。クリスマスにおいしいものを食べる晩餐は、とても大事なのだ。

「任務でクリスマスに家族のもとに帰って来られないだけではなくて、あんな貧相なものを食べさせるなんて!!」と、苦情が殺到したようだ。政府は、調査することを約束した。そう、スペイン人にとって、政府が調査しなければいけない大問題なのだ。

それにしても、ラテンですね。以前の記事で、プチデモン氏のことを「これほどの緊張の中にあっても、なんだかホンワカ感があるのは、地中海人が本来もつ明るさと大雑把さのせいだろうか」と書いた。

カタルーニャの組閣期限までには、もう1か月もないが、プチデモン氏が帰国できるのか否かが一つの争点だ。今でも、スペインに戻ったらスペイン法のもとに逮捕される恐れがあるからだ。

しかし、そういう政治的な理由とは別に、帰国したいでしょうねえ、と思う。ラテン人で地中海人のプチデモン氏にとってブリュッセルは、長くいるにはかなり辛い地域じゃないかと思うのだ。

EU(欧州連合)は広い。すぐ近くのロシアやウクライナを常に気にしているドイツもEU加盟国なら、地中海世界に生きているカタルーニャや、大西洋からラテンアメリカを向いているスペインもまた、EU加盟国なのだ。