白と木の内装はもう古い 世界的トレンドのグレーインテリアがマンションで進化中
インテリアの世界では、3年ほど前からグレー(灰色)がトレンドになっている。部屋の内装をすべてグレー(灰色)にするのではなく、全体は白で一部の壁やドアの色をグレーにする。これで、お洒落な室内が実現する、と人気を高めていたのだ。
本当かな、と思う方のために、実例をいくつかみてもらおう。
まず、下の写真は、これまでマンションでよく見た「白い内装」。床も壁も天井も白くして、システムキッチンとダイニングテーブルまで白くしたものだ。
白で統一すれば、清潔感にあふれた室内が実現する。
この白い部屋は、昭和後期からあった。デザイナーズマンションと呼ばれ、時代を先取りした住宅で積極的に採用されたからだ。その後、多くの住宅に採用されるようになった結果、マンションでよく見る内装となっている。
もうひとつ、多くの住宅でみられる内装が次の写真。白と木の色合いの内装だ。
壁と天井は白で、床とドアを茶色・ベージュにするもの。白の清潔感と木の温もりで、インテリア配色の王道といえる組み合わせとなる。
これに対して、白い内装に一部グレーを採り入れると、どうなるか。
全体が白で、引き戸をグレーにした例が下の写真だ。
こちらの内装のほうが、新鮮な印象を受けるのではないか。次に、キッチンの一部をグレーにしたのが、下の写真。
真っ白な内装よりも変化が生まれるし、一部を茶色にするよりも洗練された印象を受ける。この「新鮮だし、控えめで、上品」なアクセントになるところが、グレーインテリアが世界中で支持されている理由だ。
マンションのモデルルームではグレーインテリアが進化中
流行に敏感なマンションは、いつも最先端のインテリアを採り入れてきた。白っぽい床材や黒い窓枠、ウォールドアとよばれる大きな引き戸も早い時期からマンション住戸に採用されていた。
一部をグレーにするインテリアも同様で、2年ほど前から東京でも、大阪、名古屋でも、マンションのモデルルームで積極的に採用されるようになった。
このグレーインテリアを進化させた例もある。
昨年12月に渋谷区内に完成した「パークコート渋谷 ザ・タワー」では、完成した建物内モデルルームで、大部分の内装色をグレーにした住戸が公開された(下の写真)。
写真には写っていないが、室内ドアもグレー。通常、白になることが多い天井も含め、内装のほとんどがグレーで仕上げられている。が、違和感は感じられない。このように、「主張しない内装色」であることも、グレーの特徴だ。
そして、この10月から都心部で販売が始まるマンションのモデルルームでは、グレーの柄入り壁紙が提案された。それが、冒頭の写真で、別角度の写真が下だ。
普通、壁がチェック柄になっていたら、目を奪われるはず。しかし、グレーなら、ごく自然にインテリアに溶け込んでしまう。
改めて眺めると、チェックの壁紙にはツイード生地のような風合いがあり、これまでのインテリアにはない味わいがある。主張しない色=グレーなら、いろいろな冒険ができるわけだ。
もともと、グレーの壁紙やカーテンは、女性に人気が高かった。父親が娘の部屋の内装を考えるとき、ピンクの壁やカーテンを選びがち。しかし、10代の女性は案外シックなグレーを好む、という傾向も以前からあった。
グレーは気持ちを落ち着かせるし、物やお菓子の写真を撮るとき、背景は落ち着いたグレーのほうが「映える」という利点もある。
グレーのインテリアは、住宅のトレンドとして、ますます広まってゆくものと考えられる。