コロナ禍で、中古マンション価格が日本一上昇したのはどこ? 2位はさいたま市大宮区

雄大な北海道。そのなかに、中古マンション価格が大きく上がった場所が……。筆者撮影

 コロナ禍で中古マンション価格が最も大きく値上がりしたのは、どこか。

 全国の中古マンション売り出し価格を基にした興味深い調査結果が2月18日に発表された。

 調査・発表を行ったのは、マンション情報サイト「マンションレビュー」を運営し、不動産関連のビッグデータを提供するワンノブアカインド社。昨年2020年9月と今年2021年1月の中古マンションの売り出し事例価格を比較し、コロナ禍で中古マンション価格がどう変化したかを調べたものだ。

 その結果、全国で中古マンション価格が大きく値上がりしたのは北海道エリア。なかでも、札幌市厚別(あつべつ)区が上昇率日本一であることがわかった。

 次いで上昇率が高かったのはさいたま市の大宮区、3位は大阪市西淀川区、4位は神奈川県の大和市と、意外な市区町村名が並ぶ結果となった。

 中古マンション価格が大きく上昇した場所30位までは、以下のとおりだ。※数値はすべて、上昇率

1位 北海道札幌市厚別区    +9.70%

2位 埼玉県さいたま市大宮区  +7.42%

3位 大阪府大阪市西淀川区  +6.99%

4位 神奈川県大和市       +5.99%

5位 愛知県名古屋市中村区  +5.70%

6位 千葉県千葉市花見川区  +5.50%

7位 東京都荒川区       +5.48%

8位 神奈川県川崎市多摩区   +5.00%

9位 大阪府大阪市北区    +4.97%

10位 東京都東村山市      +4.95%

11位 埼玉県蕨市        +4.65%

12位 東京都調布市        +4.54%

13位 神奈川県横浜市緑区    +4.42%

14位 神奈川県座間市      +4.25%

15位 愛知県名古屋市東区    +4.22%

16位 大阪府堺市北区      +4.22%

17位 北海道札幌市南区     +4.15%

18位 兵庫県芦屋市       +4.07%

19位 兵庫県神戸市東灘区    +4.06%

20位 東京都江戸川区      +4.03%

21位 静岡県熱海市       +4.02%

22位 神奈川県川崎市幸区    +3.89%

23位 広島県広島市西区     +3.87%

24位 埼玉県さいたま市浦和区  +3.78%

25位 神奈川県横浜市栄区    +3.65%

26位 埼玉県入間市       +3.53%

27位 福岡県福岡市西区     +3.50%

28位 東京都渋谷区       +3.38%

29位 神奈川県平塚市      +3.33%

30位 東京都立川市       +3.31%

 上昇率が高い30位までに入った市区町村から、コロナ禍で中古マンション価格が上昇しているのはどんな場所なのか、分析したい。

都心にほどほど近く、マンション価格が安かった場所が上位に 

 まず、ベスト30に入った市区町村は、分譲マンションが多いところ。マンションが建っていない、もしくは少ないところは対象外となっている。そして、コロナ禍の現在、中古マンション価格が大きく上がっている場所には、都心にほどほど近く、住宅価格がこれまで抑えられていた市区町村が多いことが分かる。

 1位の札幌市厚別区は、札幌市の東端に位置し、札幌駅からJR函館本線で4駅目の厚別駅やJR千歳線の新札幌駅、地下鉄新さっぽろ駅があり、都心近接の住宅エリアとして発達している場所だ。

 といっても、目玉となる施設があるわけではなく、新札幌駅・新さっぽろ駅近くにイオンがあるくらいで、静かな住環境が保たれている。

 一方で、苗穂駅で再開発が進行し、札幌ドーム周辺が活気を増すなど、周辺区の住宅人気が盛り上がり、不動産価格も上昇。厚別区内の新札幌駅・新さっぽろ駅近くでは、再開発計画が始動しており、その期待もあって厚別区の注目度は上がっている。

 厚別区内は札幌中心地まで電車で10分〜15分程度だし、新千歳空港駅まで30分ほどなので、サラリーマン世帯の人気が高く、マンションの数も多い。従来、その価格が抑えられていたので、今回、上昇率が高くなったと考えられる。

 2位のさいたま市大宮区は、JR大宮駅を中心にする場所。駅近くに商業エリアが発達しているが、その周囲に分厚く住宅エリアが広がる。

 もともとマンションが多い場所だが、近年、新規分譲物件が減ってしまった。その結果、中古マンションへの関心が高まり、中古価格が上昇したのだろう。

 3位の大阪市西淀川区は、大阪の中心地に近いが、工場が多い場所として知られているエリア。区内のJR神戸線塚本駅は、梅田駅から1駅という便利さで、人気が上昇。それに伴って、中古マンション価格が上昇している。

 じつは、今、新築分譲マンションの分野では「都心への通勤便利な場所」の物件が人気を上げている。通勤時間が短い(電車に乗る時間が短い)場所に住みたい。そして、通勤便利な場所であれば、コロナ禍が終息した後も後悔しない、と考える人が増えているためだろう。

 それと、同じ状況が中古マンションでも生じているようだ。

価格上昇地には、中心地やブランド住宅エリアの名前も

 中古マンション価格の上昇率は、「もともとマンション価格が安かった場所」ほど、高くなりやすい。

 たとえば、中古マンションの3LDKが1500万円程度で購入できた場所では、10%価格が上昇して1650万円になっても購入者はさして驚かない。だから、大幅な上昇率が生じやすいわけだ。

 これに対し、中古マンション価格が高い場所、たとえば2LDKが8000万円で取引されていたような場所では10%もの上昇率は生じにくい。「8000万円でも高いと思っていたのに、8800万円なんて、とんでもない」といわれ、購入者が減るからだ。

 そのため、もともと中古マンションの取引価格が高い場所では、価格上昇が起きにくく、上昇しても上げ幅は小さくなる傾向が出る。

 その前提からすると、「もともと中古価格が高いのに、注目すべき上昇幅」といえるのが、5位の愛知県名古屋市中村区だろう。

 中村区はリニア中央新幹線で人気が上がっている名古屋駅エリアを含む場所。数年前から新築・中古のマンション価格が上がっているのだが、その勢いはコロナ禍が起きても変わっていないことになる。

 9位の大阪府大阪市北区も不動産価格が上がり続けている場所だ。大阪市北区には梅田駅やうめきたエリアが含まれ、再開発で生まれ変わっている大阪の新たな中心地だ。これまで値上がりを続けてきた中心地が、コロナ禍でもさらに価格上昇を続けていることになるわけで、この動きは注目すべきだろう。

 すでに「マンション価格が高くなりすぎ」といわれている大阪の中心地だが、今後、もう一段価格水準を上げるかもしれない。

 28位の東京都渋谷区も、再開発で大きく生まれ変わっている場所。渋谷区の中心地・渋谷駅周辺では、古いマンションの建て替え以外、新築マンションは出てこない。ならば、今のうちに中古マンションを購入しておきたいと考える人が増えているし、中古でマンションを売る人も強気の価格設定を行う。それが、中古マンション価格が上昇している理由だろう。

コロナ禍で人気、とされる郊外エリアは?

 結局、コロナ禍でも、中古マンションで価格が上がっているのは、都心部や都心に近い便利な場所が多い、ということになる。

 では、コロナ禍で人気が高まっている、とされる郊外エリアはどうだろう。

 一口に郊外といっても、都心まで普通に通勤できる郊外と毎日の通勤はキツいと考えられる郊外がある。都心まで普通に通勤できる郊外の目安は都心ターミナル駅からだいたい40キロメートルまで。それを超えると、都心への通勤時間が1時間を大きく超えることになるからだ。

 JR総武線でいえば千葉駅が東京駅から約39キロメートルで普通に通勤できる圏内となる。小田急小田原線でいえば海老名駅が約42キロメートルとなるので、そのへんがギリギリ通勤圏か。

 今回の調査で上位30位に入った市区町町村のうち、郊外といえる場所も、大半が都心ターミナル駅から40キロメートル以内だ。上昇率4位の神奈川県大和市と14位の座間市は、いずれも新宿駅から40キロメートルほど。26位の埼玉県の入間市も40キロメートル弱だ。

 前出のさいたま市大宮区にいたっては、東京駅から30キロメートル以内の場所が多い。

 首都圏では、テレワークの広まりで、自然豊かな郊外部の人気が高まったと考えられがちだ。しかし、今回の調査で30位以内に入った場所のうち、首都圏において都心ターミナル駅から遠い郊外、たとえば東京駅から45キロメートルを超えるような場所は、静岡県熱海市(21位)と神奈川県平塚市(29位)だけだった。

 従来の通勤圏を飛び出した遠隔地で、中古マンション価格が上がっている場所はまだ少なかったのである。

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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