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台風2号北上中 沖縄では影響長引くおそれも

崎濱綾子気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ
28日の沖縄本島中部の空と海(筆者撮影)

【台風2号北上中】

台風2号の進路予想図(ウェザーマップ)
台風2号の進路予想図(ウェザーマップ)

衛星画像(ウェザーマップ)
衛星画像(ウェザーマップ)

5月28日(日)午後9時現在、大型で非常に強い勢力の台風2号は、フィリピンの東の海上を10km/hで暴風域を伴いながら西北西進中です。中心気圧は950hPa、中心付近の最大風速は45m/sとなっています。台風自身の最盛期は過ぎたものの、衛星画像では、台風の眼がくっきりとしています。台風2号は、31日(水)頃から先島諸島の南海上を北上し、強い勢力で沖縄地方へ接近する見込みです。動きが遅くなることが予想されるため、長い時間影響を受けるおそれがあります。

28日の沖縄本島中部の空と海(筆者撮影)
28日の沖縄本島中部の空と海(筆者撮影)

28日(日)の沖縄本島中南部の空は雲の流れが速くなっています。海上ではすでに波も高くなっていますので、うねりを伴う高波に警戒が必要です。

【5月台風・沖縄への接近は2015年以来】

2021年は4月に沖縄地方へ台風の接近が1個ありました。5月に接近する台風としては、2015年以来となります。5月の台風の発生数の平年値は1.0個、そのうち沖縄地方への5月の台風接近数の平年値は0.4個となっています。(1991年から2020年の平年値)

5月に接近した台風の例として2011年、2015年があり、共にコースが似ています。今回も進路によっては同じようなコースをたどる可能性があります。

【2015年 台風6号】

2015年台風6号(データ:気象庁)
2015年台風6号(データ:気象庁)

2015年5月4日午前3時にカロリン諸島近海で発生した台風6号は西寄りに進み、10日の午前9時にはフィリピンの東で中心気圧920hPa、中心付近の最大風速55m/sの猛烈な勢力となりました。その後、進路を北東に変え11日夕方から12日の明け方にかけて先島諸島を通過し、12日午前5時には久米島の西約40kmの海上を、北東に時速60kmの速い速度で通過しました。

沖縄県などによりますと、石垣市で床下浸水や船舶の被害があったほか、沖縄本島地方で倒木による通行止めや空・海の便で欠航が相次ぎました。

【2011年5月 台風1号と台風2号が連続して接近】

2011年5月は台風1号と台風2号が続けて沖縄に接近しました。1号、2号の連続接近は1951年からの統計開始以来初めてのことで、ほぼ同じようなコースをたどり、ダブル台風が沖縄を直撃しました。

【2011年台風1号】

2011年台風1号(データ:気象庁)
2011年台風1号(データ:気象庁)

2011年5月11日に中心気圧996hPa、中心付近の最大風速18m/sの強さで、宮古島の東から沖縄本島へ接近。暴風域はなく、12日に九州の南海上で熱帯低気圧へ変わりました。

【2011年 台風2号 風台風】

2011年台風2号(データ:気象庁)
2011年台風2号(データ:気象庁)

2011年の台風2号は、5月26日にフィリピンの東で中心気圧920hPaで猛烈な勢力に。28日、中心気圧940hPa、中心付近の最大風速45m/sの非常に強い勢力で宮古島にかなり接近した後、沖縄本島へ。先島諸島、沖縄本島地方が暴風域に入りました。本島地方ではまとまった雨が降らず、風台風となりました。

同月29日に本州の南海上で温帯低気圧へ変わりました。

【5月台風 被害額70億円超・過去最悪】

(塩害で収穫前の農作物に大ダメージ)

2011年、台風2号接近時の期間中の雨量(5月27日から29日にかけて)は沖縄本島地方で50mm程度だったのに対し、那覇市の最大瞬間風速は5月の記録を更新し55.3m/sの暴風となりました。(南南西の風)

台風で巻き上げられた海水が農作物に付着したまま雨で流されず、塩害による立ち枯れで収穫が本格化する前の農作物、マンゴー、ゴーヤー、葉たばこなどに大きな被害が出ました。

時期外れの台風接近により農林水産被害額は夏の台風被害を上回り、過去最悪の70億円を超えました。(県・農林水産部発表)

(それまでの台風による被害額トップは2003年の7月(台風14号)、65億9800万円。)

今後の農業計画の見直しなども検討されています。

今回の台風も収穫前の農作物への影響が懸念されます。進路によっては、暴風や大雨も予想され、影響が長引くおそれもあり警戒が必要です。

ー関連記事ー

5月台風の沖縄接近は2015年以来 過去には70億円超の被害も

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<一口メモ>

軽石はいまどうなっている?

28日の砂浜には軽石が残っていた(筆者撮影)
28日の砂浜には軽石が残っていた(筆者撮影)

2021年8月に発生した小笠原諸島・福徳岡ノ場の海底火山噴火に由来するとみられる軽石が沖縄周辺に押し寄せました。沖縄本島中部の砂浜には、現在も小さめの軽石がまだ残っています。

県によりますと、船舶の航行、漁業、観光等に対する様々な被害が生じ、発生した大量の軽石は今後も県全域の広い範囲で繰り返し漂流・漂着することが予想され、早急かつ継続的な対応が必要です。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ

Yahoo!ニュースエキスパート。沖縄生まれ沖縄育ち。お天気キャスター中に本格的に気象予報士資格を取得したいと思い、2005年に沖縄初の女性気象予報士になる。TBS系列『RBC THE NEWS』(月~金)に2016年3月まで出演し上京。日々の番組内での天気解説や報道取材を通して見えてきたもの、天気の移り変わりを綴る。沖縄の観光大使「ミスはごろも」として沖縄観光PR活動も1年間経験。夢は沖縄の天気に関する本を出すこと。趣味は御朱印集めなど。

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