Yahoo!ニュース

沖縄には暖房設備はなくても冬は”風冷え”

崎濱綾子気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ
沖縄の気温がひとケタになった日(2011年1月16日・ウェザーマップHPより)

沖縄の冬

沖縄の夏のイメージはあっても、冬のイメージはいかがでしょうか。先日、沖縄の冬の服装について聞かれました。

「暖房設備は整っていないので、寒さ対策は自分で」

沖縄では、職場や家庭で暖房設備は整っていません。

最低気温ひとケタは?

暖房を使う目安として、最低気温がひとケタと言われていますが、沖縄の最低気温はどのくらいだと思いますか。沖縄の那覇では、気象の統計データが公開されている1890年以降では、最も低い気温は4.9℃(1918年2月20日)です。

沖縄で最低気温ひとケタはどのくらいあるのでしょうか。

2010年以降、那覇の最低気温がひとケタになった回数をみていきます。

2018年・・・1月(2回)・2月(1回)

2017年・・・0回

2016年・・・1月(2回)・2月(1回)

2015年・・・1月(1回)・2月(1回)

2014年・・・0回

2013年・・・0回

2012年・・・0回

2011年・・・1月(3回)・2月(1回)

2010年・・・1月(1回)・3月(1回)

平均すると、年で0.6日となっています。

年に1回のひとケタ気温のために暖房設備を投入することは難しいのが現状です。では、沖縄は冬も暖かいのかというと、そうでもなく冬は『風冷え』があります。

沖縄の冬の天候の特徴

本州付近は、冬になると、西高東低の冬型の気圧配置となります。

この時、沖縄付近ではシベリア高気圧が東シナ海まで張り出し、沖縄周辺の等圧線の間隔が混みあって気圧の傾きが大きくなります。沖縄付近では、強い季節風が吹きます。

季節風の風向は、本州では西から北西が卓越しますが、沖縄付近では、北または北東となります。

沖縄の那覇の最低気温がひとケタになった日の天気図です。

2011年1月16日の天気図(沖縄気象台HPより抜粋・加工)
2011年1月16日の天気図(沖縄気象台HPより抜粋・加工)

ユーラシア大陸にはシベリア高気圧、日本の東には低気圧があり、「西高東低の冬型の気圧配置」となっています。日本にはシベリア高気圧からの寒気が流れこんでいます。 沖縄地方では、この寒気の影響のため曇りや雨の天気となり、那覇では最低気温が9.3℃、最高気温が12.3℃と、沖縄にとって寒い日となりました。(沖縄気象台HPより抜粋・加工)

今年の”風冷え”は?

1ヶ月予報(沖縄気象台HPより抜粋・加工)
1ヶ月予報(沖縄気象台HPより抜粋・加工)

今季の日本付近は強い冬型の気圧配置が続いていないのが特徴です。沖縄でも今年は、冬型の気圧配置が長続きしないため、1月後半にかけて暖かい日が続きそうです。

今年の沖縄は、風冷えの日はあまり多くないのかもしれません。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ

Yahoo!ニュースエキスパート。沖縄生まれ沖縄育ち。お天気キャスター中に本格的に気象予報士資格を取得したいと思い、2005年に沖縄初の女性気象予報士になる。TBS系列『RBC THE NEWS』(月~金)に2016年3月まで出演し上京。日々の番組内での天気解説や報道取材を通して見えてきたもの、天気の移り変わりを綴る。沖縄の観光大使「ミスはごろも」として沖縄観光PR活動も1年間経験。夢は沖縄の天気に関する本を出すこと。趣味は御朱印集めなど。

崎濱綾子の最近の記事