Yahoo!ニュース

申請すればもらえるお金を見逃さない!自治体のサイトや広報誌をチェック

坂本綾子ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士
(提供:イメージマート)

東京都が始めた所得制限なしの子育て給付金

東京都に住む0歳から18歳の子どもに月5000円が支給される「018サポート」をご存知でしょうか。2023年に始まった制度で、2023年分の申請期間は2023年9月1日から12月15日。2023年分は2024年1月に一括で給付されます(12月16日以降も申請は可能ですが、支給日は異なります)。申請は東京都に行います。

給付金がもらえたり、助成が受けられたりする制度が日本にはいろいろとありますが、対象となる人が自ら申請しなければもらえない仕組みのものが、今のところはほとんどです。もらえるのに、知らないままもらいそびれたなんてことにならないためには、どうすればいいのでしょうか。

まずは基本の仕組みを知っておきましょう。

給付や助成は主に、国、地方自治体、健康保険組合などが行っています。

以前からあるものと、最近始まったものがある

冒頭で紹介した制度は2023年に開始です。給付金関連で新設が増えそうなのは、子育て関連です。少子化対策として、今後も新しい制度が始まるかもしれません。子どもがいる人は注意して情報収集したいですね。その際にチェックしたいのは自治体の広報誌やサイトです。

以前からあるものとしては、出産時の出産育児一時金出産手当金と育児休業給付金(会社員の場合)中学生以下の子どもを持つ親に支給される児童手当です。

制度そのものは以前からありましたが、例えば出産育児一時金は2023年4月から増額(42万円から50万円に)され、児童手当は給付を受けられる世帯の所得限度額が改定されるなど、ときおり変更も行われます。最新の情報を確認することが重要です。

やはり以前から行われていて、今後も継続されそうなのが住宅改修への補助金です。耐震改修や温暖化対策になる省エネ改修(玄関や窓など開口部の省エネ工事など)に給付金が支払われます。

住宅改修はけっこうな金額がかかるケースが多く、その分、給付金も数十万円から内容によっては100万円超のものもあります。対象となるリフォームを考えているなら使わない手はありません。情報収集は、住んでいる自治体の広報誌やサイトで。通常、自治体では年間の予算を設けているので、申請額が予算に達したら受付が締め切られます。

1か月の医療費がたくさんかかった時に請求できる高額療養費は、ちゃんともらいましたか? こちらは加入する健保組合や国民健康保険(自治体)に行います。

国の制度と、自治体独自の制度がある

健康保険や雇用保険などの社会保険以外の給付は、国の制度と自治体の制度があります。ただし、国の制度であっても、実際の申請や給付の手続きは自治体を通して行うものが多いです。

例えば、高校生に支給される高等学校等就学支援金は国の制度ですが、都道府県が運営しています(申請書類は在籍する学校を通して提出)。

また、子育て関連の給付金には、自治体独自のものもあります。例えば東京都では、私立中学の授業料負担を軽減する助成として年額10万円の給付が2023年から始まりました。他にも小・中学校の入学時に自治体の地域通貨を支給する、乳児におむつ購入券を配布するなどの自治体があります。

自治体には、都道府県と市区町村がありますね。忙しい人も住んでいる市区町村の情報は必ず確認しましょう。都道府県の給付金も、多くの場合、市区町村の広報誌やサイトに掲載されています。

冒頭の東京都の「018サポート」も、東京都の広報誌やサイトはもちろん、都下の市区町村の広報誌などにも掲載されています。自治体では月に1~2回広報誌を発行し、サイトにもお知らせや該当ページ(自治体により、福祉、子育て、住宅施策など)に掲載しています。自治体の広報誌は、新聞に折り込まれたり、図書館や役所などに配布されたりしています。

まとめると、申請すればもらえるお金をもれなくもらうには、月に1回程度は自治体の広報誌やサイトを確認すること。社会保険からの給付なら、会社員は勤務先に、個人事業主などは自治体の担当部署(国民健康保険の窓口など)に問い合わせをすることです。

給付金や助成金をもらうには、必要書類を添付するなどして申請する必要があり、実際のところ手続きはそれなりに面倒だったりします。そのため、手続きがラクになる方向で仕組みが整えられつつあります。

例えば、医療費が高額療養費に該当することがあらかじめわかっている場合は、事前に申請して「限度額適用認定証」を受け取り医療機関の窓口に出せば限度額までの支払で済みます。この手間を省けるよう、マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、「限度額適用認定証」がなくても限度額を超える支払が免除されるようになりました。

マイナポイントを目当てに、マイナンバーカードに公金受取口座を登録した人もいることでしょう。手続きの簡素化が進むことを期待します。とはいえ、当面は自ら申請しないと、もらい損ねるものが多いので、しっかり情報収集して、もらえるものはちゃんともらいましょう。

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士

雑誌記者として22年間、金融機関等を取材して消費者向けの記事を執筆。その経験を活かしてファイナンシャルプランナー資格を取得。2010年より、金融機関に所属しない独立した立場で、執筆に加えて家計相談やセミナー講師も行う。情報の取捨選択が重要な時代に、それぞれの人が納得して適切な判断ができるよう、要点や背景を押さえた実用的な解説とアドバイスを目指している。

坂本綾子の最近の記事