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2023年で廃止されるジュニアNISA、今からでもやるべきなのはどんな人?

坂本綾子ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士
(写真:アフロ)

廃止されるジュニアNISAの口座開設が増えている

あまり使い勝手がよくなかったことから、口座数が伸び悩んでいたジュニアNISAは、2023年末で廃止されます。ところが、ここにきて口座開設が増えているとか。最後の年に駆け込んで投資をすることのメリットが大きいのはどんな人かを紹介しましょう。

誰にでもお勧めできるわけではない

2023年末までしか投資ができないジュニアNISAを使うメリットが大きいのは、次のような人です。

1、子どもや孫に贈与したい、または贈与できるお金がある

2、子どもや孫の年齢が低い

ジュニアNISAは未成年者の投資口座

まずは、1の「子どもや孫に贈与したい、または贈与できるお金がある」について。

ジュニアNISAの口座は子ども名義で作りますが、その口座には親や祖父母のお金を入れることができ、その後の運用も親や祖父母が行います。

ジュニアNISAは、投資の非課税口座であると同時に、合法的な贈与の方法として利用できます。

1年間で投資できる上限は80万円で、暦年贈与の非課税枠110万円以下に設定されています。暦年贈与の手段として使えて、しかも贈与した後も運用ができ、利益は非課税。運用でお金を増やせたら、口座を使った甲斐があったことになりますね。ただし、暦年贈与にカウントされるため、例えばジュニアNISAに80万円入れた年は、その子どもが非課税で贈与を受けられるのは、110万円-80万円=30万円まで。2023年に別の方法で暦年贈与の非課税枠を使いたいなら、ジュニアNISAは使わない方がいいでしょう。

投資できるのは2023年末までに80万円まで

次に、2の「子どもや孫の年齢が低い」について。

投資できるのは2023年末までで、上限は80万円。お金持ちでなくても、出そうと思えば出せる金額です。投資資金としては少ないと感じる人もいるかもしれません。微妙な金額ではあります。80万円でどんな投資をするか、けっこう悩むのではないでしょうか。そこで大事なのが、非課税で保有できる期間です。保有期間を長く取れるよう、子どもや孫の年齢が低いことが条件になります。

なぜかというと、2023年にしか買い付けができないということは、どんな買い方をしても、一括買いでも、何度かに分けて買っても、積立でも、また、何を買ったとしても、個別株式でも投資信託でも、投資の結果は2023年の相場に大きく左右されるからです。

ジュニアNISAを含むNISAの投資における優遇は、売却益や配当金などの投資の利益にかかる税金が非課税になること。これだけです。損失を出して売却した場合は、通常の投資と何ら変わりません。それどころかデメリットがあります。通常の投資なら、同じ年に投資で利益があった場合、損益通算することで税金を減らすことができますが、NISA口座は損益通算ができないので、損して終わり。せっかく贈与したお金が減っては元も子もありません。

つまり、NISA口座を使う以上は、ジュニアNISAでも、利益を出して売却することが必須です。

非課税期間終了時の価格が重要

ジュニアNISAで利用できる金融商品は幅が広く、個別株式、投資信託、REIT、ETFまでいろいろあります。仮に、購入した株式などの価格が低迷したとしても、時間があれば、また回復する見込みがあります。しかし、購入時よりも下がっている時点で子どもや孫が成人を迎え、非課税期間が終わると、その時点の時価で課税口座に移されます。その後は、課税口座に移ったときの価格を元本として、利益があれば課税されます。損失を出した上に、税金まで引かれることになりかねません。

そこで、改めてジュニアNISAの仕組みと、廃止後の2024年以降、ジュニアNISA口座で投資したお金の扱いがどうなるかを確認しましょう。

ジュニアNISAの仕組み

・利用できるのは未成年 … 2023年に口座開設できるのは、2023年1月1日時点で0歳から17歳。ただし管理・運用は親や祖父母(2親等以内の親族)が代理で行う

・一人1口座で途中での金融機関の変更は不可

・非課税期間は5年 … 購入した年から5年目の末までに売却した場合は、利益にかかる税金が非課税になる。ただし2023年末に18歳未満なら、手続き(継続管理勘定への移換)をすることで、1月1日に18歳である年の前年末まで非課税で保有できる。値上がりして評価額が上がっていたら、その金額で移換が可能で値上がり分は非課税。つまり、2024年以降は新規の投資はできないが、2023年中に買い付けた分は、成人するまで非課税で保有できる

・2024年以降は、年齢にかかわらずいつでも売却できる(廃止が決まるまでは、18歳まで引き出しができないという制限があった)

・売却した時点でジュニアNISA口座での投資は終了。一部売却はできず、売却時は全部一括で売る

このような仕組みなので、2023年に投資をした後、子どもや孫の年齢が低ければ、18歳までじっくり値上がりを待ったり、保有する株式からの配当金を非課税で受け取ったりできます。逆に短期間のうちに大きく値上がりしたら売却して利益を確定する選択もあります。子どもや孫が小さく、非課税期間を長くとれる方が、選択の幅が広がり、損失が出にくくなります。

さて、2023年の相場はどうなるでしょうか? 

相場の動向を気にせずに資産形成するには、長期でコツコツと積立てる投資が有効ですが、ジュニアNISAへの駆け込み投資では、2023年の価格で買うしかありません。これに抵抗を感じるなら、止めておいた方がいいでしょう。

2023年は景気後退の局面になるという予測もあります。景気後退なら株価が下がる可能性は高くなります。長期での保有を前提にするなら、また、いずれ景気も株価も回復すると考えるなら、景気後退時は、買い時と言えるかもしれません。

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士

雑誌記者として22年間、金融機関等を取材して消費者向けの記事を執筆。その経験を活かしてファイナンシャルプランナー資格を取得。2010年より、金融機関に所属しない独立した立場で、執筆に加えて家計相談やセミナー講師も行う。情報の取捨選択が重要な時代に、それぞれの人が納得して適切な判断ができるよう、要点や背景を押さえた実用的な解説とアドバイスを目指している。

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