12月6日(日)、東京・秩父宮ラグビー場で96回目を迎えた関東大学ラグビー対抗戦の伝統の一戦「早明戦」が行われた。開幕から負けなしの早稲田大が勝てば13年ぶりの全勝優勝に、明治大が勝てば22年ぶりの対抗戦連覇になるという大一番だった。

それ以外にも明治大には昨年度の大学選手権決勝で負けたリベンジという意味合いもあり、さらに、もしこの試合で負けると対抗戦3位になってしまう可能性があった(実際、慶應義塾大が帝京大に勝利したため、負けたら3位だった)。

3位になると1週間後の13日(日)に大阪・東大阪市花園ラグビー場で大学選手権3回戦を迎える。一方1位だとシード扱いとなり、大学選手権は2週間後の19日(土)からの参戦となる。大学王座奪還のためにも必ず勝利したい試合だった。

◇序盤から出色の出来だったNo8箸本

前半からスクラム、ラインアウトといったFWのセットプレーでプレッシャーをかけた明治大が優位に進めて34-14で勝利した。中でも前半20分過ぎまでの紫紺のジャージーの勢いが試合の流れを決めた。

この試合、明治大は「メイジ スタイル」をテーマに掲げた。慶應義塾大に12-13で敗れてから、フィフティーンは「自分たちの強みは何か」を自問自答した。その結果、早明戦は「明治のスタイルは縦に強いラグビー。迷ったらコンタクトし一歩でも前に(というプレーを)前面に出していこう」(キャプテンNo8箸本龍雅/4年)と臨んだ。

また慶應義塾大戦、帝京大戦では相手に先制されて「試合の入りが悪かった」反省もあり、キックオフ直後から明治大はフルスロットル。そんな中、誰よりも「メイジ スタイル」を体現していたのが、スキッパーのNo8箸本だった。

前半2分、No8箸本は激しいタックルをした後に相手を乗り越えてターンオーバー。直後にもしっかりとボールキャリアで前に出た。続く5分にもCTB児玉樹(3年)がタックルした後、箸本がジャッカルを決めて相手の反則を誘った。

一連の流れから相手陣で攻め続ける中で、明治大は少し深めのアタックラインを敷いて、ランナーがしっかり走り込んでボールをもらうこと(モーションと呼ばれる)で、ライン際でのゲインを繰り返す。

早稲田大も守備で粘りを見せたが、16分、明治大がスクラムを起点に順目に近場を攻撃する中で、最後はNo8箸本が逆目を突いて、2人にタックルを受けながらもねじ込んでトライ、SO森勇登(4年)のゴールも決まり7-0と先制する。

19分、明治大は自陣22mからのドロップアウトのボールをキープしてアタックを継続。ハーフウェイライン左端のラックが形成された後、No8箸本がえぐるようにトップスピードで走りながら、SH飯沼蓮(3年)からのパスを受けて大きくゲイン。このプレーは日本代表HO堀江翔太(パナソニック)も得意とするプレーである。

No8箸本はタックルを受けながらもオフロードパスをFL繁松哲大(4年)に通し、さらにFL繁松からWTB石川貴大(4年)にもオフロードパスがつながり、そのままWTB石川がトライを挙げて14-0とリードを広げた。

◇得意のセットプレーでも優位に立った

さらに「重戦車」とも称されるFWが力を発揮する。

明治大の武器のひとつであるスクラムで反則を誘い、FB雲山弘貴(3年)のロングキックで、相手陣10mでのラインアウトのチャンスを得る。24分、FWがモールを形成し、最後はBKも加わって押し込んで、HO田森海音(2年)がインゴールに押さえ、21-0と大きくリードすることに成功した。

その後、早稲田大はSH小西泰聖(2年)が積極的に仕掛けることにより2トライを返したが、点差と明治大のFWのプレッシャーの前に、最後まで自分たちが思うようなプレーができなかった。マイボールスクラムはどうにか出すことができていたが、マイボールラインアウトは7/13と50%ほどしかキープできなかったことが大きく響いた。

結果、後半も2トライを重ねた明治大が34-14でライバルを下して、22年ぶりの対抗戦連覇を達成した。

試合後、トライを挙げるだけでなく、ジャッカルやタックルなど出色の出来を見せて文句なしのMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)にも選出された箸本主将は「対早稲田大ということで、一番、準備してきました。いい入りができて、接点で勝ったので勝利できた」と大きな胸を張った。

◇「ここからがスタート」(箸本主将)

明治大は、コロナ禍で春、夏と試合がない中で、ほぼ、ぶっつけ本番だった対抗戦で1試合1試合、課題を修正しながら、見事に優勝を手にした。ただ昨年度は対抗戦で優勝しても、大学選手権決勝で早稲田大に敗れた悔しい経験がある。

箸本主将は「(昨年度は大学選手権で)最終的に負けてしまったので、ここからが勝負です。ここ(対抗戦優勝)がスタートと言っていいくらい。ここからどのチームよりも成長しないと勝てないという自覚を持って臨みたい」と先を見据えた。

箸本主将を筆頭にしたリーダー陣が決めた今シーズンのスローガンは「One by One」だ。「一人ひとりが、先を見ずに、目の前のことを一つずつ積み重ねていく」という意味を込めた。

優勝まで残り3試合。箸本主将は「一つひとつ、一人ひとりが足下を見て活動しています。この結果に満足することなく、常に成長するチームが優勝をつかみ取れる。ここから明治は一つひとつ成長していきます」と自らに語りかけるように言った。

明治大は3回戦がシードとなり、12月19日(土)、大学選手権の準々決勝から出場する。箸本主将が引っ張る紫紺の軍団が「One by One」のスローガンの下、「メイジ スタイル」に磨きをかけて王座奪還を目指す。

前日練習で校歌と部歌を歌い、気合いを入れる部員たち(写真:斉藤健仁)
前日練習で校歌と部歌を歌い、気合いを入れる部員たち(写真:斉藤健仁)