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ルーキーCTB梶村、高校生以来の日本代表候補合宿参加。ラグビーW杯に向けて「可能性はゼロではない」

斉藤健仁スポーツライター
5年ぶりの日本代表候補合宿に参加した梶村(撮影:斉藤健仁)

 5年ぶり、高校3年生以来の日本代表候補合宿となった。

 9月24日~27日、和歌山・上富田スポーツセンターで、11月のテストマッチシリーズ、そして2019年ラグビーワールドカップ(W杯)に向けたラグビー日本代表候補合宿が行われた。

 ケガなどの影響により5人が不参加となり、42名が集まった合宿で耳目を集めたのは2015年W杯に出場したPR山下裕史、SH日和佐篤(ともに神戸製鋼)らの復帰とともに、今年、大学卒業したばかりのルーキーPR/HO堀越康介、CTB梶村祐介(ともにサントリー)の2人だった。

 特に今年、明治大学を卒業したばかりのCTB梶村は前年度王者のサントリーサンゴリアスで開幕から3試合連続先発し、特にボールキャリアとして存在感を発揮。2013年、報徳学園3年時に、当時のエディー・ジョーンズHC(現イングランド代表HC)に「練習生」として抜擢された時以来の日本代表候補合宿への参加となった。

 ラグビー日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHCは梶村らを招集した理由を「期待値を押しつけるつもりはないが、4節までのトップリーグを見て感銘を受けた選手たちなので、呼んで会ってみて個性を見たい。そして2019年のワールドカップにおいてチーム力に欠かせない要素を持っているか見たい」と説明した。

 18歳の高校生から23歳の青年と成長し精悍な顔立ちとなった梶村は、やや緊張しながらも「自信を持ってこの合宿に取り組もうと思っています。(5年前は)お客さんという感覚でしたが、今はトップリーグでボールキャリアが良かったことを評価していただいたと思っているし、サントリーに入ってディフェンスも伸びたと思っているので、自分の強みを出していきたい」とフィットネス中心の合宿となったが、常に全力で取り組んでコーチ陣にアピールした。

 梶村は、この合宿で特に楽しみにしていたことがあった。それは同じポジションで、日本代表のキャプテンを務めたこともある中心選手のひとり、代表55キャップのCTB立川理道(クボタ)といっしょに練習できることだ。

「ラグビーナレッジ(知識)やコミュニケーションの質もそうですし、いろんな選手がどんなことを考えているのか引き出しの多さを学べたらいいなと思います。ずっと昔から尊敬している立川(理道)さんがどういうことを考えているか学んでみたい」(梶村)

 梶村と立川はポジションが近いこともあり、いっしょに練習している姿も見られた。経験豊富な立川は、ライバルのひとりに成長した梶村について聞かれるとこう話した。

「高校3年生で(合宿に)入ったときも話しましたし、今回の合宿でもいっしょに食事をしたり話したりしました。トップリーグで見ていても、ルーキーとは思えないほどしっかりしていますし、安定したプレーを見せていると思うので、そういうところは自分自身も負けないようにやっていきたい。僕にとってはすごく脅威ですけど、一緒に競争していって高め合っていけたらいいなと思います」(立川)

 ラグビーW杯まで1年を切った中で、日本代表候補合宿に参加し、梶村は「これからテストマッチに向けて準備していく中で、チームの雰囲気もそうですが、日本代表には今の体制になって初めて(の参加)なので、それを知れる大事な機会になった」と言うように意義のあるキャンプとなったようだ。

 10月26日の世界選抜戦、そして11月のニュージーランド代表戦、イングランド代表戦といったテストマッチに向けた日本代表メンバーの発表会見は10月1日に行われる。今回の合宿ではボールを使うセッションがなかったために、梶村はラグビーでアピールすることはできなかったが、果たして、引き続き日本代表に選出されるだろうか。

 来年のラグビーW杯出場に向けて梶村は「チャンスがあればずっと(W杯出場を)狙いたいと思っていた。可能性は本当に低いと思うのですが(合宿に)呼んでいただいて、チャンスはゼロではないと思うので、少しでもそこに食い込んでいければ」と、決してあきらめてはいない。

 日本代表のメンバーに選ばれても選ばれなくとも、ルーキーのCTB梶村はトップリーグでのアピールを続ける。

 

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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