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「浦和のようなチーム」スイス1部リーグに在籍した今矢直城氏が語る、柿谷が移籍したバーゼルの印象

斉藤健仁スポーツライター
現在は早稲田ユナイテッドの監督やTOCのコーチなどを務める今矢氏

日本代表FWの柿谷曜一朗(24)が、セレッソ大阪からスイスのFCバーゼルに移籍した。バーゼルは、スポンサー名が冠され「ライファイゼン・スーパーリーグ(Raiffeisen Super League)」と呼ばれるリーグ戦で7月19日、FCアーラウとの開幕戦を迎える。そんなスイス1部リーグにおいて、2003-2004シーズン、優勝3回の強豪ヌシャテル・ザマックスでプレーし、バーゼルとも対戦した経験を持ち、UEFA杯(現在ヨーロッパリーグ)にも出場した今矢直城氏(早稲田ユナイテッド監督/英語で子どもたちにサッカーを指導するスクール(TOC)のコーチ/1on1フットボールのフットプロムのコーチ)に、スーパーリーグやバーゼルの印象について話を聞いた。

――まず、今矢さんもプレーしたスイス1部リーグに柿谷選手が移籍したことに関してはどう思いますか?

今矢●個人的には柿谷選手のキャリアにとって良いことだと思います。ワールドカップでは、日本代表としては、あまり試合に出場できませんでしたが、そこで肌で感じた世界との差をJリーグで再び感じることは、正直言って、なかなか難しいと思います。ですが、チャンピオンズリーグ(CL)では感じることができるはずです。

――スイス1部リーグとはどういったレベル、リーグとお感じですか?

今矢●スイス1部リーグは、イングランドやスペイン、イタリアといった欧州5大リーグよりレベルが落ちるかもしれません。ですが、他のリーグとは違って10チームしかないので、レベルが極端に落ちるチームは1~2チームほどです。また10チームでホーム&アウェイを2回ずつ計36試合で優勝を争い、カップ戦もあるため、同じチームと何度も対戦するので、その分、戦術的なチームが多いのが特徴ではないでしょうか。

――バーゼルと2度対戦したことがあるそうですが、どういったチームという印象ですか?

今矢●僕がスイスでプレーしていたときから、バーゼルはユベントスやマンチェスター・ユナイテッドとCLで対戦するなど強かったですね! 昨シーズンで優勝し、現在5連覇中のビッグクラブ、スイスの中では別格です。リーグ戦は優勝して当たり前と思われています。バーゼルと対抗できるのはチューリヒやグラスホッパーくらいでしょう。また、サポーターも熱狂的だし、Jリーグで言えば「浦和レッズ」のようなチームです。まず監督やスタッフ、チームメイトだけでなく、ファンに好かれることが欠かせないと思います。

またバーゼルは国際的なクラブということもあり、スイスのクラブの中では比較的フレンドリーですし、選手たちと話す分には英語でも問題ないでしょう。それでも、外国人選手に求められることは高いですし、同じポジションの選手が1年間話してくれなかったりするなどプレッシャーもあるでしょう。欧州の厳しさを感じられると思います。

――柿谷選手が活躍するための鍵は、どこにあると思いますか?

今矢●今シーズンから新しく指揮官に就任した元ポルトガル代表のパウロ・ソウザ監督の下、柿谷選手が活躍できるかどうかは、やはりスイス代表FWで、チームのキャプテンを務めるマルコ・シュトレラーとの違いをどう見せることができるか、だと思います。

今後は、もちろんバーゼルで活躍するのもよいでしょうし、今シーズン、同じく日本代表の大迫勇也選手がドイツ2部の1860ミュンヘンからケルンに移籍したように、ドイツ1部リーグへの移籍もよいでしょう。いずれにせよ、スイス移籍が柿谷選手にとって良いステップアップになってしてほしいと思います!

●プロフィール 今矢直城(いまや・なおき)

1980年6月18日、兵庫県出身。親の仕事の関係で、10歳からオーストラリアに移住し、日本人初のオーストラリア1部リーグの選手となる。その後は、スイス1部リーグやドイツリーグなどでもプレー。2007年の引退後は日本に戻り、英語でサッカーを同時に学べるTOC(Touch 0F class)を立ち上げる他、東京都リーグの早稲田ユナイテッドの監督、1on1フットボールのフットプロムのコーチ、オーストラリア代表の通訳など多方面に活躍中。将来の目標は「監督としてプレミアリーグのチームを指揮すること」。

●今矢直城氏のHP →http://www.naocastle.com/index.html

今矢氏は小学生に英語と日本語でサッカーを教える

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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