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連休の自然満喫 増水した川がダメなら、この手がある! プールか釣りか?

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
自然豊かな湯沢町の魚野川。この付近にメジャーリニューアルの鱒どまりが(筆者撮影)

 全国的に暑くなりそうな気配の3連休の中日。冷たい川の水で家族の思い出作りをしたいところですが、16日までに続いた雨の影響で各地の川は増水しています。連休は川に近づかないで、別の遊びで楽しみましょう。

越後湯沢の川の状況

 全国的な大雨の中で、新潟県湯沢町では比較的雨量が少なかったのですが。それでも川の増水は避けられなかったようです。

 昨日7月16日にこの連休の話題作りに県内の川遊びの取材のために現場に出てみたところ、残念無念。現場は湯沢町を流れる魚野川の上流、有名な川遊び場所「鱒どまり」です。動画の状況の通り、とても川に入れる状況ではありません。

 それでも水難救助の師匠?を自認する筆者のこと、「せっかく来たのだから、足だけでも」と思いましたが、水際に立っただけでも流れの恐ろしさに流石にビビりました。「この流れでは川の中に入る人は誰もいないだろう」と発想した瞬間、本日発出予定だった記事の内容が、このように変わりました。

動画 7月16日の鱒どまりの様子(筆者撮影)

 鱒どまりの上流では、滝の全面に渡って水が流れ落ちています。いつもなら全体の5分の1くらいの範囲でしか水が流れ落ちていません。ここから下流に500 mほど下ったところに川遊びが楽しめる鱒どまりとなります。でもここですら川に入った瞬間に勢いよく下流に流されることは見ての通り。もし下の【参考】にある記事を読んで、例えば東京から遊びに来たとすれば、「ここまで来たのに」と残念な気分になることでしょう。

【参考】とても楽しい鱒どまりの川遊びはこちら 東京から2時間で到着 越後湯沢で安全な川遊び 楽しみ方と注意点

 鱒どまりは、このシーズンからさらに快適に利用できるように、メジャーリニューアルとなりました。川のすぐそばに広い駐車場が新設されて、うれしいことにきれいなトイレがお目見えしました。繁忙期になれば出店も仮設されるようで、家族連れで日帰り川遊びをするには最高の場所となりました。ぜひお越しください。

川遊びがダメならこの手がある!

 海水浴の場合、風が強いとか、波が高いとかの理由で遊泳しないようにお願いが出されます。川の場合は監視員が常駐して「遊泳しないように」お願いするところはほぼないと思って下さい。自分で見て「これは無理だ」と思えば川遊びを自分の判断でやめなければなりません。

 川遊びをあきらめても、例えば新潟県湯沢町なら、こんな楽しみがあります。

オーロラプール

「湯沢町レジャープール オーロラ」が正式名称ですが、地元では「オーロラプール」の愛称で通じます。まさに、山々に囲まれたアクアリゾートと言えます。図1のように、周辺のリゾートマンションが林立するスキー場の斜面を見ながら楽しむプール、まさにここ湯沢だけの楽しみが味わえます。

図1 オーロラプールから見えるリゾートマンションの景色は、観光立国湯沢の象徴(筆者撮影)
図1 オーロラプールから見えるリゾートマンションの景色は、観光立国湯沢の象徴(筆者撮影)

 一番の特徴は、屋外と屋内のプールがあること。肌寒ければ、屋内の流水プールでぐるぐる回り、スライダープールでスリルを楽しめます。暑ければ、屋外の流水プール、スライダープール、図1に写っていますがアドベンチャーロックスライダー、そして小さいお子さんも安心の幼児用プールがあります。

 監視員も広いエリアに対して十分な数が配置されていますし、元気いっぱいの監視員がしっかり監視している様子がうかがえます。

管理釣り場

 湯沢町には川魚専門の2つの釣り場があります。湯沢フィッシングパークと岩ノ沢養魚です。

 湯沢フィッシングパークは湯沢町でも超有名釣り場です。この釣り場は鱒どまりのすぐ上流にあります。ということで、水は魚野川から直接引いています。魚野川と並行に流れるように釣り堀が作られていますので、雰囲気としては渓流釣りに似ています。休日には親子連れなどで大賑わいとなります。

 釣り堀と渓流の間くらいの立ち位置なので、安全に釣りを楽しむことができます。救命胴衣も準備されているので、心配な方はぜひ着用してお楽しみください。水の透明度が高くて、当然、泳いでいる魚も見えます。

 すこしマニアックな釣り好きの隠れ家が、岩ノ沢養魚です。特徴は、水温8度の地下水で育った川魚たち。実は、このところのくそ暑さに流石の川魚は全滅かと思いきや、7月16日に店主の小林さんに聞いたところ「うちの水はいつも水温一定だから、魚は元気いっぱい、常におなかをすかしているよ」と嬉しい返事。

 この釣り場は釣り堀です。水深は60 cmで万が一池に落ちてもすぐに店主が救助してくれます。魚影は濃くて、川魚が餌に食らいつく様子まで観察できます。ただ、魚もよく学習していて、針の先の餌を瞬間的にかみ砕いて、粉々になった餌を丸のみする高技術を間近に見る羽目に。

 餌は魚粉に少量の水を含ませて小さな団子にして釣り針に刺します。虫が苦手な方も安心して釣りを楽しむことができるところが嬉しい。

 釣り堀は、ニジマス、イワナ、ヤマメと魚種ごとに分けられていて、好きな魚を選べるのが嬉しい。たくさん釣りたい人はニジマスとイワナを狙い、じっくり魚との駆け引きを楽しみたい人はヤマメを狙います。

 釣った魚は、店主がその場で炭火焼にしてくれます。臭みがなくて、これが大変美味しい。図2のように塩焼きにしてほくほくしながら食べるヤマメからは、熱々ご飯の上に山盛りにかけたシラスのような甘さが口の中に広がっていきます。

図2 釣りたてのヤマメを塩焼きにしていただく(筆者撮影)
図2 釣りたてのヤマメを塩焼きにしていただく(筆者撮影)

【参考】岩ノ沢養魚の様子はこちら 11月の釣りを安全に楽しむなら、ここ 人に笑顔を届ける管理釣り場に知られざる苦労が

まとめ

 川遊びは、風や波の影響を受けない代わりに、流れと深さが天候によって急激に変わります。川遊びが「安全ではない」と感じたら、プールや管理釣り場に行き先を変えてみてはいかがでしょうか。夏の連休を家族の思い出作りでお過ごしください。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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