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CB650Rがイケてる理由とは ホンダが新世代CBの本命を投入!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
HONDA CB650R 写真出典:Honda

ホンダからミドルクラスのスポーツネイキッドモデル「CB650R」が3月15日に発売される。

全方位的に進化した新世代ミドルCB

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従来モデルのCB650Fのリニューアル進化版で、水冷4ストロークDOHC並列4気筒648ccエンジンをスチールフレームに搭載する基本構造は踏襲するが、最高出力は従来比5psアップの95psに向上。フレームも構成部品や製法を変更するなど剛性バランスを見直すとともに、さらなる軽量化とマスの集中化を実現。足回りも新たに倒立フォークやフロントブレーキにラジアルマウントキャリパーが採用され、軽量化した新デザインのアルミホイールと組み合わせるなど運動性能も高められている。

また、従来からのABSに加え、アシストスリッパークラッチとトラコン(HSTC)が装備され、安全性とコントロール性も向上。スタイリングも一新され、新世代CBシリーズに共通するマス集中化を図った台形プロポーションや、ネイキッドらしさを強調する円形LEDヘッドライトが与えられるなど、新時代のスポーツネイキッドらしいモデルに仕上げられている。

さて、今ある情報からCB650Rを読み解いてみたい。まだ試乗していないのであくまで憶測ではあるが、これはかなりイケてる感じだ。

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馬力とサイズ、価格がベストバランス

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その理由として、まず650ccという排気量だ。世界中でミドルクラスのネイキッド(欧州的にはロードスターとも言う)の人気が高まっている。それは人間にとってジャストサイズだからだ。人間の身体能力をダイレクトに使って操縦していく機械であるバイク。標準的な人類の体格や体力、運動能力などを考えたとき、100馬力と200kgというのが普通の人が普通に操れるだいたいのボーダーラインだと思う。もちろん、本当の意味での「扱い切れる」領域で言うと250cc程度(あるいは125cc)かもしれないが、そのパワーや重さに恐怖を感じずに乗り出せるという意味でだ。

その点で、CB650Rは最高出力95psと車重202kgでまとめてきている。ちなみに従来モデルのCB650Fは90psと208kgだったので、乗り味もよりパワフルかつ軽快になっているはずだ。そして、ホイールベースも1450mmでシート高も810mmとコンパクトで足着きも悪くない(はず)。そして、価格も96万1,200円(消費税込み)とコスパにも優れている。税込で100万円を切る価格というのも庶民感覚では嬉しいところ。つまり、パワーとサイズ、コスト感覚でベストバランスな一台というわけだ。

“腑に落ちる”デザイン

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デザイン面もうまくまとめてきたと思う。新型CBシリーズは当初から「NEO SPORTS CAFE CB」をコンセプトに打ち出していたが、その第一弾として昨春にデビューしたCB1000Rは個性が強すぎたためか、やや苦戦しているように思える。筋肉質で優雅、そしてレトロで未来的な独特のスタイルは“先取り感”満載で、性能も最先端ではあったが、ホンダを愛する庶民派ライダーの感性が追い付けなかった。

その点で、今回のCB650Rは同シリーズの125、250とのつながりも強く感じさせるオーソドックスなデザインに仕上げられている。マス集中した台形フォルムと剥き出しの車体、丸型LEDライトなどのレトロモダンなディテールなどコンセプトを具現化しつつも、見ている者をハラハラさせない落ち着きがあるのだ。そして、大型バイクらしい質感と堂々とした佇まいも併せ持っている。何と言うか腑に落ちる感じなのだ。

隠れた名車「ブロス」に似ている気も…

Honda BROS650(PRODUCT1) 画像出典:Honda
Honda BROS650(PRODUCT1) 画像出典:Honda

余談だが、かつてホンダに「BROS 650」というモデルがあった。プロダクト1が650ccでそのスケールダウン版のプロダクト2が400cc。軽量コンパクトな車体に水冷Vツインの高トルク型エンジンを搭載してジムカーナやバイク便などでも大活躍した玄人受けするモデルだった。最初に写真でCB650Rを見たとき、直感的に「ブロスに似ている!」と思ったのは私だけだろうか。ちょうど排気量も同じで、そんなところもイケてると思う根拠になっている。

交通環境に合わせセーフティデバイスも進化

画像出典:Honda
画像出典:Honda

フルフラットデザインのデジタル液晶メーターや新設計のフューエルタンク、シュラウドのデザインも現代風に洗練され、ABSに加えてスリッパークラッチとトラコンが装備されるなど、安全装備の近代化も同時に進められているのもポイントだ。

特に注目したいのは急ブレーキ時にABSと連動してハザードランプを高速点滅させる「エマージェンシーストップシグナル」が新たに装備されたこと。高速等路などの渋滞末尾での悲惨な追突事故防止や、最近とみに問題となっている「あおり運転」への対策としても有効かもしれない。セーフティデバイスの進化により、より多くのライダーが安心してバイクを楽しめることはイイに決まっている。

以上、すべてを語れてはいないがCB650Rがイケてる理由だ。間もなくのデビューを楽しみにしたい。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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