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ケニー佐川が勝手に決める「2018モーターサイクル トップ10」国産車編(6位~10位)

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
「2018モーターサイクル トップ10」国産車編(6位~10位)

2018年を締めくくる意味で本年度に発売されたニューモデルについて、Webikeニュース編集長のケニー佐川が独断で勝手にランキングしてみました。

あらためて振り返ってみると、国産車も本当に多種多様な個性に富んだモデルが発売された年であり、その中でランク付けするのは至難の業でした。話題性や注目度、社会に与えたインパクトやユーザビリティなどを総合的に評価したものですが、あくまでも感覚的なものですので、楽しみながらご参考にしていただければ幸いです。

ちなみに今回はスクーターを対象外としています。国産車編のまずは6位~10位までをご紹介しましょう。

第6位「Kawasaki Ninja H2 SX/SE」

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▲Ninja H2 SX SE

川崎重工の威信を形にした最速ツアラー

川崎重工グループが総力を結集して開発した究極のロードスポーツモデル、Ninja H2をベースにスポーツツアラーとして最適化されたのがNinja H2 SXである。

ポイントは究極の性能と日常での扱いやすさの両立を目指して改良を加えたバランス型スーパーチャージドエンジンで、格段に扱いやすくなっている。車体もタンデム走行とパニア装着に対応し、ライポジやデザインも見直されるなど全面リファイン。最新のボッシュ製IMUにバックアップされた高精度なトラコンやコーナリングABSなど電制もフル装備された。

「SE」はフルカラーTFTメーターやLEDコーナリングライトなどが装備された上級仕様。200ps+スーパーチャージャーの加速はハンパじゃないが、その有り余る性能を余裕に振り分けた超高速クルーズ性能は間違いなく世界ナンバーワンと言っていい。

重量級最速マシンで長年王座に君臨し続けてきたカワサキの面目躍如と言える、まさに頂上モデルに相応しい出来栄えだ。

第7位「HONDA CROSS CUB110」

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カブの実用性はそのままに遊び心は無限大

2018年に全面リニュアルしたスーパーカブ50/110をベースに、遊び心満点のアウトドアテイストで仕上げたのがクロスカブ50/110だ。STDモデルも含めて「カブ」シリーズは今も昔もすべて素晴らしいが、本来のタフでウルトラ使い勝手の良い実用バイクから一歩踏み出してレジャーに軸足を置いている点でクロスカブに一票入れたい。

特に110は余裕のあるパワーと17インチ(50は14インチ)の前後ホイールにより、よりダイナミックで安定感のある走りが魅力。原二なのでタンデムも可能だし、セミブロックタイヤを履いているので林道ツーリングなどもできてしまう懐の広さもある。

頑丈なリヤキャリアにはキャンプ道具を満載することも。つまり、機動力もあって遊びの範囲を無限に広げられるのがクロスカブ110なのだ。それでいて30万円台前半という価格も素晴らしい。

第8位「SUZUKI GSX-R125」

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125と侮るなかれ、その走りは血統書付き

スズキが誇るスーパーバイク、GSX-R1000にそっくりのスタイルにMotoGPマシンと同じファクトリーカラーを纏うなど、見るからに本気度が伝わってくるレーシーな佇まいがカッコいい。

水冷DOHC単気筒エンジンは高回転パワーを狙ったショートストローク設計で、6つのセンサーで制御されたデュアルFIによりクラス最強レベルの15psを発揮。クロスタイプの6速ミッションを搭載するなど、GSX-Rの名に恥じない“走り”を追求したモデルだ。

前後17インチのフルスケールサイズの車体は大人が乗ってもサマになるし、実際のところスポーツ走行での安定感も抜群。サスペンションもしっとりと減衰が効いていて、ある意味で小排気量らしからぬグレード感のある走りが味わえる。そして、驚くほどスリムで軽くてコンパクト。125ccながらGSX-Rの血統を受け継ぐ正統派スモールスーパースポーツだ。

第9位「Kawasaki Ninja400」

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共通の車体に3割増パワーのベストバランス

新型Ninja400は同じく新型250とプラットフォームを共有化した兄弟車として登場。従来のスポーツツアラー的なキャラクターから一新し、車体、エンジン、外装のすべてを新設計した三代目となる新型Ninja250と同じスーパースポーツルックを纏い、一気にレーシーな雰囲気になった。

250もストリートでの扱いやすさとサーキットでの速さを兼ね備えたモデルだが、400はパワーで3割増しとなる48psを発揮しつつ車重は僅か1kg増の167kgと軽量。しかもラジアルタイヤ標準装着だ。それで共通の車体とくれば、どんなに走るか想像してみてほしい。

ちなみにカワサキでは世界戦略車として400を位置付けているらしく、パワーと車体のバランスの良さもピカイチだ。という訳で250も車検無しで気軽に乗れて価格もリーズナブルだが、敢えて400をランクインさせていただいた。

第10位「YAMAHA SEROW250」

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ユーザーに寄り添って進化した人気定番モデル

セローは1985年にデビューしたSEROW225が元祖。道なき道を行く「マウンテントレール」というコンセプトを具現化したモデルだった。2005年には排気量が拡大され車体まわりも一新したSEROW250に引き継がれたが、排ガス規制により2017年を以て生産終了となったのは記憶に新しいところ。

そして今回、多くのファンの期待に応えて登場した新型は、優れたトレッキング性能や扱いやすさなど従来のメリットはそのまま継承しつつ、2psのパワーアップとLEDテールランプを採用するなどデザインをリファイン。元々セローのセールスポイントだった燃費も40km/Lから48.4km/Lに大幅に引き上げられるなど実用性能も向上。林道派だけでなく通勤ユーザーや長距離ツーリング派にとっても実にありがたいメリットとなっている。

人気と実績を考えれば、本来はもっと上位にランクインするモデルだが、ブランニューではないためこの順位とした。同じく復活したSR400とともに、ファンを裏切らないヤマハの企業努力にも拍手を送りたい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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