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V4エンジン搭載のドゥカティ新型スーパーバイクがWSBラグナセカでお披露目か!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
7月7日ワールドスーパーバイク第7戦ラグナセカGPで何かが起こる!?

ドゥカティは2017年7月7日に開催される、ワールドスーパーバイク第7戦ラグナセカラウンドにおいて、新型マシンのアンヴェールを行うことを発表した。それが現行パニガーレRの最終型なのか、あるいはかねてより噂されている新型V4モデルなのか、憶測を含めて話題を呼んでいる。

次期WSBレース用ベースモデルとして開発

その背景には、年初に行われたドゥカティの2017年MotoGPチームの体制発表の場において、CEOのクラウディオ・ドメニカーリが「V4スーパーバイク」の開発を進めていると発言したことにある。

ドメニカーリはプレス向けコメントとして、MotoGPマシンで培われたエンジン開発技術を生かして、信頼性が高く軽量・コンパクトなV4エンジンを一般ユーザーにも提供していくことを明らかにしている。しかも、「デスモセディチRR」のような超高価なプレミアムモデルではなく、通常のハイエンドスポーツモデルであると伝えている。

▲2017年MotoGPチーム体制発表の様子
▲2017年MotoGPチーム体制発表の様子

ちなみにデスモセディチRRとは水冷4スト90度V型4気筒デスモドロミック16バルブを搭載する、ドゥカティのMotoGPマシンをベースにした公道モデルで2007年に限定生産で発売。日本円で866万2500円という価格も話題を呼んだ。

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▲Desmosedici RR
▲Desmosedici RR

情報筋によると、現行の「1199パニガーレR」のラインナップに変わる2018モデルとして登場するらしく、FIMが定めるホモロゲーションに沿った限定モデルとなる予想だ。つまりスーパーバイク世界選手権(WSB)への参戦を前提としたプロダクションレース用ベースモデルということだ。

今後はV4とVツインの2本立てに!?

新型V4モデル開発に際し、ドゥカティとしては伝統的なVツインを捨てるのではなく、レースに勝つための選択としてV4を開発しつつも、最高峰スーパースポーツとしてのVツインモデルは継続する意向を示しているようだ。この戦略はかつてデスモセディチRRでも行われた。

ただし、デスモセディチRRがMotoGPマシンレプリカであったのに対し、今回はWSBに参戦するためのベースモデルである点が異なっている。つまり、記念碑的なプレミアムモデルではなく、勝つための性能を追求した戦闘マシンということだ。

たとえば国産のライバルに置き換えると、ホンダ・CBR1000RR SP2やカワサキ・ZX-10RRのような位置付けと考えていいだろう。

▲CBR1000RR SP2
▲CBR1000RR SP2
▲ZX-10RR
▲ZX-10RR

V4で巻き返しを狙うドゥカティ

Vツインは同じ排気量の4気筒に比べて軽量コンパクトに作れるメリットがある。その一方で排気量当たりのパワーでは4気筒に劣る。そこで現在のWSBレギュレーションでは4気筒が1000cc以下であるのに対し、2気筒は1200cc以下と定められている。いわばハンデが与えられているのだ。

かつてWSBの主流が4気筒750ccだった時代、ドゥカティは2気筒1000ccのマシン(正確には888から916シリーズ)で圧勝していた。その当時はレギュレーション的に有利と言われていたが、現在の規定ではその優位性はほとんどないと言っていいだろう。

ドゥカティの現行ストリートモデルの最高峰である「1299パニガーレ」は排気量的にレース規定外であり、WSBではVツインの上限である「1199パニガーレR」が4気筒勢と競り合っているが、かつて90年代のような圧勝は少なくなってきている。

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事実、ドゥカティは2011年以来、年間チャンピオンからは遠ざかっている。開発中のV4モデルはこれに代わる新世代のスーパーバイクになるはずだ。ドゥカティとしては、MotoGPで培われたV4エンジンの技術とノウハウをそのまま生かせるわけで、レース経営的にもメリットは大きいだろう。

WSB第7戦ラグナセカラウンドにおいてドゥカティが発表するニューモデルがVツインレーサーの最終型なのか、あるいは新型V4なのかは定かではないが、世界中のファンの耳目を集めることは確かだ。まずは7月7日のローンチに注目したい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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