公立学校の “エアコン格差” 設置率 東京ほぼ100% より暑い県で10%

都道府県別にみた公立小中学校の普通教室におけるエアコン設置率

■東京の公立校 エアコン設置率ほぼ100%

子どもの頃に、エアコンなしの「暑い教室」を当たり前のように過ごした世代、そして、いまもエアコンなしの教室で汗だくになりながら日々を過ごしている先生や子どもたちにとって、エアコンが完備されている学校など、想像もつかないかもしれない。

いまや東京の公立校では、ほとんどすべての普通教室にエアコンが備え付けられている。他方で、ほとんど設置されていない地域も数多くある。

公立校の施設環境は、どこでもたいして変わらないと思っていてはならない。この十数年で、夏場の教室の様子はガラリと変わった。いま起きているのは、“エアコン格差”とでもよぶべき、都道府県間の施設格差である。

■「エアコンなし」の学校の涙ぐましい努力

つい先日、「エアコンなし」の小学校に勤める先生が、こんなことを教えてくれた――「夏場は、子どもの机をできるだけ廊下側に寄せている」と。窓からの日が子どもに当たると暑いから、それを避けるためだという。そしてこう付け加えてくれた。「20数人だとできるけど、これも40人近くなると教室のなかに空きスペースが少なくなるから、難しい。」

こうした涙ぐましい暑さ対策は、他にもある。先生が、私物の扇風機を複数台持ち込む。教室と廊下の間にある窓を取り外して、風通しをよくする。さらには、教室の入り口の扉も取り外す。これでも暑ければ、あとは個々での自助努力、下敷きパタパタだ。

■エアコン設置の全国的動向

文部科学省の「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査」(2014年実施)によれば、全国小中学校の普通教室(コンピュータ室や理科室などの特別教室は含まれない)のエアコン設置率は、1998年時点では3.7%に過ぎなかったが、2014年には32.8%にまで上昇している。

公立小中学校のエアコン設置状況の推移
公立小中学校のエアコン設置状況の推移

全国どこの小中学校もほぼ「エアコンなし」であったところに、徐々にエアコンが普及してきている。文部科学省は、普通教室の空調整備においては設置費用の2分の1を交付するかたちで、エアコンの設置を支援している。

■小中学校 東京は99.9% 愛知、岡山、愛媛、奈良は1割前後

ここで、全体的な動向よりもむしろ注目すべきは、都道府県間の格差である。

図をみてほしい。棒グラフは、各都道府県の公立小中学校に関して、普通教室のエアコン設置率を示している。そして、7月中の最高気温の平均【注】が高い順に上から、都道府県が並んでいる。単純化したモデルではあるものの、上から順に暑い地域が並んでいて、上位の地域ほどエアコンの設置率は高いはずだという想定である。

都道府県別にみた公立小中学校の普通教室におけるエアコン設置率
都道府県別にみた公立小中学校の普通教室におけるエアコン設置率

だが一見してわかるように、エアコンの設置率は、気温の高さとはあまり関係がない。東京都は99.9%の設置率であるが、それよりも気温が高いにもかかわらず、設置率がかなり低い県が多くある。たとえば愛知県(12.9%)、岡山県(10.8%)、奈良県(6.1%)などは1割前後の設置率である。また、近隣の県、たとえば同じ四国でも香川県は81.0%と高い設置率であるが、愛媛県は4.6%に過ぎない。

■エアコン格差のこれから

7月もそうだったし、来る9月も、一方の地域では快適な授業環境が保証されていて、もう一方の地域ではその空間にいることさえしんどい状況がある。全国一律であるはずの公立校施設において、この「エアコン格差」はあまりに大きい。

いまはただの過渡期であり、5年もすればエアコン設置率が低くかつ気温が高い地域が急速にエアコンを整備していくのであれば、エアコン格差はそれほど深刻にとらえる必要はないかもしれない。だが他方で、底辺は底辺のまま整備を進めない(進められない)可能性だってある。状況によっては、国のよりいっそうの支援策も必要になろう。

私たち国民には、そうした教育のいまを、エビデンスによってしっかりと描き出し、注視し続けていくことが求められる。

【注】

県庁所在地の市における2006-2015の過去10年分の平均。