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金正恩訪露3周年 北朝鮮外務省がロシアに連帯を表明! 軍事支援はいつ?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
金正恩総書記とプーチン大統領(労働新聞から)

 北朝鮮外務省は金正恩(キム・ジョンウン)総書記訪露3周年(4月24日)の今日、ホームページにロシアとの関係を強化する記事を載せていた。

(参考資料:ウクライナは韓国に、ロシアは北朝鮮に軍事支援を要請!?)

 金総書記は3年前に初めてロシアを訪問し、ウラジオストクでプーチン大統領と初めて首脳会談を行った。金総書記の訪露には李永吉(リ・ヨンギル)大将(軍総参謀総長=当時)が随行していた。李大将は現在、国防相のポストにあり、軍の階級が今月次帥に昇級したばかりだ。

 露朝の軍事協力はロシアが北朝鮮に対する国連安保理の制裁を支持していたこともあってこの時までは中断状態にあった。しかし、それまでは2014年には玄英哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相(国防相)と呂光鉄(ノ・グァンチョル)軍総参謀部作戦総局長(当時)が相次いでロシアを訪れていた。呂作戦総局長はアンドレイ・カルタポロフ軍総参謀部作戦総局長(当時)と会談し、軍事協力を発展させることについて協議していた。また、2015年11月にはロシアからニコライ・ボクダノフスキー第一副総参謀長を団長とするロシア連邦武力総参謀部代表団が訪朝し、呉金哲(オ・グムチョル)副総参謀長らと会談していた。

 金総書記はプーチン大統領の歓迎宴で「戦略的で伝統的な両国の親善関係を新世紀の要求に沿って強化、発展させることが我が政府の確固不動な立場であり、戦略的方針である」と「ロシア重視」を表明し、これに気分を良くしたプーチン大統領は「北朝鮮の安保と主権を保障することが必要だ。国際法に基づく保障だ」とトランプ政権に敵視政策の撤回を求めていた北朝鮮を庇ってみせた。

 今では立場が一変し、北朝鮮が「ロシアの安全保障と主権を保障することが必要だ。国際法に基づく保障だ」と、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大がロシアの安全を脅かしているとして、逆に北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻に理解を示しているどころか、支持を表明している。

 実際に北朝鮮はロシアのウクライナ侵攻から2日後の2月26日には「ウクライナで起きている事態はロシアの安全保障上の要求を無視し、一方的に制裁や圧迫に固執してきたアメリカの強権と横暴が根本的な原因だ」として米国に非難の矛先を向けていた。

 今朝の北朝鮮外務省の記事の見出しは「朝ロ関係発展の全盛期を開いた歴史的な事変」となっていた。両国の関係は全盛期に入っているという認識だ。何を持って全盛期なのかは定かではないが、「両首脳の首脳会談以後、両国の領導者らの格別な関心の中で長い伝統のある親善関係は一層活力を持って発展している」ことを理由に挙げていた。

 外務省はまた、「ここ数年間、予見できなかった世界的な保健危機により直面した少なからぬ試練と挑戦の中でも戦略的意思疎通を強化し、政治、経済、文化などあらゆる分野で高位級の接触と協調の幅が広がっており、国際舞台でも戦術的協同を一層緊密にしてきた」と指摘していた。両国は3年前の首脳会談で「地域の平和と安全保障のため戦略的協力を強化する」ことで合意をみていたが、今朝の外務省の記事は国際舞台で戦術的にタイアップしていることを隠そうとはしなかった。

 そのうえで、外務省は「今日、朝露関係は米国とその追随勢力の挑戦と圧力の中でも両国人民の共同志向と利益に沿って絶え間なく強固発展しており、地域の平和と安定を保障し、自主と正義に基づいた国際秩序を樹立することに貢献している」と指摘していた。ロシアは欧米が主導する国際秩序に挑戦し、ウクライナ侵攻を機に国際地図を塗り替ることを目論んでいるが、北朝鮮はこの問題でもロシアと共同歩調を取っていることを隠さず、公にしていた。

 外務省はまた、「歴史的朝露首脳会談で達した合意に従い、我々の友人でもあり、親善的な隣人であるロシアとの親善協調関係をすべての分野で全面的に発展させていくのが共和国の変わらぬ立場である」と、ロシアへの連帯を表明していたが、「すべての分野」の中には当然、軍事分野も含まれているものとみられる。

 ロシアのウクライナ侵攻から1週間後の3月3日、北朝鮮のキム・ジョンギュ欧州1局長がロシアのマツェゴラ駐朝大使と会談し、またイゴリ・モルゴルフ外務次官が2月に続いて、3月22日にもシン・ホンチョル駐露北朝鮮大使と会談したが、北朝鮮外務省のホームページによると、両国は「戦略的協力関係のさらなる強化に向けて討議した」とされているが、すでにロシアから軍事支援の要請があったことは十分に察しが付く。米国やNATOがウクライナへの軍事的なテコ入れを強めている状況下にあって北朝鮮の静観、傍観は考えにくい。

 今月11日、李善権(李・ソングォン)外相自らが登場し、国連人権理事会でロシアの資格が停止されたことについて「米国が国家間の対決と不信を助長している」と批判し、「国連は米国が気に入らない国々にむやみに政治圧力を加えて威嚇する手段に二度と盗用されてはならない」と、ロシアを全面的にバックアップしていたが、「友人」で「隣人」であるロシアとの親善協調関係をすべての分野で全面的に拡大させることが北朝鮮の一貫した立場ならば、すでに軍事支援を決定していたとしても驚きではない。

(参考資料:ロシアのウクライナ侵攻で注目される露朝の政治・外交・軍事関係)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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