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韓国大統領選 与党の李候補と野党の尹候補の対日政策に違いはあるのか?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
与党候補の李在明氏と野党候補の尹錫悦氏(両氏のHPから筆者キャプチャー)

 今日(3月9日)は韓国大統領選挙投票日(午前6時~午後7時半)である。

 午後8時からの開票と同時にテレビ放送会社3社(KBS,MBC,SBS)合同の出口調査と中央日報系のテレビ放送局「JTBC」の出口調査が同時に発表される。出口調査で差が3%以上開いているならば、リードしている候補の「当確」は動かないものとみられるが、仮に3%以下ならば、開票で大勢が判明する深夜1時頃まで待たなければならない。

 与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補か、それとも最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソッキョル)候補か、次期大統領がどちらに決まるのか、隣国・日本にとっても無関心ではいられない。

 では、「史上最悪」の状態にあると言われている日韓関係を進展させるうえで日本にとってはどちらが望ましいのか?二人の対日スタンスに違いはあるのか?選挙期間中の発言を比較してみることにする。

▲こじれた日本との関係をどう進めるのか

 李候補

 「基本的に相互関係という事実を認め、未来志向で協力していくことが望ましい。韓日関係が厳しいと双方が損をする。国際関係は一方的ではないため、お互いが得をする方向に進むべきである」(相星孝一・駐韓日本大使との会談 2021年12月27日)

 尹候補

 「日本という隣人を地球上の別の場所に移すことはできない。良くても悪くても共に生きる知恵が必要だ。大統領になれば就任後直ちに韓日関係の改善に乗り出す。『金大中・小渕宣言』を改めて確認することから始まる。韓国の現代史でこの時ほど韓日関係が良かった時期はなかった。共同宣言には韓日関係を発展的な方向に導けるほぼすべての原則が盛り込まれている。この精神と趣旨を継承し、韓日関係を発展させれば、両国の未来は明るいはずだ」(自身のフェイスブック 2021年11月11日)

▲元慰安婦問題など「過去」の問題について

 李候補

 「両国の特殊な関係を考慮し、歴史・領土問題と社会・経済の部分を分けてツートラックでアプローチすべきだ。過去と未来の問題を切り離し、真剣に対話することで、両国が共に同意できる道を見つけていけると思う」(相星孝一・駐韓日本大使との会談 2021年11月25日)

 尹候補

「(日本との関係で)なぜ、過去史を前提にしなければならないのか?(過去史の解決と関係改善を同時に追求する)ツートラックで行けば良い。両国の間に共同利益を追求する空間が多ければ、過去史問題は真実に立脚して解けば良い」(「韓国日報」とのインタビュー 2022年2月7日)

▲日本企業に支払いを命じた韓国裁判所の徴用工判決について

 李候補

 「加害企業と被害を受けた民間人の間で行われた判決を執行しないよう求めることは事実上不可能である。これを認める前提の上で問題解決(方法)を見つけなければならない。(日本が)真摯に謝罪すれば、最後に残る賠償問題は十分現実的な方策をいくらでも見つけることができる」(ソウル外信記者クラブの会見 2021年11月25日)

 「歴史は顔を背けても消えるものではない。日本政府は賠償判決を速やかに履行すべきである」(SNS 2021年12月1日)

 尹候補

 「日本は強制動員賠償金が惜しいからではなく、賠償を強制執行するため自尊心を害しているのだと思う。慰安婦問題も我が政府が一貫した立場を見せないので日本はそれならばということのようだ。経済・安保協力を構築し、信頼関係を築けば、日本は謝罪し、賠償するはずだ。未来志向の関係が確立されれば十分に解決できる問題である」(「韓国日報」とのインタビュー 2022年2月7日)

 「韓日シャトル外交を復元させ、高位級協議チャネルを稼働させ、日本軍慰安婦被害者問題や強制徴用者判決問題、日本の輸出規制措置などの包括的解決を目指す」(選挙公約)

▲「日本」について

 李候補

 「『大望』(『徳川家康』の韓国語翻訳本)という歴史小説を2~3年間にわたって読んだ。その後、日本文化を理解するようになった」(相星孝一・駐韓日本大使との会談 2021年11月25日)

 「一つの側面だけを見て(私について)誤解している。個人的には日本の国民を愛し、彼らの質素倹約、誠実さ、礼儀正しさを深く尊重している」(ソウル外信記者の会見 2021年11月25日)

 「日本を追い越し、先進国に追いつき、やがて世界を先導する国、大韓民国をつくる。(我々は)日本の輸出報復に短期間で完璧に勝った国民である」(予備選当選演説)

尹候補

 「以前、(体に)良いと言われ、鹿児島産の酢を食後に希釈して飲んだことがある」(鹿児島出身の相星大使との会見 2021年11月26日)

 「(文政権は)対日関係を国内政治に巻き込んだ。現政権に入ってから対日外交がほぼ壊れた」(ソウルの外国人記者クラブで記者会見 2021年1月12日)

 「古臭い反日扇動だけで国際社会の巨大な変化に立ち向かうことができないことを『3.1独立宣言文』がすでに予見していた。我々が真に日帝占領期の傷を回復し、グローバル中枢に向かうには国際協調に基づく自強を成して、克日、即ち日本を越えなくてはならない」(国民に向けたメッセージ 2022年3月1日)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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