北朝鮮が昨日、労働党中央委員会政治局会議を開き、2018年以来中断していた核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射などの活動を再稼動させる意向を明らかにした。

 今朝の「朝鮮中央通信」によると、国家の重要政策的問題を討議、決定するための政治局会議が金正恩(キム・ジョンウン)総書記の司会の下、開かれ、今後の対米対応方向が討議された。

 政治局常務委員及び政治局員、政治局員候補ら党の最高幹部らが招集された会議では「米国が我が国の正当な主権行使に不当に言い掛かりをつけて無分別に策動していることに関する資料が通報された」として、米国の「無分別の行動」を以下のように列挙していた。

 ―米朝首脳会談以降、近年だけでも自分らが直接中止を公約した合同軍事演習を数百回にわたって行い、各種の戦略兵器実験を行う一方、先端軍事攻撃手段を南朝鮮(韓国)に搬入し、核戦略兵器を朝鮮半島の周辺地域に投入して我が国の安全を重大に脅かしている。

 ―我が国を悪辣に中傷、冒瀆しながら、およそ20余回の独自の制裁措置を講じる妄動を働き、特にバイデン政権は我々の自衛権を骨抜きにするための策動を執拗に続けている。

 北朝鮮はこうした理由から「米帝国主義という敵対的実体が存在する限り、対朝鮮敵視政策は今後も続く」と分析し、また「米国の敵視政策と軍事的脅威がこれ以上、黙過できない危険ラインに至った」と評価し、「国家の尊厳と国権、国益を守り抜くための我々の物理的力をより頼もしく、確実に固める実際の行動に移るべきとの結論に達した」と総括していた。

 具体的には「米国の敵対的行為を確固と制圧できる強力な物理的手段を躊躇することなく強化発展させるための国防政策課題を再度確認し、先決的に、主動的に取っていた信頼構築を全面的に再考し、暫定的に中止していた全ての活動を再稼働する問題を迅速に検討するよう当該部門に指示を下した」としている。

 北朝鮮は2018年6月12日の史上初の米朝首脳会談に向けて2か月前の4月21日に労働党中央委員会総会を開き、核実験と長距離弾道ミサイルの発射中止を決定し、シンガポールで開催された首脳会談の場でトランプ前大統領にそれを確約していた。

 しかし、2019年2月にハノイで行われた2度目の米朝首脳会談が決裂すると、2019年末に開かれた労働党中央委員会総会で「核兵器とICBM実験発射中断など我々が取っていた非核化措置をもはや継続する理由がなくなった」とモラトリアム凍結を宣言していたが、再稼働はせず、発射は短距離ミサイルに限定していた。北朝鮮は2019年に13回、20年に5回、21年に8回、そして今年も4回ミサイルを発射しているが、すべて短距離である。

 北朝鮮はバイデン政権が発足する約2週間前の1月5日に党大会(第8回)を開き、「国防科学発展及び兵器システム開発5か年計画」を示し、この期間に▽核兵器の小型・軽量化と超大型核弾頭の生産▽極超音速滑空ミサイルの導入▽1万5千kmの射程圏内を正確に打撃できる能力の向上▽原子力潜水艦と潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)の保有▽軍事偵察衛星の保有を目指すと宣言し、バイデン政権に対北政策の転換を迫っていた。

 なお、政治局会議では金日成(キム・イルソン)主席の生誕110周年と金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕80周年を「民族大慶事」として盛大に祝うことも併せて決定していた。盛大に祝うことと核実験とICBMの再発射が連結しているのか定かではないが、10年前の金主席生誕100周年の時は西側諸国が長距離弾道ミサイル「テポドン」と称しているロケットを使って人工衛星を発射していた。

 今回の政治局会議が北朝鮮への制裁決議を議論する国連安保理の会議前日に開かれていることから金総書記の「全ての活動を再稼働する問題を迅速に検討せよ」との指示は安保理への牽制と、3月ないしは4月に予定されている米韓合同軍事演習への牽制の色合いが強い。