韓国メディアは日本政府の「韓国のG7参加反対」をどう伝えているのか?

29日の文在寅大統領主宰の青瓦台首席秘書官会議(青瓦台のHPから)

 日本が1年経っても輸出厳格化措置を解除しないのと5年前に明治産業革命遺産が世界遺産に登録された時の約束を履行しないことに加えトランプ大統領が検討しているG7(主要7か国)首脳会議への韓国の参入に安倍政権が反対していることが伝わり、韓国内の反日感情がヒートアップしている。

 茂木外相に続いて菅官房長官も「我が国としては、G7の枠組みそのものを維持することは極めて重要である」と、韓国が加わることに事実上反対の意向を表明したことに韓国大統領府(青瓦台)が猛反発。大統領府の高官は昨日、「日本の恥知らずの水準は世界で最上位圏」とか「恥知らずの極みで非常識」と露骨に不快感を表していた。

 この件では政府寄りの「ハンギョレ」と「京郷新聞」だけでなく保守紙の「中央日報」までもがこの高官の日本非難を見出しに掲げて一斉に報じていた。

 「隣国としてはあり得ない行動である」と憤慨する「ハンギョレ」は日本が輸出規制を解除しないこと、ボルトン回顧録によって日本が朝鮮半島の平和を妨害していたことが明らかになったこと、さらに「軍艦島」をめぐる歴史を歪曲していることなどへの不満が韓国政府内に爆発していると報じていた。

 どちらかと言うと、政府寄りの「ソウル新聞」はこの高官の発言を見出しに掲げなかったものの「アジア唯一の外交的優位を奪われるのを…韓国の参加に反対」との見出しを掲げて取り上げていた。

 経済紙では「毎日経済」が「日本の恥知らずの水準は世界で最上位圏」と右ならえしていたが「ヘラルド経済」に至っては「兪明希落選運動開始・・・G7韓国参与に反対に続くあらゆることに足枷」との見出しを掲げて、「日本がWTOの事務総長に立候補した韓国産業通商資源省の兪明希・通商交渉本部長の落選運動を始めた」と伝えていた。

 テレビでは「MBC」だけが大統領府高官の発言を冒頭に挙げ、韓国政府の日本への「憤り」をそのまま伝えていたが、「KBS」(日本 韓国のG7参加反対を公に表明‥・対北問題、歴史問題の提起を憂慮)と「SBS」(日本 G7維持極めて重要・・・韓国参加反対の言及については返答を回避)は事実関係だけを客観的に伝えていた。それでも「KBS」は最後に「国際社会における韓国の浮上を遮断し、アジア唯一のG7会員国でいたいとの日本の意図が見え隠れしている」との記者の分析を紹介していた。

 一方、視聴率の高い「JTBC」は「日本は出来上がったご飯に灰を・・・韓国のG7参与反対」との見出しを掲げて、G7に続いて日本が韓国の炭酸カリウムのダウンピングの疑いを調査をするなど何かにつけて突っかかってくる」と報道し、「ダンピング調査開始は業界からの要請という形式をとっているが、韓国のWTO提訴への日本政府の意中が反映されている」と伝えていた。

 この他では「連合ニュース」が「G7からWTO事務総長まで・・・日本、国際舞台で韓国の足枷に」との見出しを掲げ、日本の動きを伝えていた。

 「G7問題」を社説で取り上げたのは「ソウル新聞」(「韓国参加反対の日本は度量が狭い」)と「国民日報」(「韓国のG7加入反対・・・親中、親北傾向は口実」)、それに進歩勢力から「親日」と批判されている保守紙「朝鮮日報」と「東亜日報」の4紙。

 「朝鮮日報」は「日本は韓国のG7参加に反対せず、賛成すべき」との見出しの社説の中で「日本は長い間、アジア唯一の先進国という自負心を持っていただけに、韓国が先進国クラブの正式メンバーになって肩を並べることを快く思ってないようだ。日本政府は名分のない反対の立場を取り下げ、むしろ歓迎して、世界の舞台でアジアの発言力を高める機会とすべきである」と直接的な批判は避け、注文を付けていた。

 しかし、「東亜日報」は「日本 G7韓国参与反対・・・そのような狭量でアジア代表を自任するのか」との見出しを掲げ「日本の態度は自ら『アジア代表の走者』という主張に傷をつけるだけだ。潘基文国連事務総長の時も反対票を投じていた。最近では中国人の相次ぐ国連機関のトップ選出にも危機意識が高まっているようだ。日本は今また兪明希通商交渉本部長のWTO事務総長の選挙出馬も警戒している。これでは、アジアから脱しようとした島国・日本の過去だけを浮かび上がらすだけだ」と日本の対応を辛らつに批判していた。

 韓国メディアの一連の報道で韓国内では「日本がG7でのアジア代表というある種の既得権が損なわれ、発言力が半減するという危惧から韓国の参入を邪魔しようとしている」との見方が広まりつつあるようだ。

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(近著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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