在韓米国人の国外避難訓練は対北先制攻撃の前触れ!?

米国人の韓国からの避難訓練を伝えたCNNの記事

在韓米軍は毎年、朝鮮半島有事に備え、韓国在住の米市民を安全な地域に輸送する「非戦闘員救出作戦(NEO)訓練」を行っているが、昨年10月から11月にかけて行われた訓練はソウル駐在の米軍家族らを在韓米軍基地から在日米軍基地に輸送する訓練であったことがわかった。国外脱出訓練は2009年以来7年ぶりの出来事である。

避難訓練を取材した米CNNが4日(現地時間3日)、伝えたところでは、国外避難訓練は、退避命令から荷造り、登録、ソウルから南方への移動、そして国境越えと段階的に行われた。

米国務省は米市民と外交官及び米軍家族らを対象に「非戦闘要員疎開命令」を出し、対象者は避難の際に一人当たり最大で27キログラムの所持品の持参が許される。

今回の訓練には60人が参加したが、ソウル市龍山区にある米軍基地で身元確認の腕輪を渡され、保安検索の手続きが行われる。生物・化学兵器による攻撃を12時間防止することのできるマスクの着用方法に関する訓練も受ける。

一行は、大型輸送ヘリで南方の京畿度・平澤に移動した後、大邱にある米軍基地で一泊して翌日C―130輸送機で釜山にある金海空軍基地から日本の沖縄に向けて飛び立った。

非戦闘要員退避企画官のジャスティーン・ストーン氏は「最悪のシナリオは北朝鮮が国境を越えて来ることであり、我々は人々を危険な場所から移動させる必要がある」と訓練の目的を語っていた。

CNNの同行取材で米人の国外避難訓練の事実が明るみに出るや、ソウルの証券市場や為替市場では金利やレートに影響を及ぼす恐れがあるとの危惧の声が上がっている。外国投資家らに不安が広がる恐れがあるからだ。それもこれも、CNNが恒例の訓練をあえて記事にしたこと、それもこれまでの訓練とは異なり、2009年以来7年ぶりの韓国からの脱出訓練だったことに尽きる。

というのも、2009年という年は4月の北朝鮮による人工衛星と称した長距離弾道ミサイル・テポドンの発射をめぐってゲーツ米国防長官(当時)が「発射すれば、迎撃も辞さない」と警告し、これに対して北朝鮮人民軍参謀部が「(米国が)我々の人工衛星に迎撃行動をとれば、発射手段(イージス艦)への攻撃だけでなく、根拠地への報復打撃を開始する」と威嚇し、軍事的緊張がピークに達していた年である。

「イージス艦撃沈」の指示は最高指導者の父・金正日総書記ではなく、父親と共に発射に立ち会っていた当時まだ25歳だった後継者の金正恩氏から出されていた。実際に金正恩氏の28歳の誕生日にあたる2012年1月8日に放映された金正恩活動記録映画をみると、金正恩委員長はミサイル発射を父親と共に平壌の管制総合指揮所で参観していた。映画のナレーションでは「仮に迎撃された場合、戦争する決意であった」との金正恩委員長(当時党中央軍事委員会副委員長)の言葉が流れていた。

実は、米国はクリントン政権下の1994年6月に北朝鮮への核施設への先制攻撃を決断した際にも駐韓米大使を通じて米国人の国外避難指示を出していた。このことは、当時、金泳三政権下で大統領秘書室長の職にあった朴寛用氏が国会議長となった2003年に「月刊朝鮮」(2月号)で詳細に語っていた。

「当時、鄭鍾旭青瓦台(大統領府)外交安保首席補佐官がどこからか『駐韓米大使館が数日以内に米軍家族らに退去命令を出す準備をしている』との情報を聞き出してきた。確か1994年6月のことと記憶している」

「駐韓米大使を呼び、事実関係を確認した後、金泳三大統領はクリントン大統領に電話をして『戦争は絶対にダメだ』と強く抗議した。クリントン大統領が国家安全保障会議を招集し、戦争に備えた兵力増強を論議していることを我々は全く知らされてなかった」

「軍事行動直前にはおそらく米国は通報してくるだろうと思っていた。韓国軍と米軍が一緒に行動しなければならないわけだから。しかし、1998年9月にワシントンに行った時、1994年当時ホワイトハウス国家安全保障会議のメンバーだったダニエル・フォーネマン非核拡散担当特別補佐官からとんでもない話を聞かされた。彼は『当時米国は韓国への通告や武力展開、駐在員の避難などの事前措置は北朝鮮に先制攻撃の口実を与えかねないと判断し、現状のままで直ちに攻撃する考えだった』と言い放った。私はもう驚きを飛び越え、我が国の運命がこのように決定していたのかと、虚脱感みたいなものを感じた」

「戦争はやってはならないと駆けまわる以外に我々に手だてがなかった。実際、金泳三大統領がそうだった。米国はあの時、金日成(主席)が米国の軍事的脅威に屈服してなかったら韓国政府に戦争に同意するよう相当な圧力を加えてきたかもしれない。朝鮮半島の軍事情報は全部米国が握っていた。米軍が我々に言わないのは我々に対する圧迫手段となる。『北朝鮮の核開発状況がここまで来ているのにそれでもお前らはいいのか』と迫られれば、我々に選択の余地はない」

金委員長は今年の新年辞で大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を示唆し、これに対してトランプ次期大統領は「そのようなことは起きないだろう」との趣旨の発言をしていたが、11日にニューヨークで行われる記者会見でその意味が判明するだろう。

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動開始。98年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー 。2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会会員、日本ペンクラブ会員。著書に「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」(飛鳥新社)「世界が一目置く日本人、残念な日本人」(三笠書房)「大統領を殺す国 韓国」(角川)「金正恩の北朝鮮と日本」(小学館)「北朝鮮100の新常識」(マサダ)「韓国人と上手につきあう法」(ジャパンミックス)など20数冊

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