「ロッテファミリースキャンダル」で次男・辛東彬会長に忍び寄る捜査の手

辛東彬(日本名:重光昭夫)ロッテグループ会長

韓国財閥5位のロッテグループ本社と系列社30社に対して韓国の検察が家宅捜査に入ってからほぼ1カ月経過したが、ロッテグループ創業者である申格浩(シン・ギョクホ、日本名:重光武雄)総括会長の長女である辛英子ロッテ福祉奨学財団理事長が今日にも横領、背任容疑などで逮捕される可能性が強まった。ロッテ―オーナーファミリからの第一号の逮捕者となる。

売上額が83兆ウォン、系列会社93社、国内で12万、海外で6万人、合わせて18万人の従業員を抱えるロッテグループが司直の対象となったのは初めてのことであるが、ファミリーから逮捕者が出るのもこれまた初めてのことである。

辛英子理事長は今月1日に検察に出頭し、取り調べを受けていたが、容疑は2012年から2014年まで「ホテルロッテ」免税店代表の座にあった際に「ネイチャーリパブリック」のロッテ免税店出店に便宜を図り、その代価として10億円受け取ったほか、一部化粧品会社や飲食店などからも同様に金品を授受した容疑が掛けられている。その額は30億~40億ウォンとも言われている。

業者からの「賄賂」は息子所有の流通会社「BNF通商」とコンサルティング契約を交わしていたかのように装ってそのコンサルタント料として支払わせていた。そして、この会社に娘3人を役員として登録させ、彼女らの役員報酬として自分の手元に還流させていた。英子理事長には「BNF通商」のコンピューターデーターを削除するなど証拠隠滅を画策していたことから逮捕令状が出されていた。

しかし、英子理事長の逮捕は検察の「ロッテスキャンダル」追及の入口の段階で、狙いはロッテグループによる組織的な裏金作り疑惑の追及とその使途、行方であることからロッテグループ会長兼ホテルロッテ代表理事である次男の辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)氏も捜査対象として名前が挙がっている。

疑惑が浮上してから約1カ月ぶりに帰国(6月3日)した辛東彬会長は姉の金銭疑惑について「知らない」と返答しているが、今後被疑者として召喚される可能性は大だ。というのも検察のターゲットは主な裏資金調達ルートして時価総額9兆ウォンを超すロッテグループ系列では最大規模の「ロッテケミカル」に注目しているからだ。

「ロッテケミカル」が日本側から原料を購入する過程で日本のロッテ系列社を間に入れて巨額な手数料を手にしていたと検察では睨んでいる。具体的には「ロッテケミカル」が2010~13年の石油化学原料物質輸入する際、中間に日本の「ロッテ物産」を介在させて裏資金を調達していたとみている。このため韓国の司法当局は「ロッテケミカル」と「ロッテ物産」の取引内容を調べるため日本の司法当局に協力を求めている。

「ロッテケミカル」は日本の株主の反対を理由に資料提出要求を拒んでいるが、この件では辛東彬会長の最側近のファン・カッキュ政策本部運営室長が近々召喚される見通しだ。

検察はすでに「ロッテケミカル」の財務担当理事の身柄を抑え、辛格浩総括会長と辛東彬会長が系列社を通じてそれぞれ毎年100億~200億を受けていたとの陳述を得ているとされている。ロッテグループの資金管理人らは「配当金や給料である」と反論しているが、検察は不法手段による裏金とみなしている。

検察はまた、辛東彬会長が財政難に陥っていた系列会社の不実を隠すためグループ系列社に有償増資に参加するよう指示したとみてこの件でも取り調べる方針だ。やはり側近の一人、「ロッテ資産開発」のキム・チャングォン代表も捜査線上に上がっている。「ロッテ資産開発」は不動産を購入し、ショッピングモールなどに開発し、分譲賃貸委託運営など事業をする会社で、立地選定や指揮開発、各種施設建設などを手掛ける業務特殊上グループの秘密資金造成の窓口とみられている。

仮に今回の捜査で親子の不正が判明した場合、父親は2010年から痴ほう防止薬を服用していたことを理由に判断、責任能力がなかったと責任を回避できるが、代わりに2011年に会長の座に就いた辛東彬会長が全責任を負わなくてはならないかもしれない。

検察は、6月10日、14日と2度に渡って行ったロッテ系列会社の家宅捜査を通じて応酬した資料を分析した結果、ロッテグループ制作本部が今年4月から捜査に備え証拠を組織的に隠滅した事実を把握しており、これを指示したトップラインを調べている。

親子の故人資金を管理している資料のほか、グループ系列社の買収や合弁に関する内部取引関連資料などが大挙破棄され、また韓国ロッテグループの系列社が93社、オーナー一家が所有している系列会社だけで37社に及ぶこともあって捜査に若干手間取っているが、それでも早ければ今月下旬にも辛東彬会長は召喚されるのではとみられている。

検察の狙いが韓国国内で得た収益の大部分が日本に流出されているロッテの体質、支配構造にメスを入れることにあるのか、ロッテワールドが李明博前政権下で認可されるなど各種特恵を得ていたことから前政権との「癒着」にまで捜査を拡大するのか、朴槿恵政権の対応次第である。

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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