Airbnbで自宅を貸したはいいが、売春組織に利用され家財破損された場合、どうなるか?

「現地の人から家を借りる」という宣伝で世界中で人気のAirbnb(写真:ロイター/アフロ)

旅先のAirbnbで楽しかった思い出は数知れない。なんといっても、見知らぬ街で、あたかも住人かのような気分で生活できることが素敵だと思う。

しかし、最近、あまりのAirbnb流行ゆえに「ベニスに行ったら生活感がない街になっていてがっかりした。普段から暮らしている人の数なんて数えるほどみたいだった」というような意見を多く聞くようになった。ここ、パリ市でも、以前、私が住んでいたモンマルトルのアパルトマンは、短期貸し部屋ばかりの建物に変身したらしい。ただ一人、30年来住んでいる昔からのうるさ型住人がいるが、彼女は「短期間しか滞在しない行きずりの人たちは、騒いでもゴミを規定外の場所に放っても平気。根付かない人間には責任感がないから困る」と愚痴っている。

ところで10月14日版Le Parisien紙で、Airbnbで貸したアパートが売春とそれに次ぐ薬物使用、ドンチャン騒ぎに使用され、おまけに家具を破損されたホストの話が掲載されていた。

今や、Airbnbはパリのみならず交通の便が良い近郊にも出現している。Aさんは、9月半ば、サン・ドニ県の自宅を「パリから12分、可愛いインテリアの3部屋」というアノンスでAirbnbを通して貸した。コンタクトしてきたゲストはトゥルーズ市のニコラ・R氏。プロフィールには「神経質過ぎるほど清潔」とあり、過去にR氏を泊めたホストからのレビューを読んでも評判の良いゲストだったので信用した。数回やりとりした後、R氏は3、4人で泊まるということになった。

ところが、R氏の滞在が終わり、Aさんが掃除に赴いたところ、食べ残しの山、ウォッカの瓶数本、アパルトマン中に散らかるゴミ、それに加えて脱ぎ散らかしたセクシー下着から使用済コンドームまでで足の踏み場もなかったとか。白い粉のあとが残る小さなプラスチック袋が数枚、マントルピースの上がナイフで傷つけられていたなどコカイン吸引の痕跡も。ヒーターが引っぺがされ、窓が壊れ……

同じアパルトマンの住人の話では、R氏は3人の女性と現れ、女性を階上にあげた後は、アパルトマンの入り口で客を待って案内していたということだ。間違いなく売春に使われたらしい。

Aさんは公証人に破壊されたアパルトマンの証拠をとってもらい、その後、警察に届けた。しかし、彼女にとってこのアパルトマンは自宅。同じベッドに寝るのは気持ち悪いし、全ての家具を捨てたい気分になるなど、精神的にもショックを受けた。

損害額は総額5万ユーロ(約650万円)だという。一方、Airbnbは「ホストを守る」というページで「最高80万ユーロ(1億円相当)の財物損害保証が自動付帯」と明記している。しかし、Airbnb側は、Aさんがこの事件について報告しても、700ユーロ(約9万円)を送ってきたのみ。アパルトマンを片付けるまでの間の宿泊場所の提供も、弁護士を介入させたと報告してから、2週間後のこと。これではあまりに遅い対応だ。

売春網の30%から40%がインターネットで借りることができる短期アパートを利用

おまけに、AさんとしてはR氏が支払った宿泊費も受け取っていいものかどうかわからない。フランスでは売春するのは許容されているが、買春客(最高1500ユーロ、再犯は3750ユーロ)と斡旋者(7年の禁固刑および最高15万ユーロの罰金)は罰せられ、売春に使用される場所の提供も10年の禁固刑および最高75万ユーロの罰金刑に処されるからだ。

人身売買防止局によれば、売春網の30%から40%がインターネットで借りることができる短期アパートを利用しているとのことだ。ホテルのようにフロントで睨まれることもないし、安い、数日毎に場所を変更することで警察が捜査しても足がつきにくい。パリでは、2016年にエスコートガールの募集広告に応募してきた未成年の女性数人を覚せい剤中毒にし、Airbnbで借りたアパルトマンで売春させていたグループが逮捕されている。

Airbnbでは、ゲストのプロフィールをFBなどで探して確かめること、電話番号にエスコートという単語を足してGoogleに入れて探してみるなどの工夫をホストに勧めているようだが、プロの売春組織を相手にどれほどの効果があるものか?