科学ジャーナリスト。1951年東京生まれ。1977年朝日新聞入社、83年科学記者となり、ヨーロッパ総局員、科学医療部長、論説副主幹、編集委員などを務め、2013年に退職。16年3月まで2年間、北海道大学客員教授(電子科学研究所)。関心領域は宇宙、量子、素粒子などの基礎科学と科学思想、生命倫理、科学メディア論。著書に『科学をいまどう語るか――啓蒙から批評へ』(岩波現代全書)、『量子論の宿題は解けるか』(講談社ブルーバックス)、共著に『量子の新時代』(朝日新書)。1週1回のブログ「めぐりあう書物たち」を継続中。
記事一覧
- 原発「13兆」の警告――人間の尺度を超えるな
量が質に転化するように質も量に転じる。原子力は日常のエネルギーと異質だからこそ、それに伴う数値を桁違いにする。東京地裁が東電旧経営陣に13兆円余の賠償を命じた株主代表訴訟判決は、そのことを物語る。
- 公と個の狭間で――ワクチンが問う医療報道
新型コロナのワクチン接種。感染禍収束の決め手となることが期待されるが、小さな確率で起こる副反応も無視できない。「公」の恩恵と「個」の安全――二つの価値観の狭間でマスメディアの医療報道が試される。
- 本庶劇場には第一幕があった
基礎科学の底力を見せつけた本庶佑さん。がん治療薬に直結する1990年代以降の業績ばかりが語られがちだが、それよりも早く免疫学のスターだった。科学には、基礎研究が基礎研究として輝く時代が欠かせない。
- ミスター・トランプ、あなたは1930年代を生きてませんか
トランプ就任演説を聴いて1930年代にいるような錯覚に陥った。道や橋やトンネルを造って雇用を生もうなんて、ニューディール政策アゲインだ。そこでは20世紀後半のエコロジー思想がすっぽり抜け落ちている。
- トランプ政策、「ロボット」作家1930年の予言
ロボット社会で何が起こるか、を戯曲にしたチェコの作家カレル・チャペック。その人が86年前のエッセイで、未来の米国にトランプ路線をなぞるような政策を掲げた最高権力者が現れることを予想していた。
- 熊本地震、原発は「公式発表で」の危うさ
熊本地震の原発報道で、NHKトップが「公式発表をベースに」と号令を発したようだ。「過去の経験則にない」といわれる地震活動を前に専門家の多様な見解が聴きたいのに、あまりに貧弱なメディア観ではないか。
- 「エボラからの生還」が映す人命の南北格差
エボラ出血熱から生還した人が欧米では次々に現れている。この感染症で死に至る人の割合が高いのは事実だが、医療資源さえ十分にあれば「致死的」とは言えないらしい。見えてくるのは生存インフラの南北格差だ。
- 科学に成果主義を強いて規則漬けにする愚――理研改革提言書の矛盾
成果を急いで出せ、ただ、競争が激しくなれば不正も起こりやすくなるから規則で縛れ――STAP騒動の震源CDBの解体を求めた理研改革提言書の青写真は「科学者の自由な楽園」の再建とはほど遠い。
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