「優良PTA文部科学大臣表彰」は何のため? 選考基準や目的を問う

表彰式は毎年、都内一流ホテルで行われる(※写真はイメージです)(ペイレスイメージズ/アフロ)

 21日、東京都内のホテルで優良PTA文部科学大臣表彰式が行われた。毎年11月に行われるものだが、聞いたことがあるだろうか。

 文部科学省の表彰要綱によると、これは「PTAの本来の目的・性格に照らし、優秀な実績を上げているPTAを表彰し、PTAの健全な育成、発展に資することを目的とする」もの。今年は全国123団体が選ばれた。主催は日本PTA全国協議会(日P)だ。(*)

 この表彰は以前から「被表彰団体の選び方が適切か」という点について、問題が指摘されている。というのは、加入意思を確認しない、つまり加入同意なく会費を徴収しているPTAも表彰されているからだ。

 表彰を受けるPTAを選んでいるのは、誰なのか? 文科省は、各都道府県の教育委員会に候補団体の推薦を求めている。各教委は、市区町村の教委、または都道府県・政令市のP連(自治体単位でつくられるPTAのネットワーク組織)に推薦を求め、最終的には各市区町村のP連が推薦することが多いようだ。

 選考の際に参照されるのは、文科省が表彰要綱で示す「表彰基準」だ。

2 表彰基準

組織・運営及び活動について,次に掲げる要件を満たす団体であること。

(1)組織・運営

ア 適切な組織が構成され,効果的な運営が行われていること。

イ 会員の総意を十分反映して運営が行われていること。

ウ 保護者と教師との協力が円滑に行われていること。

エ 予算,経理が適切であること。

オ 地域の諸機関・団体との連携・協力が図られていること。

カ 組織運営に関する適切な情報公開,活発な広報活動が行われていること。

(2)活動

ア 地域住民等と協働して行う「地域学校協働活動」(学校支援活動、放課後や休業日等における教育・体験活動,学校外における教育・体験活動,その他地域の住民・団体等と協働して行う諸活動)が活発に行われていること。

イ 学校教育,家庭教育,社会教育に関する学習活動その他会員相互の学びに関する諸活動が活発に行われていること。

ウ 児童・生徒等の生活指導に関する活動が活発に行われていること。

 このように、加入方法については、ひとことも言及がない。

 じつは、文科省は平成22年(2010年)春、被表彰団体の推薦について「PTAが任意加入の団体であることを前提に」という文言を含む事務連絡を出している。

 しかしこのとき「表彰基準」は変更されなかったため、実際の被表彰団体の選考にあたり、加入方法が加味されることはなかった。

 不適切な(違法ともいう)運営を行うPTAを国が表彰するのは、問題ではないのか? 以前、筆者が文科省に電話で問うたところ、「選んでいるのは都道府県だ」との返答だった。

 おそらく都道府県教委に問い合わせれば、「選んでいるのは都道府県P連だ」と返され、都道府県P連に問い合わせれば「市区町村P連が選んでいる」と返されるのだろう。

 ともあれ「文部科学大臣」の名前で表彰しているからには、最終的に表彰団体を決定しているのは文部科学省であり、文部科学大臣だと考えるのが妥当だろう。

*何のためにやっているのか

 では実際、市区町村のP連では、どのように候補団体を選んでいるのだろうか。

 数年前からある市P連で被表彰団体の選考にかかわってきた男性は、こう話す。

 「まず市教委の依頼を受け、市P連が過去の受賞履歴などを見ながらいくつかの単P(個々のPTA)を推薦し、そこと連携して書類を作るんですが、ここがまず大変です。提出書類も、記入項目も多いので。そのあと、市教委が候補に上がったPTAと面談して、県の教委がまた審査をして、という流れで決まるんですが、実際に表彰される単Pは、ほんの一握りです。

 単Pに負担をかける部分が多くて申し訳ないので、去年からうちのP連では推薦をやめて『立候補制』にしました。でも、手を挙げてくるPTAはありません。そもそも、表彰されたいと思ってPTAをやっている人はいるんですかね?」

 また中部地方のある市P連経験者は、「その年の研究大会の発表校になったPTAが表彰されている」と話す。県Pの内規を見せてもらったところ、たしかにその旨、きっちりと明文化されていた。

 候補団体を厳密に選ぼうとすれば負担が大きくなり、負担を減らそうとすれば自ずと形式的な選考になるようだ。

 そもそも、P連(PTA)が選んだ団体を文科大臣が表彰するというのも不思議な話だ。さらにいえば、文科大臣が社会教育関係団体であるPTAを表彰するのは、どんな目的なのか。

 「優良PTA文部科学大臣表彰」は、今後もこのまま継続すべきものなのだろうか?

 おそらく文科省も慣例的に行っているのだろう。表彰基準に適法性(加入方法)を加味するのはもちろんのこと、「なぜ表彰を行うのか」という存在目的から見直す必要があるのではないか。