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2023年3月最新「内閣支持率・政党支持率」トレンドレポート

大濱崎卓真選挙コンサルタント・政治アナリスト
画像は筆者作成

内閣支持率・政党支持率の見方  

この記事では、先月に引き続き世論調査会社グリーン・シップの「GS選挙調査センター」が全国規模で毎日実施している情勢調査のデータ提供を受け、またその他の調査の数字などから、内閣支持率や政党支持率の分析をお送りします。

岸田内閣の支持率は上昇傾向が顕著に

モーニングコンサルタント社(https://morningconsult.com/global-leader-approval/)より引用
モーニングコンサルタント社(https://morningconsult.com/global-leader-approval/)より引用

モーニングコンサルタント社が行っている内閣支持率調査では、3月以降内閣支持率が上昇傾向にあることが読み取れます。20%強程度で推移していた支持率が30%前後に上昇したこと、内閣不支持率がそれに対応する形で60%程度まで下がってきました。グリーン・シップ社の調査でも、3月中の内閣支持率は上昇傾向にあり、3月19日以降30%を下回ることはなくなりました。不支持率も同様に低下傾向にあり、少なくとも3月中旬から下旬にかけて上昇傾向にあることは間違いありません。

GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用
GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用

内閣支持率が上昇した理由として、岸田首相の「ウクライナ訪問」と「異次元の少子化対策」の議論に進展があったことが要因になっていると考えられます。ウクライナ訪問など、外交や安全保障での取り組みは支持率向上に影響しやすく、「岸田首相がウクライナに訪問した」という国民からも簡単に理解できる外交政策だからこそ、支持率の上昇に影響したのでしょう。異次元の少子化対策は、3月末に示すたたき台に関して、児童手当などの経済的支援、保育や育休の拡充などの議論が行われてきました。これらの政策は若い世代にとって生活に直結する問題であるため、49歳以下の内閣支持率が上昇したと考えられます。

GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用
GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用

一方、内閣支持率が低下する要因として、放送法の政治的公平性をめぐる行政文書における質疑での高市早苗氏の発言がありました。しかし、この問題は保守層が離れるほどには至りませんでした。そして、この問題を追求していた立憲民主党の小西洋之議員が、報道機関への圧力とも窺える発信をSNS上で行っていたことや、記者団の質問に「法的措置をとる」と繰り返した失言もあり、内閣支持率が低下する影響を与えなかったと考えます。

今後の見通しとして、支持率は緩やかに上昇していくと予想できますが、支持率が急上昇して支持・不支持が逆転するようなことは当面の内はないと考えられます。統一地方選挙終了後の5月に広島で開催されるG7サミットにおいて、日本が議長国として成功するかどうかが、次の内閣支持率を見る上でのポイントになるでしょう。今回のウクライナ訪問により内閣支持率が上昇したことを踏まえると、G7サミットによる外交政策は国民から高い評価を受ける可能性があります。

政党支持率の推移

GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用
GS選挙調査センター「世論レーダー」より引用

政党支持率は、自民党の支持率が横ばいとなっており、内閣支持率と比較しても政党支持率の変化はありませんでした。日本維新の会は統一地方選挙前半戦にて、大阪市長と府知事を当選させたダブル戦を制しただけでなく、大阪府議会と市議会の両方で過半数を獲得、奈良県知事に維新新人候補が当選し、勢力を拡大させました。統一地方選挙後半戦の結果も影響することが予想されますが、4月の世論調査における日本維新の会の支持率上昇に注目です。

グリーン・シップ社の調査は、若い世代にもアプローチされるスマホ調査であるため、日本維新の会の支持率が立憲民主党の支持率を上回っている状態が続いています。野党第一党を争う立憲民主党ですが、3月において、ほとんど日本維新の会の支持率を上回ることができませんでした。3月初旬に公明党は5.4%でしたが、3月末には4.3%と支持率は減少しました。一方、3月末に、れいわ新選組と共産党は支持率を上昇させ、公明党を抜き去りました。また、ガーシー元参議院議員の件で話題となっていた政治家女子48党(旧NHK党)は、立花氏と大津氏の対立により党内で混乱が生じましたが、支持率が上昇しました。政党支持率の3月期間の合計では、国民民主党がれいわ新選組、共産党、公明党を抜いて4.6%となっているので安定した支持率を獲得していることがわかります。

選挙コンサルタント・政治アナリスト

1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2021年度経営情報学会代議員。

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