農林漁業の制度的仕組みが次々と改変されています。昨年の種子法廃止に続いて農地法一部改正、卸売市場法改正、森林管理法の制定、漁業権見直し案など成立したり成立寸前だったり、あるいは案が提示されたりといった具合です。

 いずれも、これまで国や自治体など公的な枠組みのもとで運営されていたものに、民間企業の参入を認めようというものです。種子法でいえば、コメ、ムギ、ダイズという基本食料は従来育種から種子生産、配布に至るまで都道府県を中心に公的管理のもとにあったものを廃止し、自由競争に任せるということで、法律そのものをなくしてしまいました。農地法は今国会で一部改正が実施され、全面コンクリートで覆った土地も農地として認められることになりました。農業に土はいらないということです。これからの生産の主軸となる植物工場を念頭に置いた改正です。大きな資本を要する植物工場は装置産業としていま資本の参入が相次いでいます。

 卸売市場もこれまでは都道府県や大都市による公設でしたが、そこに民間企業の開設を認めることになります。大手流通・食品資本生鮮商品の流通が独占される可能性が出てきます。森林についていえば、所有者の手入れが行き届かない森林に対して、半ば強制的に企業などの管理をゆだねることができるようになります。森林は木材生産という経済的側面だけでなく、環境を守り水を涵養するという大事な役割がありますが、外部資本の参入によって、それがないがしろにされる恐れがでてきます。漁業権のへの民間資本の参入を認める改正も、同様の恐れが出てきます。漁業権は地元の漁業者が海や浜を自分たちの資源として管理し、大切にすることで自分たちも生きていくことを保障してきました。民間資本の参入は海や浜を儲けの対象にすることで荒らしてしまう可能性も出てきます。

 もちろん民間資本の参入がすべて悪いということはできません。しかし種、土地、森、水、海、浜、生鮮食品の流通がこれまで公的管理のもとに置かれてきたのには、それなりの理由があります。これらは総称して社会資本あるいは社会的共通資本といわれるものです。経済的価値だけでなく、人びとの生存や自然環境の保全にとってなくてはならない資源として、資本の手にゆだねるのではなく、公的に管理されてきたのです。いまその「公」(おおやけ)の部分が次々と取り払われているのです。