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ウエスタン・リーグ最多タイ&チーム新記録の1試合7本塁打!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
この2試合で3発!2ケタHRの井上広大選手。写真は8月、新潟三条での巨人戦にて。

 21日のウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)で、阪神は7本塁打を放ちました。これは阪神ファームとして1試合の最多新記録です。

 試合の取材はできないものの、これまで最多だった5本を一気に塗り替えたとあっては、やはり記事を出さねば!と思い、遅ればせながら書かせていただきました。

 1試合7本塁打というのは、ウエスタン・リーグの最多タイ記録でもあります。それはのちほどご紹介することにして、まず試合結果をご覧ください。

《ウエスタン公式戦》

阪神-オリックス29回戦 (鳴尾浜)

  オリ 440 040 201 = 15

  阪神 001 114 330 = 13

▼バッテリー

 【オ】○竹安(3勝3敗)(5回)-吉田凌(2/3回)-斎藤(1/3回)-海田(1回)-K鈴木(1回)-S横山(2敗5S)(1回) / 福永-松井

 【神】●ガンケル(1敗)-岡留-秋山-小野-岩田-小林-斎藤 / 片山-中川-藤田

▼本塁打

  オ:渡部 1号ソロ (ガンケル)

    マッカーシー 3号2ラン (ガンケル)

    マッカーシー 4号3ラン (ガンケル)

  神:高寺 3号ソロ (竹安)

    遠藤 2号ソロ (竹安)

    北條 1号ソロ (吉田凌)

    江越 5号2ラン (斎藤)

    江越 6号ソロ (K鈴木)

    井上 10号ソロ (海田)

    井上 11号2ラン (K鈴木)

▼三塁打 神:豊田

▼二塁打 オ:佐野如2、杉本

     神:高寺、前川

▼盗塁  オ:来田 神:中川

▼打撃    (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

 1]左:高山  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .247

 〃打左:江越 (2-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .229

 2]二:山本  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .286

 〃二:遠藤  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .227

 3]指:前川  (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .200

 4]右:井上  (5-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .227  

 5]一:ロドリ (1-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .259

 〃三:北條  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .263

 6]三一:板山 (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .252 

 7]中:小野寺 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .274

 〃打中:豊田 (3-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .254

 8]捕:片山  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .211

 〃打捕:中川 (2-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .289

 〃打捕:藤田 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .259

 9]遊:高寺  (4-2-2 / 1-1 / 0 / 0) .276

▼投手     (安-振-球/失-自/防御率)

  ガンケ 2回 47球 (9-0-0 /8-8/14.29)

  岡留  2回 12球 (0-0-1 /0-0/ 1.65)

  秋山  2回 30球 (4-1-0 /4-4/ 3.34)

  小野 1.0回 33球 (2-1-2 /2-2/ 6.91)

  岩田  1回 20球 (2-0-0 /0-0/ 1.91)

  小林  1回 26球 (0-3-1 /0-0/ 0.90)

  斎藤  1回 19球 (1-1-1 /1-1/ 1.76)

        ※“球”は四球と死球の合計

《試合経過》※敬称略

 まずガンケルが渡部に初回先頭打者ホームランを浴びて始まった試合。2アウト後にヒットを許し、続くマッカーシーの2ラン。さらに内野安打とタイムリー二塁打で、いきなり4点を先制されました。

 2回もマッカーシーに2打席連続となる3ランをバックスクリーンへ放り込まれるなど計4点を失い、早くも8対0という一方的な展開です。

 しかし阪神も、ここから反撃開始。3回に高寺が負けじとバックスクリーンへ3号ソロ、4回は先頭の遠藤が同じくバックスクリーンへ2号ソロ。2点を返したのですが…

 5回に秋山が先頭から3連打のあと佐野如のタイムリー二塁打で2点、連続犠飛で2点と、この試合3度目の1イニング4失点で12対2となりました。

 その裏に前川の左犠飛で1点を返し、6回は北條が1号ソロ、そして中川の内野安打などで2死二塁として高寺のタイムリー二塁打!さらに江越が5号2ラン!こちらもこの回は4点を取って12対7と追い上げます。

 終盤に入っても打ち合いは終わりません。7回に渡部のタイムリーと宜保のタイムリー内野安打でオリックスは計14点。その裏の阪神も井上の10号ソロ、ヒットの板山を一塁に置いて豊田がタイムリー三塁打!代打・藤田のタイムリーで3点を返します。これで阪神も2ケタの10得点。

 14対10で迎えた8回裏は、まず先頭の江越が6号ソロ、1死後に前川の二塁打のあと井上が11号2ラン!ついに1点差としました。しかし反撃はそこまで…。

 9回に暴投で1点を追加され、その裏は三者凡退。オリックス18安打(3本塁打)、阪神16安打(7本塁打)の計34安打、15対13という派手な試合が終わりました。

21日のオリックス戦で2号ソロを放った遠藤成選手。これは昨年秋のフェニックス・リーグです。
21日のオリックス戦で2号ソロを放った遠藤成選手。これは昨年秋のフェニックス・リーグです。

過去に3度あった1試合7本塁打

 ウエスタン・リーグの1試合チーム最多本塁打は7本で

 1981. 5.23(新勝寺) 南海 対広島

 1989. 6. 1 (ナゴヤ) 中日 対阪神

 2015. 8. 5 (雁の巣) ソフトバンク 対広島

 の3度ありました。よって今回の7本はリーグ4度目のタイ記録ということですね。それにしても対戦チームがみんな広島というのは…。

 またオリックスも合わせると10本となり、これも1試合で出た両チームの合計ホームランのウエスタン・リーグ最多タイ記録です。

過去には

 1992. 7.30 (みろくの里) 広島-阪神

              5本ずつ

 2003. 5.30 (北神戸) サーパス-広島

             5本ずつ

 2005. 6. 4 (北神戸) サーパス-広島

             4本 6本

 と3試合で記録され、これも今回が4度目となります。これまた広島が、今度は打った立場として3試合とも絡んでいますね。

江越選手といえば2018年に8本も放った初回先頭打者ホームランが印象に残っています。この写真の2019年8月18日(新潟三条)も、2試合連続で初回先頭打者ホームランでした!
江越選手といえば2018年に8本も放った初回先頭打者ホームランが印象に残っています。この写真の2019年8月18日(新潟三条)も、2試合連続で初回先頭打者ホームランでした!

阪神ファームにとっては新記録!

 そして阪神ファームの最多記録は、残っているものが1991年からしかないため『調べられる範囲で』という注釈つきで…と思ったのですが、ウエスタン・リーグ記録を見ればわかりました。

 1試合7本塁打は、先ほど書いたように南海と中日、ソフトバンクのみ。続く6本塁打は1981年の近鉄に始まって、2008年のソフトバンクまで10度(広島4、中日2、近鉄、南海、ダイエー、ソフトバンク)ありますが、そこにも阪神の名前は出ていません。ちなみに南海、ダイエー、ソフトバンクは合わせると3になりますね。

 よって、これまでは最多でも5本以内ということで、今回の7本塁打はまぎれもなく阪神ファーム史上最多!という結論です。

 なお過去に記録した1試合5本塁打は以下の通り。これは1991年以降の分しか確認できていません。ご了承ください。

 1992. 7.30 広島戦 (みろくの里)

     岡本、桧山、桧山、鮎川、鮎川

 1999. 4.17 近鉄戦 (藤井寺)

     吉田浩、平尾、北川、曽我部、中里

 2000. 4.16 中日戦 (ナゴヤ)

     上坂、松田、浜中、山田、曽我部

 2001. 8. 7  広島戦 (広島)

     平下、松田、曽我部、曽我部、吉田浩

 2003. 8.23 ダイエー戦 (雁の巣)

     藤原、藤原、関本、早川、平下

 2004. 6.29 近鉄戦 (藤井寺)

     秀太、的場、藤原、庄田、松下

 2018. 8. 8  オリックス戦 (鳴尾浜)

     江越、板山、緒方、岡崎、高山

 2004年から2018年まで、かなり空いていますね。というわけで、2018年にはこんな記事を書いています。参考までに。→<鳴尾浜で初の1試合5本塁打は、14年ぶりに出たチーム最多タイ記録でした。>

 それにしても懐かしい名前がたくさん!1992年の岡本というのは、岡山東商~近畿大から1989年のドラフト(新庄監督と同期)2位で入団した岡本圭司選手です。敬称略で全員のフルネームを書いておきますと…

 岡本圭司、桧山進次郎、鮎川義文、吉田浩、平尾博司、北川博敏、曽我部直樹、中里鉄也、上坂太一郎、松田匡司、浜中治、山田勝彦、平下晃司、藤原通、関本健太郎(当時)、早川健一郎、田中秀太、的場寛壱(当時)、庄田隆弘、松下圭太、江越大賀、板山祐太郎、緒方凌介、岡崎太一、高山俊 以上です。

 なお今季は、4月3日のオリックス戦(鳴尾浜)で1試合4本がありました。陽川選手が2打席連続で放ち、そのあと井上選手と陽川選手の2者連続も出て計4本。

 9月16日のソフトバンク戦(鳴尾浜)でも板山選手、前川右京選手、江越選手の3本というのがあったんですね。この時はソフトバンクにも3本打たれました。

今季の写真ではありませんが…21日、22日と2試合連続ホームランの北條史也選手。
今季の写真ではありませんが…21日、22日と2試合連続ホームランの北條史也選手。

個人タイトルの可能性

 21日の7本塁打のうち、2本ずつ打った江越選手と井上選手は、違う投手からともに2打席連続。井上選手は20日のオリックス戦でも9号ソロを放っており、2試合連続で3本!自身初の2ケタに乗せています。

 22日もオリックスとの試合で、これが同カード今季最終戦。序盤は両チームとも得点なく、5回にオリックスが1点先制し、7回には園部選手の2ランで3対0とリードされるも、直後に北條史也選手が2試合連続となる2号3ランを放って追いつき、そのまま引き分けました。

 阪神はこれで残りが27日からのソフトバンク3連戦(甲子園、甲子園、鳴尾浜)と広島3連戦(由宇)の計6試合となっています。2位のソフトバンクはまだ9試合。甲子園での直接対決が注目ですね。

 阪神勢が上位にいる個人タイトルも期待大です。

 投手部門では村上頌樹投手が防御率3.07、秋山拓巳投手が8勝(村上投手7勝、桐敷拓馬投手6勝)、二保旭投手が13セーブと阪神勢が独占中。

 打者部門も高寺望夢選手が打率.276でトップ、井上広大選手は本塁打11と打点70で2位にいます。トップはソフトバンク・リチャード選手で本塁打24とこれはもうぶっちぎり!でも打点は71、井上選手とは1点差なので抜ける可能性はもちろんありますね。

 また盗塁は、ソフトバンクの緒方理貢選手と広島の羽月隆太郎選手の16個が今トップで、小幡竜平選手が15と追っています。羽月選手や小幡選手は1軍登録中ですし、4位タイの高寺選手(14個)にもチャンスがありそうですね。楽しみにしましょう。

昨秋、フェニックス・リーグでの高寺選手。21日のオリックス戦では3回に、7本塁打の口火を切る3号ソロを放ちました!
昨秋、フェニックス・リーグでの高寺選手。21日のオリックス戦では3回に、7本塁打の口火を切る3号ソロを放ちました!

 <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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