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3年ぶりの開催で巨人相手に連勝!新潟三条観戦記《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
2戦目の28日、ホームランを放った井上広大選手(中央手前)を迎える阪神ベンチ。

 8月27日と28日、新潟県三条市の三条市総合運動公園市民球場(三条パール金属スタジアム)で『第13回三条野球まつり・2022プロ野球ファーム交流試合』が行われました。

 阪神のファームにとっては2009年から(2011年を除く)、毎年5月から8月の間で2試合が組まれている恒例の行事。でも新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年と2021年は中止となったため、ことしが3年ぶりの開催です。

 これまでイースタン・リーグのチームとは4度対戦していますが、日本ハムとヤクルトのみ。三条で巨人と顔を合わせるのは初めてのことです。3年ぶりの開催、しかも阪神-巨人戦とあって、非常に怪しい天候ながら多くの方々が来場され、拍手を送ってくださいました。

 そんな中、新潟出身選手も出場して大いに盛り上がった2試合。きょうはその試合結果とコメントをご紹介します。他にもいろいろエピソードがありましたので、そちらは次の記事に書かせていただきます。

27日、試合前の三条パール金属スタジアム。緑が鮮やかで山の緑も目に沁みますね。
27日、試合前の三条パール金属スタジアム。緑が鮮やかで山の緑も目に沁みますね。

【初戦はマルテ3打点と小川の好投】

 では27日(土)の試合を振り返りましょう。この日は14時くらいから雨の予報で、朝からどんより曇り空でしたが、昼頃にポツポツ雨粒が落ちてきただけで以降は振らず。夕方、我々がちょうど引き揚げる時に本降りとなりました。ナイスタイミングです。

 試合は阪神・小川一平投手、巨人・堀田賢慎投手の先発で始まって、3回に先制した阪神の逃げ切り勝ち!巨人の増田陸選手と阪神のマルテ選手にホームランが出て、どちらのスタンドも沸きました。

27日、初戦のスターティングメンバ―。1軍でもおなじみの選手が多く、お客様は大喜びでした。
27日、初戦のスターティングメンバ―。1軍でもおなじみの選手が多く、お客様は大喜びでした。

《ウエスタン公式戦・ファーム交流試合》

阪神-巨人 1回戦 (新潟三条) 8月27日

   巨人 000 010 000 = 1

   阪神 003 000 01X = 4

▼バッテリー

 【巨】●堀田(2勝4敗)(5回)-桜井(2回)-戸根(1回) / 岸田

 【神】○小川(2勝1敗)-岩田-石井-斎藤-S二保(2勝1敗9S) / 栄枝

▼本塁打 巨:増田陸6号ソロ(小川) 

     神:マルテ4号ソロ(戸根)

▼三塁打 巨:岡田

▼二塁打 神:マルテ、井上

▼盗塁  神:小野寺

▼打撃     (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

 1]指:糸井   (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0) .235

 2]二:小幡   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .303

 3]一:マルテ  (4-2-3 / 1-0 / 0 / 0) .364

 〃三:熊谷   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .125

 4]右:井上   (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .217  

 5]三中:小野寺 (3-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .264

 6]中左:豊田  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .264 

 7]左:高山   (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .246

 〃三一:北條  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .233

 8]捕:栄枝   (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .230

 9]遊:高寺   (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .261

▼投手      (安-振-球/失-自/防御率)

  小川  6回 95球 (4-6-1 /1-1/ 3.27)

  岩田 0.1回 13球 (2-1-0 /0-0/ 1.93)

  石井 0.2回 10球 (1-0-0 /0-0/ 0.00)

  斉藤  1回 10球 (1-0-0 /0-0/ 1.64)

  二保  1回 11球 (1-0-0 /0-0/ 3.24)

        ※“球”は四球と死球の合計

《試合経過》※敬称略

 先発の小川は1回、2回と三者凡退の立ち上がりでした。3回は2死から9番・岡田に左越え三塁打を浴びますが、ウォーカーを二ゴロに打ち取って無失点。

 その裏の攻撃で栄枝が中前打、高寺も中前打でエンドラン成功。無死一、三塁として糸井が先制の右前タイムリー!続く小幡が初球で犠打を決めて1死二、三塁となり、マルテが左前へ2点タイムリー!3点先制です。

 4回は香月のヒットと四球などで1死一、二塁とするも秋広は二ゴロ併殺打に抑えた小川ですが、5回2死から8番・増田陸にカウント2-2からの5球目、カーブをレフト芝生席へ放り込まれました。しかし6回はわずか10球で三者凡退に切って取った小川。ここで交代となります。

 7回は岩田が登板して、1死から廣岡と八百板に連打されました。1死一、二塁で代わった石井は増田陸に中前打を浴びますが、一塁走者の八百板が二塁走者の廣岡を追い越してしまい(記録は八百板の走塁死)、2死二、三塁。最後は岡田を二ゴロに打ち取って無失点。

 なお打線は4回以降、6回に小野寺が桜井からピッチャー強襲の中前打を放って盗塁を決めるも追加点にはつながらず。他のイニングは三者凡退でした。でも8回ウラ、戸根に連続三振を喫して2死となったあと、マルテがレフトへ4号ソロ!貴重な追加点です。

 その前に8回の斎藤が、そして9回の二保が、ともに1安打ずつ許しながら後続をしっかり断って0点に抑え、4対1で試合が終わりました。

 整列しての挨拶で、マイクを渡されたのは先発した小川。遠目にも戸惑っているのがわかるほどで、しゃべり出しても「あー」「えー」連発。のちほど、その言い訳…ではなく理由を聞いています。

初めて阪神がウエスタン公式戦で訪れた2009年には『三條機械スタジアム』でした。2014年度から『三条パール金属スタジアム』になって現在も継続中。
初めて阪神がウエスタン公式戦で訪れた2009年には『三條機械スタジアム』でした。2014年度から『三条パール金属スタジアム』になって現在も継続中。

「俺の第二の故郷」にて

 では試合後のコメントをご紹介しましょう。

 まず平田勝男監督。小川投手について「雨で(登板が)流れたりコンディションが難しいところだったけどブランクを感じさせなかったし、5回くらいの予定が球数も含めて6回まで行けてね。まあ球のキレ、コントロール、カーブの使い方もいい。栄枝がうまく使っていたよ。増田に一発は打たれたけど、まったく問題ない。角度もあって非常に安定していたもんね」と話しています。

 「久しぶりの登板にしては上出来。ほんと久しぶりに見たもん。雨でずっと流れて、シートバッティングも多めに投げて臨んだんで。ましてやジャイアンツ戦で力も入ったんじゃない?いい意味でジャイアンツと、こうやって新潟のファンの皆さんにという、気持ち的なところで充実していたと思うね」と監督も満足げでした。

 マルテ選手には「いつも言うように、この前上がる時よりもずっといい状態で、打ったあと走る足の状態がまだ全力じゃないように見えるけど。でも見事だよ。マルテにしても糸井にしても、すぐに上げてくれるとは思っていないし。ただ結果を残すだけ。今は自分で結果を残しているだけよ」とのこと。

 そして3年ぶりとなった新潟での公式戦について聞かれると、監督ならではの口調です。

 「いやいや、本当にゲンがいいのよ。新潟の空気がおいしい!三条の皆さんの温かい声援と、ここのタイガースファンの声援を感じる。ゲンがいいんだよ。おいしい日本酒、今はコロナ禍でダメだけど、ホテルでこっそりいただいていますよ」

 さらに「桐敷は大学が新潟、渡辺は三条が地元だし。あしたは2人とも投げる。おいしいお米、お水、素晴らしい!ここは俺の第二の故郷だよ。ゲンがいいんだよ。長岡の花火も素晴らしい。新潟はそういうところです」と続けました。

ファームといえども、やはりこのカードは盛り上がりますね!27日は976人、28日は1504人のお客様が来場されました。
ファームといえども、やはりこのカードは盛り上がりますね!27日は976人、28日は1504人のお客様が来場されました。

見逃し多数、冴えたカーブ

 前回の登板が8月6日で4イニング、今回は久々の6イニングを投げた小川一平投手。「悪くはなかったと思うんですけど、やっぱりホームラン打たれた球とか、詰められるとこは詰められるので、そういうとこはしっかりやっていきたいと思います」

 5回の予定が6回?「球数は無制限で、イニングも制限なく、5回が終わった時に安藤さんと話して、いけるか?と聞かれたので、いきたいですと言いました」

 体力的には問題ない?「自分の中では問題ないんですけど、最後の方はちょっと球が垂れていたりするので、まだまだだなと思っています」

 スピードは戻ってきた?「球速(表示)が出ていないので何とも言えませんが、自分の中では最初の方だけって感じだったので。それを続けていかないと1軍では無理だと思います。しっかりやっていきたい」

 緩いカーブを使いながらの投球はバッテリーで相談して?「ひとつ前のソフトバンク戦でカーブをあまり使わず、まっすぐでいって打たれたので、今日は長いイニングを投げるのでカーブを結構使って、奥行きを出していこうと、枝(栄枝)と話はしました」

 ホームランは打たれたけど、そのカーブが有効だったのでは?「そうですね。やっぱり見逃し三振も取れますし、初球の入りとかでも使えますし。いろんな場面で使えるから使ってはいきたいので、ああいう失投をなくしていかないといけないですね」

 力はまだ100%ではない?「自分の中では思い切り投げているつもりなんですけど、ケガをする前より球がいっていないなというのがあるので。その感覚もしっかり戻ってくればいいかなとは思います」

 最後のヒーロースピーチ、ちょっと口ごもっていたけど…。「初めてだったので、何を言っていいのかわからなくて(笑)。いろいろ考えながら話しました」

27日に先発した小川投手。久々の登板でも上出来と平田監督は話していました。
27日に先発した小川投手。久々の登板でも上出来と平田監督は話していました。

「いいHR、いい状態」で1軍へ

 次はタイムリー二塁打とホームランで2安打3打点のマルテ選手です。ナイスホームラン!「感触もすごくよかったので、いいホームランでした。今ずっと1軍に戻るための準備をしている段階で、しっかりできている証拠だと思います」

 右足の状態はどうですか?「状態もいいので今しっかり試合に出られています。このいいイメージを保っていきたい」

 巨人相手の1発でスタンドも盛り上がりましたね。「お客さんもこんなに多く来られると思っていなかったので、たくさんの声援をいただけてよかったです!」

 その声援を受けて帰阪したマルテ選手は、きのう30日に1軍昇格。代打で空振り三振でしたが、きょうからの試合に期待しましょう。

27日、いい守備を見せてチームメイトから声を掛けられ、それに応えるファーストのマルテ選手。
27日、いい守備を見せてチームメイトから声を掛けられ、それに応えるファーストのマルテ選手。

登板に向けてのコメント

 最後に、翌日の登板が決まっていた2投手のコメントも書いておきます。

 先発する桐敷拓馬投手は「久々の新潟登板なので新潟の皆さんに楽しんでもらえるようにというのと、個人的には巨人と戦える機会がなかなかないので1軍へのアピールになるかと。ちゃんとやっていきたいです」と話しました。

 渡辺雄大投手は「ことしは1軍でもだいぶ投げさせてもらったので、しっかり投げていいところを地元の人に見せられたらいいなと思います」という意気込み。

 まさかのコロナ感染で、地元登板のタイミングになったわけですが…と振ってみると「もちろん合わせたわけではないんですけど、神様が投げろと言っているのかなと思って一生懸命投げます!」と笑っていました。

売店のグッズショップ。三条出身・渡辺投手のタオルが!
売店のグッズショップ。三条出身・渡辺投手のタオルが!

両チームの球団旗に挟まれて、左から2本目は三条市の市旗、そして右から2番目が、昨年ファーム日本一になった阪神のチャンピオンフラッグです!
両チームの球団旗に挟まれて、左から2本目は三条市の市旗、そして右から2番目が、昨年ファーム日本一になった阪神のチャンピオンフラッグです!

【井上が7号!桐敷、渡辺も登板】

 前日の夕方から降り出した雨は強弱をつけて翌朝まで続き、28日(日)の三条パール金属スタジアムには、これまで何度も遭遇した光景が広がっていました。内野にはしっかり水たまりができ、朝から球場関係の方や運営スタッフの皆さんがそれを吸い上げる作業中。しかもまだ雨はしっかり降っています。

 午後には晴れてくる予報でもあり、午前10時半をもって「試合は行う方向で」と決断されました。しかしその後もまだ雨は降り、手作業での水の吸い取りも延々と…。その間、平田監督や田中コーチ、工藤コーチらが何度も内野のチェックを行い、やがて水分の残る場所へ土を入れて整備完了。

 シートノックはできなかったものの、定刻通り12時に試合が始まりました。開始後はどんどん天気が回復し、青空とカラッとした北寄りの風で汗もかかない快適さ!三条の試合で汗を全然かかなかったのは初めてかもしれません。

 さて、この日は新潟医療福祉大学から阪神に入って1年目の桐敷拓馬投手が先発。8回途中には地元・三条市出身の渡辺雄大投手も登板しました。また巨人は佐渡高校出身の菊地大稀投手が7回に投げ、3人とも大きな拍手!もちろん井上広大選手のホームランでも盛り上がっています。

28日の10時半。まだ雨の残る中で球場関係者と運営スタッフの皆さんが朝早くから作業をしてくださっています。
28日の10時半。まだ雨の残る中で球場関係者と運営スタッフの皆さんが朝早くから作業をしてくださっています。

セカンド付近にかなり水が溜まっていました。水を吸い取り、土を入れて…腰も相当痛くなったはずです。
セカンド付近にかなり水が溜まっていました。水を吸い取り、土を入れて…腰も相当痛くなったはずです。

《ウエスタン公式戦・ファーム交流試合》

阪神-巨人 2回戦 (新潟三条) 8月28日

   巨人 200 000 010 = 3

   阪神 003 020 03X = 8

▼バッテリー

 【巨】●高橋(3勝3敗)(4回)-沼田(2/3回)-大江(1/3回)-伏木(1回)-菊地(1回)-井納(1回) / 山瀬

 【神】○桐敷(4勝1敗1S)-守屋-斎藤-渡邉-牧 / 片山-藤田(9回表) 

▼本塁打 神:井上7号ソロ(沼田)

▼二塁打 巨:山瀬、増田陸 神:小野寺、高寺

▼打撃    (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

 1]遊:高寺  (5-1-1 / 0-0 / 0 / 1) .259

 2]三:北條  (1-0-0 / 0-1 / 0 / 1) .226

 〃三:小幡  (3-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .311

 3]左:豊田  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .259

 〃打:糸井  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .222

 〃左:高山  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .246

 4]右:井上  (5-3-1 / 1-0 / 0 / 0) .223 

 5]中:小野寺 (4-2-1 / 1-0 / 0 / 0) .271

 6]指:中川  (4-2-2 / 0-0 / 0 / 0) .282 

 7]二:熊谷  (4-2-0 / 1-0 / 0 / 0) .200

 8]捕:片山  (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .194

 〃打:マルテ (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .364

 〃走捕:藤田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .255

 9]一:遠藤  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .232

▼投手    (安-振-球/失-自/防御率)

  桐敷  6回 92球 (5-4-2 /2-0/ 0.84)

  守屋  1回 19球 (1-1-0 /0-0/ 6.89)

  斎藤 0.1回 3球 (1-0-0 /1-0/ 1.59)

  渡邉 0.2回 16球 (0-2-0 /0-0/ 7.71)

  牧   1回 7球 (0-0-0 /0-0/ 4.15)

        ※“球”は四球と死球の合計

《試合経過》※敬称略

 1回、珍しく制球を乱した桐敷は1死からウォーカーに死球を与え、暴投で二塁へ。2死三塁となったあと4番・石川の三ゴロを北條がはじき、これで2死一、三塁。続く香月の中前打で1点、なおも2死一、二塁で廣岡が中前タイムリー。巨人が2点を先取しました。

 しかし桐敷は2回を三者凡退に、3回は先頭のウォーカーに中前打されるも後続をピシャリ。その裏に打線が逆転します。これは後ほど。

 4回は先頭に四球を与え、1死後に山瀬の左前打で一、三塁としますが無失点。5回は先頭のウォーカーの中前打があったものの、左飛や遊ゴロ併殺打で抑え、6回も三者凡退。桐敷は6回2失点(自責0)で交代です。

 7回は守屋が登板。先頭の山瀬にレフトフェンス直撃の二塁打を許しますが、そのあと三塁へ進めることなく抑え、無失点でした。

 さて打線は1回が三者凡退。2回は井上(三内野安打)、小野寺(中前打)、中川(中前打)と3連打で無死満塁と攻めながら、飛球と三振で0点に終わっています。

 しかし3回は北條の四球と井上の内野安打などで2死一、二塁として小野寺が左中間へのタイムリー二塁打!さらに中川が左前へ2点タイムリー!逆転成功です。

 さらに5回、先頭の井上が代わったばかりの沼田からレフトへ7号ソロ!2死後に熊谷が中前打、片山は右前打で一、三塁となって投手が大江に。続く遠藤の打球は左飛、と思ったらウォーカーがポロリ。これで熊谷が生還しています。

 5対2とリードを広げて迎えた8回は連投の斎藤が登板。増田陸に初球をセンターへ運ばれ二塁打となり、石川を一飛に打ち取ったところで交代。ここで渡辺がコールされ、一段と大きな拍手が起きました。

 渡辺はまず香月を空振り三振に。次の廣岡は遊ゴロだったのですが、遠藤が捕れず(記録は高寺の送球エラー)二塁走者を還してしまいます。でも渡辺は次の秋広を空振り三振に仕留めて終了。

 その裏、巨人の井納に対して代打のマルテが四球を選び(代走・藤田)、遠藤はバントヒットで1死一、二塁として高寺が右越えのタイムリー二塁打!なおも二、三塁で小幡は右中間への2点タイムリー!

 3点を追加して8対3となった9回は牧が登板し、わずか7球で三者凡退に切って取り試合終了です。

冒頭の写真に続くベンチの様子。ホームランの井上選手を迎えて、片山選手(左)がめちゃくちゃ喜んでいます。
冒頭の写真に続くベンチの様子。ホームランの井上選手を迎えて、片山選手(左)がめちゃくちゃ喜んでいます。

2戦目は若い選手を起用

 では試合後の談話をご紹介しましょう。平田監督は、まず桐敷投手の投球を振り返って「初回はもうエラー、エラー。でもちょっとジャイアンツで力が入ったかな。ちょっと力みがあったりして本人も納得していないけど、まあ粘ったんじゃない?」と言い、今回は92球を投げたことに「これで長いイニングいけるね」と話しています。

 ついで、渡辺投手には「エラーで1点取られて、でもその後はしっかり。まあナベの実力ならこのくらいの投球してくれるけど、まあこうやってふるさとでね。コロナにかかってファームに来ているけど、1軍でこの新潟のファンに投げている姿を見せないとあかんな」という言葉でした。

 打線では井上選手に久しぶりのホームランも。「巨人戦でね。あそこで一発ね。甲子園と巨人戦では打つね(笑)。やっぱり巨人のユニホームを見たら燃えるものがないとダメよ。ましてや1軍で投げている堀田、高橋といういいピッチャーとも対戦できた。きょうは全部、若い選手でいったしね」

 そのあと聞こうと思っていた中川勇斗選手の名前も、続けて出てきました。「中川なんかすごいやん!ちびマルテだよ。そのくらい打席に入ったら何というか気持ちが出る。彼はメンタルが強いんよ」

 高卒1年目の捕手が、きょうで打率2割8分2厘!「いや~たいしたもんだよ。キャッチングも、今度は初戦に秋山と先発(30日のソフトバンク戦でバッテリー)でいく。そういうところはどんどんどんどんね!若い選手はいい勉強になったと思うよ」

「ゲンのいい球場」と監督

 なお、この日のヒーロースピーチは中川選手で、最後に「新潟はお米がおいしいです!」と気の利いた一言を発して拍手喝采でした。

 それについて平田監督は「中川くんにも“新潟はお米がおいしい”って言え!って言ってさ」と暴露。あら、本人が考えたんじゃなかったんですか?「いやいや、そんなこと浮かぶわけないやん(笑)」。あとで中川選手に「監督のアドバイスだったの?」と尋ねたら「はい、そうです!」と即答。なるほどね。

 続けて平田監督は「お米がおいしい、お水がおいしい、お酒がおいしい。ゲンがいい球場。きのうも言ったでしょ?もう本当によかった!ファンが来られて、ゲームができてよかったです」と新潟を、三条を、三条パール金属スタジアムを絶賛して締めくくりました。

これはホームランを打って三塁を回る井上選手。口元にちょっと笑みが見えますね。
これはホームランを打って三塁を回る井上選手。口元にちょっと笑みが見えますね。

大学時代を過ごした新潟で

 次は久々の先発だった桐敷拓馬投手。「立ち上がり自体が悪かったので、そこからは粘ることができましたけど、まあまあって感じです」と振り返り、大学時代を過ごした新潟で投げたことに「4年間ですけど、お世話になったところでもあるので特別な思いはありました」と言っています。

 新潟空港に着いた時に「懐かしいな」と感じたという桐敷投手。三条パール金属スタジアムも、大学1年生の時に慶應戦で投げたことがあるそうで、1年生と2年生で1回ずつくらい登板したみたいです。

 平田監督が、ちょっと力んだかも?と。「そこはそうですね。立ち上がりはだいぶ力んだのかなと思います」。2回からは修正できた?「テンポよくいけたのはいけたんですけど、それでもランナーもフォアボールも出したので、そこはまた修正していかないといけないなと思います」

 今後も先発になるようですが、意気込みを。「まあ、残り少なくなってきていますし、チャンスも少なくなっているので、きょうみたいに粘り強く投げることがアピールになる。1軍に上がると言われるまでは、まず結果を出すことがすべてだと思うので、そこは地道にやっていきたい」

 大学時代の同期が来られるという話でしたね?「多分来ていたと思いますけど、どこにいるかははっきり分からなくて。連絡をもらって“頑張って”とそれだけですね(笑)」。感染防止対策もあって懐かしい人たちとの対面はかなわなかったものの、桐敷投手は大きなパワーを注入してもらったでしょう。

試合前に外野でキャッチボールをする桐敷投手。
試合前に外野でキャッチボールをする桐敷投手。

地元登板に予想外の緊張?

 次は三条市出身の渡辺雄大投手です。あそこで登板するのは聞いていましたか?「あの前後の回で、左(バッター)からだったらというところで、巡り的にあのタイミングになったということですね」

 エラーがあったけれど、それでもう1つ三振を取れた、とも言えますかね?「そうですね(笑)。1つアウトを取って、2人目がああいう感じでエラーになってしまいましたけど、3人目は今言われたように“もうひとり左に投げさせてもらえるな”って切り替えて投げました」

 地元のグラウンドでの登板を振り返ってください。「1人目の時、ちょっと緊張してしまって手元が狂っていたんですけど…。まあでもしっかり投げられましたし、三条の皆さんの前で投げられたのでよかったなと思います」

 どなたが観に来られたんですか?「母とおばあちゃんが来ていたと思うんですけど、父は仕事が微妙と言っていたので、来ているかどうかわかんないですね。行けたら行くとは言っていたので来ていたかもしれないです」。お友だちなどは?「まあポツポツいたみたいです」

 名前をコールされた時に大きな拍手でしたね。「それが…ほんとに…行く時ちょっと緊張していたので、あんまり聞こえていなかったんですよ(笑)」。ええっ、そんなに?「1軍でも投げていますけど、なかなか地元でこうやって投げるのはまた違った緊張感もあって。いい勉強にもなりました」

 1軍でまた投げないといけませんね。「もう体もだいぶ戻って、状態としてもいい感覚を保ってやれています。あとは、上の中継ぎも一生懸命投げているので、なかなかすぐにってわけにもいかないと思うんですけど。また呼んでもらえるように、ファームでしっかり準備して待ちたいと思います」

28日、8回途中から登板した渡辺投手。見た目はわかりませんでしたが、かなり緊張していたみたいですね。
28日、8回途中から登板した渡辺投手。見た目はわかりませんでしたが、かなり緊張していたみたいですね。

「置かれた立場で結果を出すこと」

 2打席続けて内野安打のあと豪快なホームランが出た井上広大選手。コロナと雨で流れた試合も多かったので、7月17日以来の第7号です。完璧でしたね。「手応えはよかったです」。打ったのは真っすぐ?「ツーシームかシュートですね」

 今、打撃で意識しているのは?「振らないと分からないので振っていくことを心掛けて。真っすぐのタイミングで変化球をさばけるように打てれば本当にいいというか。球種を張って打つこともたまにはあるんですけど、やっぱり真っすぐのタイミングで変化球を打てるようにやっています」

 ファーストストライクから振る意識はそこから?「そうですね。変化球のボール球を振ってしまっても1ストライクなので、そこは切り替えて。次にもっとこう意識を置いて、という形で」

 1軍を経験したことで打席の考えは変わった?「下でよくて上で結果が出ないとか、下で出ないのに上で結果が出るとか、いろいろなケースがありますけど…なんというか、自分が置かれた立場で結果を出さないといけない。そこは何か変えていければと思ってやっていました」

28日、試合前の井上選手です。外野の芝部分でキャッチボール。
28日、試合前の井上選手です。外野の芝部分でキャッチボール。

監督が命名『ちびマルテ』

 最後に中川勇斗選手。1月生まれだから、まだ18歳なんですねえ!この日は2打席連続安打で、2本目は逆転の2点タイムリーでした。

 「真っすぐ1本で仕留められて、はい。よかったです。桐敷さんが投げていて、何とか1本出したいなと思っていたので、よかったなと思います」

 バッティングが好調ですね。きょうの試合後で打率が2割8分2厘だとか。「まだまだなところが多いんですけど、自分のスイングが最近できているかなと思います」

 平田監督が『ちびマルテ』と褒めていましたよ。「そうなんですか?(笑)。マルテはいいスイングをするので、ああいうスイングを見習っていきたいと思います!」

中川選手の写真が撮れず…2月の安芸キャンプのものです。森木大智投手(左)のフリー打撃登板でキャッチャーを務め、終了後に話す中川選手(右)。
中川選手の写真が撮れず…2月の安芸キャンプのものです。森木大智投手(左)のフリー打撃登板でキャッチャーを務め、終了後に話す中川選手(右)。

次の試合も継続!井上&高寺

 最後と言いながら、もう少し。8回にライトオーバーのタイムリー二塁打を放った高寺望夢選手にも帰り際、ひとことだけ聞けました。

 1死一、二塁で井納投手の初球(フォーク)を打ったもの。ナイスバッティングですね、と言ったら「最後だけです。あんまりよくなくて…」と浮かぬ顔。

 でも!きのう30日のソフトバンク戦も、7回に逆転の2点タイムリーを放って勝利に貢献。5回の押し出し四球も合わせ、4打数2安打3打点でした。

 そして井上選手も初回に先制の8号2ラン!5回に二塁打など4打数3安打2打点と、また打っていますね。きょうも楽しみです!

  <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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