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まだしつこく安芸キャンプのこぼれ話です。《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
山田バッテリーコーチ(右)と藤田選手(左)。なぜ首をかしげているんでしょうね?

 3月に入って各地でオープン戦が行われています。春季キャンプが無観客だっただけに、人数制限があるとはいえ、ファンの皆さんに直接見てもらってのプレーは嬉しいでしょうね。阪神は、あす9日から甲子園球場で計5試合が予定されています。

 一方、ファームの春季教育リーグも始まっていて、阪神は9日から鳴尾浜球場にオリックスと広島を迎えての6連戦。そのあとナゴヤ球場での中日2連戦で、いよいよ19日にウエスタン・リーグ開幕となります!1軍より1週間早いので、もう11日後ですね。

 その前に、先週は鳴尾浜で大学生チームとの練習試合(プロアマ交流試合)があり、5日の京都産業大学戦は雨のため中止になりましたが、土日は無事に行われています。

 まず6日の天理大学戦では望月惇志投手が先発して3回を投げ1安打無失点。以降6投手も無失点の完封リレーでした。そして安芸キャンプで好調だった板山祐太郎選手がまた打ちまくり三塁打を含む4打数4安打2打点!おまけに2盗塁。熊谷敬宥選手も3打点の活躍です。

 7日は関西大学と対戦し、これまた板山選手が満塁の走者を一掃するタイムリー三塁打を放ち、熊谷選手は三塁打を含む2安打、江越大賀選手も2安打3四球と2盗塁。先発は関大OBの岩田稔投手で3回3安打無失点でした。6回に登板したドラフト3位の佐藤蓮投手は、打者6人に5四球を与えるなど3失点で交代…。なおドラフト4位の榮枝裕貴選手は前日同様スタメンマスクで、2戦とも2安打しています。

 試合結果や選手コメントをご紹介できなくてすみません。今季も人数制限があって鳴尾浜へ取材に行けないもので…。よって大変恐縮ですが、しつこく安芸キャンプの話を続けさせていただくことにしました。今回は、これまでに書ききれなかったこと、懐かしい人との再会など、いわゆる“こぼれ話”です。

これまでにないキャンプ

土曜日なのにまったく車がない安芸タイガースタウンの駐車場(上)。例年ならずらりと屋台が並ぶ、メイングラウンドへ続く坂道(下)。
土曜日なのにまったく車がない安芸タイガースタウンの駐車場(上)。例年ならずらりと屋台が並ぶ、メイングラウンドへ続く坂道(下)。

 ことしのプロ野球キャンプはすべて無観客で、関係者や報道陣も感染防止対策は徹底して行われました。我々のPCR検査も、事前に受けることはもちろん滞在中に定期検査があります。また安芸キャンプの場合、取材区域はサブグラウンド出入り口の1か所に限定され、練習が終わってそこを通過する選手に立ち止まってもらって話を聞くというもので、それ以外はNGです。

 これまでに比べると厳しい状況で、行くたびにかかる検査費用も大変ですけど、それもこれも無事に1か月間を終えるため。ことしキャンプへ最初にお邪魔した時、スタッフの方が言われた「何かあったら安芸市に迷惑がかかるから」という言葉にハッとしました。

 チームや選手を守るのは当たり前ですけど、何よりもこんなご時世に「いつも通り、ここでキャンプをしていいですよ」と迎え入れてくださった地元の方々に感謝しなければなりません。ましてや緊急事態宣言発令中の兵庫県から移動していったわけで、それはもう細心の注意を払うべきです。

 取材に伺う我々も然り。みんなが何事もなく終えられるよう力を尽くすということですね。そして3月1日、安芸も宜野座も無事にキャンプは打ち上げられて本当によかった!地元の皆様、本当にありがとうございました。来年はどのような形になるかわかりませんが、またよろしくお願いします。

スタンドだから見えること

無観客のスタンドに立ってシートノック、シートバッティングを見る平田監督。
無観客のスタンドに立ってシートノック、シートバッティングを見る平田監督。

 では、平田勝男監督の話をご紹介しましょう。第4クールが始まった2月16日、平田監督がこんなことを言っていました。「今、シートノックもスタンドから見ているんだよ。いつもはグラウンドだけど、ことしはお客さんがいないからスタンドでね」。そういえば練習中、メイングラウンドのバックネット裏スタンドに立っている監督をよく見ました。

 例年なら平日でもスタンドはお客様で埋まっていて、そこに監督がいるとなれば大変!みんな集まって来られますもんね。でも無観客のことしは和田豊TA(テクニカルアドバイザー)もスタンドで練習試合を見ていました。その位置だからこそ“見える”部分があるのかも。

 平田監督は「そうすると、内野の動きとかシフトの動きもよくわかる。評論家をしていた時も記者席から見ていたけど、一歩引いてみているとよく見えた。グラウンドレベルでは見落としかねない動きが見渡せる」と続けます。

2月16日に安芸を訪問した阪神レジェンドテラー・掛布氏(左)と、打撃練習を見ながら話す平田監督(右)。
2月16日に安芸を訪問した阪神レジェンドテラー・掛布氏(左)と、打撃練習を見ながら話す平田監督(右)。

 私が昔ウエスタン・リーグの実況をしていた時、放送席はスタンドの中にあって周囲をお客様に囲まれているため、声援も“ヤジ”もしっかり聞こえるのです。「あの打球で、なんで走らへんねん!」とか「一体どこ見とるねん!」とか…。でもそんな時、ある解説者の方が苦笑いしながら、こんなふうに言われました。

 「お客さんはスタンドにいて上から見てはるから全部わかるけど、下では見えないことも結構あるんですよ」。たとえプロでもグラウンドレベルで見ているのと、上から見下ろすのとでは違うんですね。なるほどなあ!と納得したことを今でも覚えています。

 また平田監督は「なかなかスタンドから見ることはできないので、それでまた指示とかアドバイスだけでなく、練習のアイディアも浮かんでくる。明日これをやってみようとか。そういうところではコーチへの注文が多くなるわね。注文ばっかりよ、コーチには。田中(秀太)コーチなんて、もうパニくっているんじゃない?」と思い出し笑い。

 本当に、スタンドからでも平田監督の声はよく通るんですよね。シートバッティング中、選手に「もっと速く!遅い!」とハッパをかけたり、あるいは田中コーチに今のプレーの説明を求めたり。

12年ぶりのユニホームが新鮮!

田中コーチ、ノック中も豊かな表情。上から「いけ!いける!」「よ~し!」「ああ、無理か…」
田中コーチ、ノック中も豊かな表情。上から「いけ!いける!」「よ~し!」「ああ、無理か…」

 田中秀太コーチは2009年に現役引退後、スカウトを経て今季からファームの内野守備走塁コーチに就任しました。スカウト時代も安芸キャンプには自身が担当した選手を見に毎年訪れ、2月が誕生日だった松田遼馬投手にバースデーケーキを、なんていうのは恒例だったけれどユニホーム姿は12年ぶりのことですからねえ。

 そんな田中コーチはノックの際、右で打っています。全体練習終了後、サブグラウンドで個別練習の特守が始まる前に右で何球か打ち、外野で守るアルバイトくんたちに捕ってもらう場面も。左打ちの田中コーチなのに、なぜ右で?ノックは右で打つべきもの?という疑問を、本人が忙しすぎて引き留めるのが困難だったため、まず平田監督に聞いてみました。こんな答えです。

 「左バッターのスライスの打球は、内野手にはねえ。本当は今、左バッターが多いので、たまには左でスライスもいいと思うけど、基本はやっぱり右バッターで、フックやスライスかな。両方できればいい。藤本(敦士1軍内野守備走塁)コーチも両方で打ったりするんじゃない?平野(恵一ファーム打撃)コーチは左右どちらでも打つし。今は左バッターが多いので、時には左のスライスなんかも、ひとつの練習だと思う」

シートノックの締めくくり、キャッチャーフライを打つ田中コーチ。
シートノックの締めくくり、キャッチャーフライを打つ田中コーチ。

 他にもコーチ経験がある方に聞いてみたところ「スライスの打球は力が弱いから捕球しにくいというのはあるけど、今は左バッターが多いので、左右でノックできたら理想的でしょう」と、平田監督と同じ見解でした。

 朝から暗くなるまで休む間もなく駆け回って、練習中も試合中も一番大きな声を出していた田中コーチに話が聞けたのは、キャンプ打ち上げ直前。やはり「左だとスライスするから」という回答です。「左でも打っていますよ。でも左の方が打てないなあ。あんまり打ってないから(笑)」と最後は冗談も。何をおっしゃいますやら!ちなみに田中コーチ、ゴルフの時は右打ちですね。

 平田監督いわく「やっぱりプロっちゅうのは、シートノックでお客さんを唸らせないと。お前のシートノック、誰が金を払って見るかって。まあ、まだ1年目だしね。1年目だけど、田中コーチや久保田(智之投手)コーチには勉強せえって話している」とのこと。1軍の公式戦が始まる前のシートノックは、まさに見せ場ですよね。あそこでノックバットを振る田中コーチを、いつか見たいです。

ブルペンで桑原投手の投球中、打席に立つ久保田コーチ。ちなみにキャッチャー側に張られた白い紐はストライクゾーンをわかりやすくするため、第3クールくらいに登場したそうです。
ブルペンで桑原投手の投球中、打席に立つ久保田コーチ。ちなみにキャッチャー側に張られた白い紐はストライクゾーンをわかりやすくするため、第3クールくらいに登場したそうです。

もう泣かない!メンタル面も成長

 次は山田勝彦バッテリーコーチと、2年目の藤田健斗選手の話です。前回の記事でキャンプを振り返った藤田選手のコメントを書きましたが、その中で「ことしはメンタル部分で成長した」という山田バッテリーコーチの言葉があったので、それについて詳しくご紹介します。

 2月28日の練習試合・高知ファイティングドッグス戦は、代打からの出場で7回からマスクをかぶった藤田選手。そこで、いきなり暴投2つを止められず…と山田コーチに話を振ったら「また~!そうやって悪いとこばっかり言うんだから。それより、抜け球をしっかり捕ったこと褒めてやって!あの高く抜けたやつをよく捕ったよ」と力説されました。

 そうそう!忘れちゃいけませんね。8回1死二塁で、牧丈一郎投手の投げた変化球が高く抜けてしまい、藤田選手は左手を思いきり上(少し三塁方向)に伸ばして捕球。事なきを得たものです。

 また昨シーズン中にも、暴投や捕逸を連発してしまった試合があり、それを思い出しながら山田コーチが「去年は泣いていたけど、ことしは泣かなくなったねえ」とポツリ。え、泣いていたんですか?「そう、怒ったらすぐ泣いて(笑)。でも、ことしは泣かなくなった。メンタルが強くなったことが成長やね。強くなったよ、ほんと」と目を細めるところは、まさにお父さんでした。

ベンチ前で捕球練習をする藤田捕手。さすが2年目、練習の動きもスムーズでした。
ベンチ前で捕球練習をする藤田捕手。さすが2年目、練習の動きもスムーズでした。

 山田コーチの「泣かなくなった」という話を伝えたら、藤田選手は「アハハ!そんなことまで?めっちゃ言っているじゃないですか~」と照れながら爆笑。

 やっぱりメンタルが強くなった?「常に、引きずらないでおこうと自分自身に言い聞かせているので。ことしは特に、ミスしても元気だけは出そうと思ってやっています。山田さんにもいつも言われるので」。反省をしっかりしたあとは、ってことですね。「そう、そうです!」

 1軍の開幕までは宜野座キャンプ組の試合出場も多く、藤田選手の出番は少なくなるかもしれませんが、どんな状況でも勉強はできますからね。前を向いて声を出して、元気いっぱいアピールしてください!

4年目の“くましま”コンビ

 板山選手とともに、平田監督から安芸キャンプ“MVP”級の評価を得た熊谷選手。そのコメントはこれまでにもご紹介しましたが、実はある日の試合後にちょっと聞いてみたことがあるのです。熊谷選手のキャンプと言えば、ファンの皆さんから渡された両手に抱えきれないほどのプレゼントが目に浮かびます。それはもう安芸キャンプの風物詩でもありました。

守備練習中の熊谷選手。このキャンプの試合ではファースト以外すべて守りました!
守備練習中の熊谷選手。このキャンプの試合ではファースト以外すべて守りました!

 選手はみんなプレゼントや差し入れの紙袋を手に、安芸ドームへ戻ってくるのが常ですけど、熊谷選手のその量はすごかった!しかも毎日、毎日ですから。1クールが終わるごとに整理をしていた姿もまた、おなじみの光景でした。しかし、ことしはお客様が来られない1か月。

 やはり寂しかったですか?と尋ねたら「いえいえ、そんな。寂しいってことは…。でも、あのおかげでコンビニへ行かずに済んだから、本当にありがたかったです!」と言っていました。じゃがりこ、本当に喜んでいましたもんね(笑)。え、青いパッケージの?なるほど。

 一方、島田海吏選手は2月13日に行われた安芸キャンプ最初の練習試合(四国銀行)で、ホームインの際に左かかとを強く打ち、そこから別メニューになっていました。3月1日、一本締めが終わったあとで久々に顔を見たら「悔しいです。本当に、誰も恨めないんですよね。でも悔しい」と繰り返します。

2月13日の練習試合・四国銀行戦の6回に右前打を放った島田選手。このあと2死二塁となって板山選手の中前打で生還した際に、左かかとを痛めてしまいました。
2月13日の練習試合・四国銀行戦の6回に右前打を放った島田選手。このあと2死二塁となって板山選手の中前打で生還した際に、左かかとを痛めてしまいました。

 プロ4年目で初めての安芸キャンプだっただけに、巻き返してやるという思いは強かったでしょう。普通にできることも多いけど、まだできないこともあって、あともう少し時間が必要かもしれません。焦らずに、簡単に声はかけにくいけど、島田選手は「復帰した時に爆発できるよう頑張ります!」と言ってくれました。しっかり治して、思いきり暴れてください。

ことしで22歳、大人になった?

 高校からの入団ですが、同じく4年目で熊谷選手や島田選手と同期の牧丈一郎投手は、3ケタの背番号になって2年目を迎えました。今季初実戦だった2月13日の四国銀行戦で8回と9回を完璧に抑えたものの、次は1回2安打1四球で1失点、その次も2イニングを投げて2本のホームランを浴びるなど4安打4失点と、西武戦2試合は打たれています。

 最後に投げた28日の高知戦は1四球のみで1回無失点。鳴尾浜に戻って、3月7日の関西大学戦は三者凡退でした。

 キャンプ中に、去年はいろんな場面でたくさん投げたことは身になったかと聞いたら「自分としてはありがたかったですね。去年は緊急で登板しましたし、緊急で先発もやりましたし。今までやったことがなかった中継ぎの難しさも知ることができたので、そういう面では結構大きかったかなと思います」と振り返った牧投手。

 確かに、生で投げるところを見たのは1年ぶりのことですが、いろいろ吸収したんだろうなと感じました。「どういうメンタルでランナーがいるところで出ていかないといけないのかとか、そのための肩の作り方とか。安藤(優也)コーチに教えてもらいながらできた。そうやって1年間投げられたので、それも大きいですね。まあ満足はしていないですけど、プラスになった部分かなと思います」

2月13日の練習試合で最後の2回を抑えて戻ってくる牧投手。ちょっと笑顔も見えました。
2月13日の練習試合で最後の2回を抑えて戻ってくる牧投手。ちょっと笑顔も見えました。

 なんだか大人になったねえ、と言ったら「そうやろ?そうやねん。もう22やで!ほんまやで、22歳やで。やばくない?18やったんやで、入った時。年を取った感じするもんなあ。高寺なんか3つも下やで」と一気にまくしたてます。そういうところ全然変わっていませんけど(笑)。でもまあ藤田選手や高寺望夢選手と一緒にいる姿を見ると、間違いなく先輩ですから。

 先輩に可愛がられる秘訣は?と質問された時の答えはここで書けませんけど、その中で「人が好きやねん。昔から。貞さん(岩貞祐太投手)とか、ふざける時はふざけるけど、しっかりやる時はやる人。そういうとこがいいなと思う。後輩から見て、そういう人になりたい」という言葉は、牧投手らしくて印象に残りました。大人のピッチング、期待しています。

めでたく高校を卒業した末っ子

 唯一の高校生ルーキー、ドラフト7位の高寺望夢選手は6日の卒業式に出席し、7日は鳴尾浜で練習試合に途中出場。残念ながらヒットはなく、安芸キャンプでの練習試合すべてで放っていた連続安打も6試合でストップしました。とはいえキャンプの6試合で14打数7安打の打率.500、7日の試合を含めても打率.438ですから大したものですよね。

 そんな高寺選手の盗塁について、今月初めに新聞等で読まれた方はいらっしゃると思いますが、ここで改めて書いておきます。盗塁は得意な方かと聞かれた高寺選手は「まだそんなに自信は持ってないんですけど、もっと走れるようにやっていきたい」と答えました。

 ファームで何盗塁を目指しますか?「ファームで15盗塁」。なぜ15?「この前、今成(亮太)さんにちょっと教えてもらって。だいたい15個くらいすれば、すごいかなという基準みたいな。20個すれば結構多いと言われたので15個と決めました」

 最低15個ということでいいですかね?「はい」。できれば20個?「そうですね」。プロの投手からの盗塁は難しい?「スタートとかしっかりしないとアウトになってしまうので、そういうピッチャーとの駆け引きとかをもっと聞いたり、自分で見たりして、しっかりやっていきたいです」

2月28日の練習試合で二塁への盗塁を成功させた高寺選手。
2月28日の練習試合で二塁への盗塁を成功させた高寺選手。

 高校から阪神に入団した、新人選手の盗塁数を調べてみました。もちろんファーム公式戦での数字だけです。私がさかのぼれるのはウエスタン・リーグの中継がスタートした1993年までですが、15個も走った人はいなかった気がしますねえ。高校出の新人選手に限定して書き出してみます。

2020年 遠藤成3、井上広大0、藤田健斗0

2019年 小幡竜平9

2018年~2016年 (投手のみ)

2015年 植田海6

2014年 横田慎太郎6

2013年 北條史也1

2012年 西田直斗3

2011年 中谷将大2、阪口哲也0、穴田真規0

2010年 原口文仁0

2009年 藤井宏政0

2008年 高濱卓也0、森田一成0

2007年 野原将志6、橋本良平0

2006年 前田大和6

2005年 高橋勇丞1、大橋雅法0

2004年 小宮山慎二0

2003年 松下圭太0

2002年 桜井広大4

2001年 狩野恵輔1

2000年 新井亮司2、高山智行2

1999年 寺田祐也4

1998年 中谷仁0

1997年 関本健太郎2、濱中治2

1996年 (高校生なし)

1995年 田中秀太3 ※正確な数字が不明

1994年 高波文一10、平尾博司4、中里鉄也0

1993年 塩谷和彦0、片山大樹0

 2ケタが1994年までありませんでした。これはびっくり!そう思うと2019年に小幡選手が9盗塁を決めたのは久しぶりの多さだったわけですね。さて、高寺選手はどうでしょう?15個走ったら、それがいつ以来か…もう自力では調べられませんけど、楽しみです。

プロスカウト“バッテリー”も活躍

バッティング練習で登板するため、ブルペンで肩を作るスカウトの“岡崎投手”(上)。その球を受ける岡本スカウト(下)。“岡本捕手”のコース判定はシビアです。
バッティング練習で登板するため、ブルペンで肩を作るスカウトの“岡崎投手”(上)。その球を受ける岡本スカウト(下)。“岡本捕手”のコース判定はシビアです。

 続いて、取材した話ではないのですが最終クールのある日のこと。桑原謙太朗投手のピッチングが終わり、みんな引き揚げていったあとのブルペンで岡崎太一スカウトが腕をぐるぐる回し始めました。スカウトの方々もキャンプでは打撃練習のバッティングピッチャーを務めることはよくあり、そのための準備みたいです。

 でもブルペンで、というのは見たことがないとカメラマンさんも言っていたので、思わず写真を撮ってしまいました。ただし岡崎スカウトも、私が構えたところをちゃんと見ていたので盗撮ではありません。はい。ふと見ると、受けているのは元投手の岡本洋介スカウト。逆転バッテリーですね。

 投げながら「いつもピッチャーに無理を言っていたんやなあというのが、よくわかったわ~」と苦笑いの“岡崎投手”。キャッチャーとしてコースとか高さとか、かなり難しい要求をしていた現役時代を、自分がなげてみて実感したのでしょうか。受ける岡本スカウトも笑って、お世辞と本音を混ぜつつ球を評価していました。

 長坂拳弥選手に引き継がれた『57』の背番号を見ると、いまだに岡崎選手だと思ってしまいます。昨年は取材ができず思い出話もまったく聞けなくて…それが残念でなりません。でもまた機会はありますよね。16年間、本当にお疲れ様でした。これからもよろしくお願いします。

7年の時を経て再会したのは…

 最後のこぼれ話は再会編、まずこの写真をご覧ください。

2014年2月9日、安芸キャンプでの野球教室にて。右はルーキーの横田選手、体はプロ並みでしたが顔はまだまだ幼い?
2014年2月9日、安芸キャンプでの野球教室にて。右はルーキーの横田選手、体はプロ並みでしたが顔はまだまだ幼い?

 2014年2月の安芸キャンプで行われた恒例の野球教室を取り上げた記事で、写真左は田上健一選手、右がルーキーだった横田慎太郎選手、そして真ん中が野球教室で“ミニおかわりくん”と呼ばれた岡村隆毅(たかき)くん。小学5年生です。

 なんと、このミニおかわりくんこと岡村くんに、ことしの安芸キャンプで再会したのです!2月17日、メイングラウンドから下へ降りていた時に「岡本さんですか?」と声をかけられて見ると、キャンプのお手伝いに来ている高校生のアルバイトくん。えーと、私を知っているのかな?見覚えがあるような…いや、でもどこで?と頭をフル回転させていました。

 すると「7年前に安芸ヤングタイガースで、野球教室に参加した岡村です」と自己紹介してくれたのです。

 たまたま自分が書いた安芸キャンプの過去記事を少し前に読んでいて、本当にたまたまタイトル画像を見ていたため、面影のある顔に「ああ~!」と反応できたのです。いや、面影は言い過ぎですかね。目元や口元は何となく、という程度で、思わず「体型が、体型が…」と手でまん丸い形を作ってアピールしちゃいました。それもそのはず、現在の岡村くんはこれです。

ことしの安芸キャンプで再会した岡村くん。体型が!輪郭が!(笑)
ことしの安芸キャンプで再会した岡村くん。体型が!輪郭が!(笑)

 7年という歳月を感じるでしょう?それはお互い様か。「岡本さんもメッチャ変わりましたよ」。やっぱりね。でもマスク越しだから、ちょっとはごまかせるはず(笑)。「いや、髪の毛が。前はもっと短かったので」。あ、そこ。優しい青年に育ってくれて私も嬉しいですよ。ありがとう。

 あの頃どんな野球少年だったかは、この時の記事をご覧ください。→<安芸キャンプこぼれ話 ルーキーも張り切った野球教室>

 中学校、高校と野球を続けて、高校3年生のため野球部は引退。この安芸キャンプのアルバイトに参加したそうです。3月1日は高校の卒業式のため、1日早くアルバイトを終えた岡村くん。まさか7年の時を経て、アルバイトとして同じ安芸で再会できるなんて思いもしませんでした。

 よく覚えていてくれて、よく声をかけてくれたと感謝しています。来年、大学生になった姿をまた見せに来てくださいね。ところで岡村くん、今もジャイアンツファンですか?

おまけ

 ある日の夕方、サブグラウンドから引き揚げてこられた阪神園芸の皆さんが押しているライン引き(地面に白線を引く器具)を何気なく見ていたら、ふと何か書かれているような気がして覗き込みました。おそらく、一番下の“君”の文字が目についたのだと思います。そこには『スーパーラインカー バリデル君』とマジックで書かれているではありませんか!

安芸で活躍する『スーパーラインカー バリデル君』です。
安芸で活躍する『スーパーラインカー バリデル君』です。

 え?何ですか?もしかして、この器具の名前ですか?思わず勢い込んで聞いてしまいました(笑)。すると「これ、バリ出ないんですよ」と。バリデルってことは、よく出るからではないんですか?「いや、バリ出ない!誰が引いても出ない。やってみますか?」と言われます。そうなんですね。

 実はバリデルくん、安芸市営球場にやってきて18年も経つとか。想像するに最初の頃は「バリバリ出る」と絶賛されて、こうネーミングされたのでしょう。18年がライン引きでどれくらいの年季なのかは不明ですけど、まあベテランの域かもしれませんね。でもまだまだ頑張ってください!

 ちなみに鳴尾浜で名前が書いてあるライン引きに遭遇したことはないですね。「はい、名前はついていません」。なるほど。鳴尾浜で言えば、野原将志選手がバッティングマシーンを「よしだくん、よしだくん」と呼んでいたことを思い出しました。あれは単にメーカーの名前だったんですけどね。

  <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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