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フェニックス・リーグ首位の巨人に完封勝ちで4連勝!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
13日のDeNA戦で今フェニックス2号の3ランを放った、“4番”・藤谷選手。

 宮崎県内で7日に開幕したプロ野球の秋季教育リーグ『第16回みやざきフェニックス・リーグ』は、12日から第2クールに入りました。台風19号が接近中だった本州ではスポーツ観戦どころではなかったと思われますが、12日の宮崎はきれいな青空が広がる好天。33度という気温に閉口したものの、野球を見られることに感謝ですね。13日と14日は過ごしやすかったのですが、グラウンドやスタンドは南国の太陽が降り注ぎ、選手たちも汗だくでした。

 さて、阪神タイガースの1軍はCSのファイナルステージを突破できず、きのう13日をもって今季の戦いを終えています。けさ俊介選手に朝の挨拶をしたら「おはよう」ではなく「終わっちゃったね…」と寂しそうな声。みんなCSの試合経過を気にしていましたから。本当に残念です。あそこまで行けたからよかったよね、とか言えません。来年に向けて、それぞれの場所で戦いを始めましょう!

 ではフェニックス・リーグの話に戻って、阪神は12日にサンマリンスタジアムで西武と対戦して4対2で勝利、13日はアイビースタジアムでDeNAに8対6で勝ち、第1クールの最終日から合わせて3連勝!これで通算4勝2敗となり、7位タイから3位タイに浮上しました。首位は巨人で5勝1敗、2位が3勝1敗2分けの日本ハム、そして阪神とヤクルトと中日が4勝2敗に並んでいます。

12日のサンマリンスタジアムにて。抜けるような青空と、まるで真夏の日差しでした。
12日のサンマリンスタジアムにて。抜けるような青空と、まるで真夏の日差しでした。

 そして、きょう14日はサンマリンで首位の巨人と対戦しました。1回に先制すると、その後もチャンスを生かして加点。板山選手の第2号ソロなどで計4点を取り、先発・呂投手をはじめ4投手による完封リレー!特別ルールで行われた9回にも長打2本や犠飛で挙げた2点を加えて6対0の勝利です。しかも相手は桜井投手と野上投手が投げていますからね。菅野投手も来ていて、調整登板するとか。阪神は4連勝で、そんな巨人と同じ5勝2敗。この2チームが首位に並びました。

 きょうは12日と13日の試合を振り返ります。14日の阪神-巨人戦は次の記事までお待ちください。なおCSが終わったので、次のクールに野手の入れ替えがあるみたいですね。それと、あす15日の先発は望月投手だそうです。

【10月12日 西武戦】

 阪神は約1年ぶりの先発という飯田投手、西武は高橋光投手で試合が始まりました。熊谷選手は第1クールに両ヒジに死球と牽制球を受けたため欠場(ただし13日はDHで出場、14日はセンターで出場)、また中谷選手がこの日から参戦しています。

6回から登板した谷川投手。
6回から登板した谷川投手。
8回からは尾仲投手が投げています。
8回からは尾仲投手が投げています。

《フェニックス・リーグ》

阪神-西武 (サンマリン)

 西武 001 000 100 = 2

 阪神 010 020 10X = 4

◆バッテリー

【阪神】飯田-藤浪-谷川-尾仲 / 片山

【西武】高橋光(2回)-與座(4回2/3)-野田(1/3回)-相内(1回) / 牧野

◆三塁打 神:板山

◆二塁打 西:綱島、戸川 神:小幡、森越

◆盗塁 神:藤谷

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]遊:小幡  (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

2]左一:板山 (4-1-1 / 0-0 / 0 / 1)

3]中:中谷  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0)

4]三:藤谷  (1-0-0 / 1-3 / 1 / 0)

5]右:俊介  (4-1-1 / 1-0 / 0 / 0)

6]捕:片山  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]指:長坂  (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0)

8]一左:森越 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

9]二:荒木  (3-1-1 / 1-1 / 0 / 1)

 

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

飯田 4回 49球 (3-1-1 / 1-0) 144

藤浪 1回 18球 (0-1-1 / 0-0) 159

谷川 2回 28球 (3-0-0 / 1-0) 145

尾仲 2回 10球 (2-0-3 / 0-0) 144

《試合経過》  ※敬称略

小幡選手は5回に右中間二塁打!これが勝ち越しを呼びました。
小幡選手は5回に右中間二塁打!これが勝ち越しを呼びました。
1点差に詰め寄られた直後の7回、貴重な左前タイムリーを放った俊介選手。でも…写真は1回のファウルです。
1点差に詰め寄られた直後の7回、貴重な左前タイムリーを放った俊介選手。でも…写真は1回のファウルです。

 まず打線は2回、2死から片山と長坂の連打と森越の四球で満塁とし、荒木の押し出し四球で1点先制。先発の飯田は1回2死から死球、2回も2死からヒットを許しながら0点に抑えていましたが、3回はやはり2死から2番・綱島に左越え二塁打を浴び、暴投で三塁へすすめると、続く呉の二ゴロエラーで還してしまいます。これで1対1の同点。

 5回は藤浪が先頭に四球を与え、犠打で二塁へ進めたものの後続を断って無失点でした。その裏の攻撃は1死から小幡が右中間へ二塁打!続く板山は右翼線へのタイムリー三塁打を放ち、中谷の三ゴロで生還!この回2点を勝ち越します。7回に谷川が2安打で2死一、二塁として一ゴロエラーで1点を返されました。

 しかし直後の7回裏に、2死から中谷の中前打と藤谷のこの試合3つ目の四球で一、二塁となり俊介が左前タイムリー!4対2とリードを広げます。8回からは尾仲がヒットや四球を与えながらも2イニングを0点に抑えて試合終了です。

先発の飯田投手、中継ぎの藤浪投手

 平田監督は飯田投手について「(ソフトバンク時代に)ファームで先発として投げているイメージがあるので違和感ない。カーブも使って打たせて、先発でもいける。球種も持っているし、ストライク先行でいけていた。先発だとゆとりを持って投げているね」と、いい評価でした。

飯田投手は昨年8月以来の先発登板でした。
飯田投手は昨年8月以来の先発登板でした。

 飯田投手本人は、久しぶりの先発に「まあまあある程度、思ったようには投げられたかなと。思ったより球数も少なく、ストライク先行でしっかりいけたのがよかったと思います」という感想。監督がゆとりを感じると言っていました。「後ろとか中でいくんだったら、基本は常に10で投げないといけないから、緩い球も使いづらい。先発だと緩急をつけられるし、1点を取られちゃいけないってこともないので、気持ちは楽ですね」

 「7割ぐらいの感覚でいけたのが、ストライク先行になった要因かも。力まなくていいから。後ろだと、ずっと10なのでコントロールもある程度下がるので」。スタミナ的には?「まだまだいけました。でも次に向けて投げ込みもしないといけないと思います」。ナイスピッチング、でしたよね?「そうですね。まあフェニックスですし。どうやったら上で通用するかってのを考えながらやっています」

現時点では1イニングずつを中継ぎで投げている藤浪投手です。
現時点では1イニングずつを中継ぎで投げている藤浪投手です。

 次に藤浪投手です。「悪くはなかったけど、特別よくもなく…普通だと思います。スピード(最速159キロ)に関しては、ここのガンが甘かったのかなと。それで走っているように見えたかもしれませんが、自分としてはまあ普通ですかね」。腕は振れていたのでは?「そうですね。腕は振れていたと思います」。前回登板の西都と比べてどうかと聞かれ「いい感じには来ていると思います」とのことでした。

 なお中継ぎという慣れないポジションに関して「それはもう慣れていくしかないですね。でもリリーフは試合数を多く投げられるので」と話しています。

野手陣はそれぞれのコメント

 高校の後輩(引退した3年生)十数人が、スタンドで観戦していた小幡選手は5回に右中間二塁打。いいところを見せられた?「はい。久々に。ほんと久々に打ちました~」とホッとした笑顔です。

5回、小幡選手の二塁打に続いてタイムリー三塁打を放った板山選手。セーフ!
5回、小幡選手の二塁打に続いてタイムリー三塁打を放った板山選手。セーフ!

 タイムリー三塁打の板山選手は「ランナーを還すバッティングをしようと考えていました」と言ったあと「アウトになると思いました?自分ではもうちょっと余裕があると思ったら、ぎりぎりだった」と苦笑い。「積極的な走塁がチームのテーマで、失敗してもいいと言われているので走っていきたい。アウトになって学ぶこともありますから」

 このフェニックス・リーグでは「左ピッチャーへの対応と、2ストライクに追い込まれてからの対応」を課題に挙げていて「できたのもありますけど、できない打席の方が多い。三振を減らし、何とかファウルで粘って出塁できるようにならないと、と思っています」というコメント。

外野から戻ってきて勝利のタッチをする俊介選手(左)も中谷選手(中)も、すごくいい笑顔でした。
外野から戻ってきて勝利のタッチをする俊介選手(左)も中谷選手(中)も、すごくいい笑顔でした。

 第2クールから合流した中谷選手は5回に三ゴロでの打点、7回に中前打。CSからフェニックスへの移動となりましたが「足りないところだらけなので、実戦の機会でいろいろ試して結果を出していきたいです。きょうのヒットは…。意味のあるヒットを打てるようにやっていきたい」と前を向いています。試合後の練習では新井打撃コーチと動画をチェックしながらフォーム確認。こういう時間も大切?と尋ねたら「はい、そうですね」とうなずきました。

【10月13日 DeNA戦】

 この日は馬場投手と、DeNAの宮城投手が先発。打線は6安打ながら計13四死球(宮城投手の8四球をはじめ12四球と1死球)や3暴投などで8得点。こちらの投手陣は11本の長短打を浴びて6点を失いました。なお7回に、このフェニックスでずっと4番を打っている藤谷選手が、開幕戦以来となる第2号3ランを放っています。

2人目の高野投手は6回から投げ無失点。
2人目の高野投手は6回から投げ無失点。
浜地投手は8回から2イニングで3失点です。
浜地投手は8回から2イニングで3失点です。

《フェニックス・リーグ》

DeNA-阪神 (アイビー)

 阪神 010 030 310 = 8

 DeNA 002 010 021 = 6

  

◆バッテリー

【阪神】馬場-高野-浜地 / 長坂

【DeNA】宮城(4回0/3)-斎藤(2回)-進藤(1回)-平田(1回)-赤間(1回) / 山本-益子(9回表)

◆本塁打 De:知野1号2ラン(馬場) 神:藤谷2号3ラン(進藤)

◆三塁打 De:知野

◆二塁打 De:細川、山下

◆盗塁 神:板山、片山 De:知野、百瀬

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]遊:小幡 (4-1-0 / 2-1 / 0 / 0)

2]指:熊谷 (2-0-0 / 0-3 / 0 / 0)

3]右:中谷 (4-0-1 / 0-1 / 0 / 0)

4]三:藤谷 (3-1-3 / 1-2 / 0 / 0)

5]中:板山 (3-1-1 / 0-2 / 1 / 0)

6]一:片山 (5-1-0 / 1-0 / 1 / 0)

7]捕:長坂 (3-1-1 / 1-1 / 0 / 0)

8]左:森越 (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

9]二:荒木 (2-0-0 / 1-2 / 0 / 2)

 

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

馬場 5回 75球 (4-4-1 / 3-3) 145

高野 2回 28球 (2-1-0 / 0-0) 150

浜地 2回 40球 (5-2-0 / 3-2) 146

《試合経過》  ※敬称略

2回2死から内野安打で出た片山選手は二盗を決め、
2回2死から内野安打で出た片山選手は二盗を決め、
この構えの長坂選手が一塁線を破る先制タイムリーを放ちました!
この構えの長坂選手が一塁線を破る先制タイムリーを放ちました!

 先取点は阪神。2回に藤谷が前日から4打席連続となる四球を選び、併殺のあと片山の内野安打と盗塁で2死二塁として長坂が一塁線を破るタイムリー!そこから連続四球で2死満塁と攻めるも、ここは1点止まりでした。すると2回まで完璧に抑えていた馬場が3回、2死を取ってから9番・百瀬に左前打と二盗を許し、続く知野にカウント3-1からの真っすぐをレフトへ逆転2ランを浴びました。

 しかし5回、2四球と小幡の右前打で無死満塁とした打線は、まず中谷の押し出し四球で同点。藤谷の二ゴロ併殺打の間に勝ち越し、2死三塁となって板山がタイムリー内野安打!計3点追加です。その裏に馬場がまた2死から知野に四球と盗塁を許し、続く楠本の右前タイムリーで1点差に。

5回、板山選手はタイムリー内野安打。
5回、板山選手はタイムリー内野安打。

 6回は高野が連打されながら抑えると、7回は小幡が死球、暴投と熊谷の四球(この試合3つ目)などで1死一、二塁として、藤谷がカウント2-2からの5球目(129キロのスライダー)をレフトへ!7対3とリードを広げる3ランを放ちました。8回にも四球と森越の中前打などで2死二、三塁となり、暴投で1点を加えています。

 ところが、8回登板した浜地は3安打と味方エラーなどで2点を失い、9回にも三塁打された先頭の知野を、途中から出場した桑原の犠飛で還してもう1点。8対6と2点差で試合終了です。

クイックの速さと顔の使い方などを修正中

 試合後の話はまず馬場投手からご紹介しましょう。「初球の入りは全部ストレートでいっていたと思うんですけど、3回のホームランの時は(カウント3-1になり)、本来なら変化球で逃げていたところを真っすぐでいったけど打たれてしまった。そこはまだ力が足りなかったという反省点です」とまず振り返りました。

先発の馬場投手。3回、ちょうど知野選手にホームランされた投球を撮っちゃいました…。
先発の馬場投手。3回、ちょうど知野選手にホームランされた投球を撮っちゃいました…。

 「あとは今、一番大事にしているのクイックの速さと、ランナーが一塁または二塁の時の“顔の使い方”や“間”。セットに入ってからすぐ投げたり、長く持ってみたりという、ランナーを進塁させないっていうところが課題なので、そこを直しながらやっています」

 また次に向けては「クイックも練習しつつ、体力面もですね。イニングを重ねた時に真っすぐが浮いたり、叩いてしまったりというブレをなくして、常に低いところで強く球がいくようにしたい。次の登板では1回のピッチングと5回のピッチングが同じ力強さになるよう、そこを目指していきたいと思います」とのこと。

 そして「前回よりはよかったと思います。前回は体が動いていない感じだったけど、きょうはホームランも置きにいったというより腕を振って弾き返されたので。強い球はいっていた」と締めくくっています。

四球の多さは4番の風格?

5回は無死満塁で二ゴロ併殺打で打点はつきませんが、1点を追加した藤谷選手。
5回は無死満塁で二ゴロ併殺打で打点はつきませんが、1点を追加した藤谷選手。
12日のサンマリンスタジアム、スコアボードに“4番・藤谷“。
12日のサンマリンスタジアム、スコアボードに“4番・藤谷“。

 続いて藤谷選手、の前に平田監督の談話をどうぞ。第2号3ランを「見事だ!ナイスバッティング。フォアボールもきのう3つに、きょう2つ。相手をビビらせているよ。あのホームランはなかなか打てん。あれが魅力や」と絶賛でした。4番を打たせていることについては「フェニックスだから。小幡が1番、(藤谷)洸介が4番。地位が人を作る。4番の風格が出てきた。フォアボールを選びよるもん」とのこと。

 その四球ですが「2打席目の見逃し三振も、あれ最後はボールだよ。見逃し方も研究しないとね」と平田監督。「来年、やっぱり使いたいと思わせるようにしないと。守備もよくなってきたし、ダイビングしていくことによって、捕れない球が捕れるようになる。小幡にしても9番より1番で、数多く色んなピッチャーを打たせてね」

 では藤谷選手本人のコメントです。「ちょっと上がりすぎたかなっていう感じでした。入ると思わなかったです!」と目を丸くします。それにしてもスライダーを強振せず、うまく運びましたねえ。「どうしても変化球が苦手なので、課題の変化球を打ててよかったです」

3ランを放って三塁を回ったところ。口元を引き締めて走っています。
3ランを放って三塁を回ったところ。口元を引き締めて走っています。
小幡選手(右)、熊谷選手(左から2人目)に続いてホームインして、ちょっと笑顔も。
小幡選手(右)、熊谷選手(左から2人目)に続いてホームインして、ちょっと笑顔も。

 ここまで6試合でヒットは7本だけど、四球が8つ!前日は3連続で、この日も1回と9回に四球を選びました。「そうですね。きのうから続いて。最後の打席も多分、初球と2球目は真っすぐじゃないと思うんです。ツーシームか何かだと。そこを振らずに見られたのがよかったなと思います」

 2打席目の見逃し三振も、平田監督いわく「見逃し方によって」四球になると。「そうなんですよね。見逃す時にちょっと体が開いてしまって…。そういうのもフェニックス中に成長していけたらと思っています」。ちなみに4番は自分で意識する?という問いを最後まで聞かず「していません」とメチャクチャ小声で(笑)。まあ四球を選ぶのも4番としては仕事になりますからね。「そういうことです。三振も多いですけど」

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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