Yahoo!ニュース

灼熱の鳴尾浜で練習試合 大阪市立大学、Honda鈴鹿《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
江越選手のホームラン打球を「おお~!」と笑顔で見守る大阪市立大学ベンチでした。

 きのう8日、ヤクルト-阪神戦(神宮)で秋山投手と原口選手の同期&同学年バッテリーが輝きました。1軍でこの2人が先発で組むのは昨年6月以来で3度目、まだ勝っていなかったんですね。きのうも2対0とリードを許したまま秋山投手は5回で交代。直後の6回表に原口選手が同点のタイムリー内野安打を放ち「一生懸命、必死で走りました。アキのためにも絶対に1点ほしい場面だったので、あの回で一気に逆転できてよかった」とコメントしています。

 秋山投手の負けを消しただけでなく、北條選手の二塁打で勝ち越しのホームを踏んで白星をもプレゼント。一塁からの激走だったわけで、さすがに三塁を回ったあたりで足がもつれかけていたような…。8回にもレフトフェンス直撃の二塁打も放った原口選手は、よく打った、よく走った、そして常にこだわり続ける“キャッチャー”としての仕事も果たした試合ですね。

 このバッテリーで、いつも思い出すのは8年前の夏です。2011年8月13日、福岡県小郡市で行われたウエスタン・ソフトバンク戦バッテリーを組んだ2年目の2人。9回を投げた秋山投手が完封勝利を挙げ「高校時代のキャッチャーみたいに気持ちの通じるリードだった」と言えば、自身にとって“プロ初完封”の試合を「バッティングはよくなかったけど、すごく嬉しい!キャッチャーだから」と喜んだ原口選手。背番号は27と52でした。

 きのうは勝利の瞬間、ベンチにいた2人。秋山投手の笑顔がナイター照明の中でキラキラ輝いていたことも、最後まで真剣な眼差しをグラウンドに向ける原口選手のことも印象に残っています。プロ10年目を迎えた彼らの記憶に刻まれる夜だったでしょうね。

 それにしても神宮に響く関西弁と、さすがのコメント!北條選手のヒーローインタビューに、また笑わせてもらいました。原口選手を「僕より足が速くないと思います。でも、きょうは速かったです」と。まあ遅いという単語を避けたことや、きょうは速かったと付け加えたのは北條選手の忖度?いじられた原口選手もまんざらではなかったみたいだし、また楽しみにしておきます。

公式戦のない間に3位へ落ちました…

 さて、阪神ファームは先週末の直接対決で3タテを食らったソフトバンクに、ウエスタン・リーグ首位の座を譲りました。その時点で2ゲーム差、さらに3位のオリックスとも1ゲーム差という状況だったのですが、6日からの3連戦でソフトバンクは広島に3勝0敗、オリックスは中日に2勝1敗。さらに、きょう9日はオリックスが広島に勝って、阪神を抜き2位に浮上しています。この間、試合のなかった阪神はオリックスとゲーム差はないものの、勝率(1厘以内の僅差)で3位に転落。首位・ソフトバンクとは3.5ゲーム差です。

頭部死球の熊谷選手を心配そうに立って見守る大阪市立大学のバッテリー(両サイド)と監督(中央)。
頭部死球の熊谷選手を心配そうに立って見守る大阪市立大学のバッテリー(両サイド)と監督(中央)。
熊谷選手は頭部を固定して担架で運ばれ、救急車の到着を待ちます。
熊谷選手は頭部を固定して担架で運ばれ、救急車の到着を待ちます。

 公式戦が組まれていない間に、練習試合として7日は大阪市立大学と、8日はHonda鈴鹿と交流試合がありました。まず昨年8月に続いて2度目の対戦だった、7日の大阪市立大学戦からご紹介します。

 この試合の8回裏に熊谷選手が、代わったばかりの山崎雄投手から頭部へ死球を受けました。2ボールからの3球目、142キロの真っすぐがヘルメット(後頭部付近)を直撃。当たったところを抑えて倒れこんだ熊谷選手ですが、遠目でも意識のあることはわかったので多少は安心したものの、担架で運び出されて救急車で病院へ。

 夕方、タクシーで鳴尾浜に戻ってきた熊谷選手は「大丈夫ですよ。意識もありましたし。あのまま試合にも出られたくらい」とニコニコ。いや~よかった!「救急車に初めて乗りました。痛かったです(笑)」。車の揺れで患部が当たって痛かったということのようです。なお球団からは「西宮市内の病院で検査を受け、脳と骨に異状はなく頭部打撲と診断された」と発表がありました。まだすぐ試合というわけにはいきませんが、本当によかったですね。

【7日】大阪市立大学戦は4安打で6得点

《練習試合》8月7日

阪神-大阪市立大学 (鳴尾浜)

 市大 001 000 000 = 1

 阪神 000 100 41X = 6

  ※特別ルール

◆バッテリー

【阪神】牧‐横山-石井 / 片山-長坂(9回表)

【市大】塘本(6回)-古寺(1回)-山崎雄(0/3回)-伊澤(1回) / 篠原

◆本塁打 市:福永ソロ(牧) 神:江越ソロ(塘本)

◆二塁打 市:桑原 神:荒木、藤谷

◆盗塁 市:福永、桑原

◆打撃   (打-安-点/振-球/盗/失)

1]遊:小幡  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 1)

2]二:熊谷  (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

〃走指:中谷 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

3]中:江越  (2-1-1 / 0-2 / 0 / 0)

4]一二:板山 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

5]左:荒木  (3-1-2 / 2-0 / 0 / 0)

6]右:伊藤隼 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

7]指捕:長坂 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

8]捕一:片山 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

9]三:藤谷  (3-1-2 / 1-0 / 0 / 0)

   

◆投手 (安-振-球/失-自)最速キロ※

牧  5回 67球 (5-4-3 / 1-1) 147

横山 3回 38球 (1-3-0 / 0-0) 141

石井 1回 8球 (0-0-0 / 0-0) 142

      ※チーム計測の数字  

《試合経過》※敬称略

7日の先発、牧投手。1回から四死球でいきなり満塁のピンチ。
7日の先発、牧投手。1回から四死球でいきなり満塁のピンチ。
4回2死から江越選手がレフトへホームラン!
4回2死から江越選手がレフトへホームラン!

 先発の牧は1回、2四死球と味方エラーで無死満塁のピンチを招きながら、三振と併殺打で無失点。2回は先頭の二塁打だけでしたが、3回は先頭の1番・福永に初球をホームランされます。4回も先頭へ死球を与えるも併殺を取って3人で終了。5回もまた先頭のヒットのあと、福永を今度はスライダーで空振り三振、次は二ゴロ、最後が真っすぐで空振り三振!

 打線は4回2死まで打者11人が、市大・塘本にパーフェクトピッチングを許します。ようやく江越がチーム初安打となるレフトへのホームランで同点に!しかし以降も5回に伊藤隼が四球を選んだ以外、1人の走者も出せません。塘本は6回を投げ1安打5三振1死球の1失点です。

この日は5番レフトでフル出場した荒木選手。タイムリー二塁打と犠飛(写真)で2打点。
この日は5番レフトでフル出場した荒木選手。タイムリー二塁打と犠飛(写真)で2打点。

 7回は2人目・古寺から江越と板山が連続四球、荒木のファースト強襲セカンド内野安打がタイムリー二塁打となり勝ち越し!なおも無死二、三塁で伊藤隼の打球がレフトのエラーを誘って1点。内野フライ2つで2死一、三塁に代わって、藤谷が左中間へのタイムリー二塁打!これで2人を還し、この回4点追加しています。8回は市大3人目の山崎雄が先頭の熊谷の頭部へ死球。代走は中谷、ピッチャーも伊澤に代わって、江越が四球を選び、板山は内野安打で無死満塁となって荒木が左犠飛。もう1点加えて計6点となりました。

6回に登板し、復帰後最長の3イニングを0点に抑えた横山投手。
6回に登板し、復帰後最長の3イニングを0点に抑えた横山投手。

 一方、2人目の横山は6回、7回を三者凡退で片付けると、8回も先頭の福永を空振り三振に。そのあとヒットを許し、次への初球でボーク(手が滑ったのか投げようと動いたところでボールを落とす)を取られたものの、残りはしっかり片付けて1安打無失点!3イニングとも先頭打者は三振でした。9回は石井がわずか8球で三者凡退に切って取り、試合終了です。

熊谷、異常なしの報に平田監督は

 試合後、平田監督は熊谷選手の死球を気にかけていて、元気に戻ってきたことを伝えると「そう、歩いて帰ってきたなら安心した。ただ(当ててしまった)ピッチャーの子が、さっきも謝りに来て…すごく心配していたよ。去年もデッドボールがあったらしくて。でも『そんな気にせんと、しっかり野球を頑張らなあかんで』という話をした。すごく気にしていたんでね」と話しました。

4回に出た江越選手のホームランが、チーム初の走者で初安打でした。
4回に出た江越選手のホームランが、チーム初の走者で初安打でした。

 そういえば昨年の対戦で山崎雄投手は先発して、江越選手に2つ、高山選手に1つの計3死球があったんですね。今回は熊谷選手が担架で運ばれるまで、ずっと見守っていた市大のバッテリー。ものすごく心配だったと思いますが、診断結果を聞いて安心したでしょう。平田監督の言葉を励みに、これからも頑張ってください。

 では選手のコメントをご紹介します。まず4回にホームランを放った江越選手ですが「何もないです。頑張りますとしか言えないんで…」というひとことだけ。最短で再昇格するために、8日の試合後も室内練習場で延々と打ち込んでいました。

「波が激しすぎる」と牧は自己反省

 ついで牧投手です。立ち上がりのピンチをしのいだことには「何とかギリギリ…」と笑顔なし。「5回投げたのは、ほんま久しぶりでしたね」と言いながら、とにかくコントロールも何もかも、うまくいかなかったようです。それでもあえて、よかった点を挙げてもらいました。しばらく考えて「よかったのは5回の2アウト目と3アウト目。しっかり自分の投げたい球を自分で選んで勝負できたところ」という答え。

自分に腹を立てているような、悔しい表情で戻ってくる牧投手。
自分に腹を立てているような、悔しい表情で戻ってくる牧投手。

 悪かったのは?「すべての回で先頭を出したこと。入り方と、ストレートの質を上げないと、ファウルも取れない。高めでも、ある程度のゾーンでファウルは取れるようにしないとダメです」。それにしても2死球というのは珍しい。「立ち上がりにいきなりデッドボールなんて、あり得ない」と自分に腹を立てる牧投手。「5月が一番よかった。6月から落ちてきている。5月くらいに戻せたらいいんですけど。とにかく波が激し過ぎます」

 平田監督も「ほとんどのバッターにいい当たりをされた。凡打でも芯でとらえられていたし。コントロールも逆球ばっかりだった。まあこれが現状。頑張らないと」と苦言を呈しました。

横山、試合のマウンドで出すことが課題

 最後は横山投手です。開口一番「納得いく球が投げられていない」とのこと。復帰後はコントロールよく投げられているように見えますけど。「気持ちよく投げられていないです。球が、かかっていない。ブルペンだと、ちょいちょい(かかった感覚が)あるんですけど、試合では出ない。復帰戦はアドレナリンも出てよかったけど、ここ最近は出ていない。考えて調整する、という感じです」

味方の攻撃中にキャッチボールをする横山投手。
味方の攻撃中にキャッチボールをする横山投手。

 復帰してから最長の3イニング。どうでしたか?「1イニングより3イニングの方がしんどいですね。でも、それは通る道なので。3年前には7イニングでも投げられていた。その体力はこれからつけたい。きょうの3イニングは問題なかった。次のステップには進めると思いますが、球の質と体力に関しては、どんどんやっていきたいです」

 はじめに言った、納得いく球が投げられていないというのはブランクのせいかと聞かれ「正直、キャッチボールでは、かかっているんです。傾斜の違いはあると思う。強くたたいて低めに投げるのが、キャッチボールやブルペンではできるのに試合でできない」と横山投手。「きょうは球が滑っていて、指先に乗っていない感じがあった。ショックでした。ブルペンでは思い切り腕を振れている感じがあり、ブルペンで打者を立たせたら投げられるのに、あそこへ行くと…。何かわからないけど、突き詰めていきたいです」

【8日】Honda鈴鹿戦はともに10安打ずつ

 翌8日は2015年9月以来、4年ぶりにHonda鈴鹿と対戦しました。ルーキーの守屋投手が元チームメイトとの再会に、そのまま一塁側ベンチへ入っていきそうなくらい喜んでいたのを覚えています。練習終わりに行う恒例のハイタッチも一緒にやっていたんですよね。

8日のHonda鈴鹿戦、岩貞投手の準備ができるまでネクストでバットを持つ横田選手。
8日のHonda鈴鹿戦、岩貞投手の準備ができるまでネクストでバットを持つ横田選手。

 また、その時に先発して5回3安打1失点だった岩貞投手が今回も先発。相手投手は違うものの、陽川選手が4年前も今回も4番でホームランを打っています。横田選手が3安打を放ち、あとホームランでサイクル安打、という活躍だったのも懐かしい。きのうの試合で、岩貞投手の代わりにネクストでバットを持っている姿を見て、思わず写真を撮りました。

《練習試合》8月8日

阪神-Honda鈴鹿 (鳴尾浜)

 鈴鹿 001 101 000 = 3

 阪神 040 020 000 = 6

   ※特別ルール

   ※申し合わせにより9回裏まで

◆バッテリー

【阪神】岩貞‐斎藤-ドリス / 長坂-岡崎(8回~)

【鈴鹿】瀧中(4回)-森田(1回)-平尾(1回)-花城(1回)-井村(2回) / 西川

◆本塁打 神:陽川ソロ、長坂2ラン(瀧中) 鈴:西川ソロ(岩貞)

◆三塁打 神:藤谷

◆二塁打 神:板山、中谷 鈴:石井、庄司

◆盗塁 神:江越

◆打撃    (打-安-点/振-球/盗/失)

1]二:上本  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

〃二:山崎  (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

2]遊:小幡  (4-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

3]中:江越  (4-0-0 / 3-1 / 1 / 0)

4]左:陽川  (2-2-1 / 0-1 / 0 / 0)

〃左:伊藤隼 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

5]右:中谷  (4-1-2 / 0-0 / 0 / 0)

6]一:板山  (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃一:荒木  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]三:藤谷  (3-2-1 / 0-1 / 0 / 0)

8]捕:長坂  (3-1-2 / 2-0 / 0 / 0)

〃捕:岡崎  (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

9]投:岩貞  (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

〃打指:俊介 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打指:片山 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

   

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速キロ※

岩貞 7回 99球 (7-4-1 / 3-2) 144

谷川 1回 20球 (1-3-0 / 0-0) 152

横山 1回 16球 (2-2-1 / 0-0) 155

        ※球場表示の数字

《試合経過》※敬称略

2回に先制のソロを放った陽川選手。写真は3回、右前打で一塁へ行ったところです。
2回に先制のソロを放った陽川選手。写真は3回、右前打で一塁へ行ったところです。
板山選手は8日、左中間二塁打を打ちました。これは7日、ショート内野安打の写真。
板山選手は8日、左中間二塁打を打ちました。これは7日、ショート内野安打の写真。

 1回は両チームともに三者凡退で始まった試合。2回の岩貞は四球と暴投、ヒットなどで2死一、三塁としますが0点に抑えると、その裏に2本のホームランなどで先制。まず先頭の陽川がレフトへソロ!1死後に板山の左中間二塁打と藤谷の右前タイムリーで2点目。続く長坂の2ランで、この回4点を取りました。

 岩貞は3回、先頭の9番・石井に内野安打され犠打で二塁へ、2死後に上本が二ゴロ後逸のエラーで1人を還します。さらに4回は5番・西川のソロホームランを浴びて4対2。5回は三者凡退でした。3回は陽川の右前打のみ、4回は藤谷の四球のみだった打線が5回、上本と小幡の連打、陽川の四球などで2死満塁として、中谷が左中間へのタイムリー二塁打!これで6対2となります。

7回の守備を終えて戻ってきた中谷選手。右にいる岩貞投手に「ゴメン」と?
7回の守備を終えて戻ってきた中谷選手。右にいる岩貞投手に「ゴメン」と?

 6回は1死後に3番・松本桃からの3連打で1点(西川の左前タイムリー)を返された岩貞でしたが、最後は遊ゴロ併殺打。7回は2死から石井に三塁線を破る二塁打を許すも問題なし。7回を投げ7安打3失点(自責2)で交代です。8回は斎藤と岡崎のバッテリー。先頭を空振り三振に仕留め、松本はピッチャー強襲の中前打。4番・畔上から変化球で空振り三振を奪ったあと、ボークで二塁に走者を進めたものの、西川は空振り三振!

ドリス投手は9回に登板。あっという間の満塁でしたが無失点。
ドリス投手は9回に登板。あっという間の満塁でしたが無失点。

 9回はドリスが登板して、いきなり6番・庄司に初球(153キロ)を中越え二塁打され、続く中村にも初球(152キロ)を右前へ。さらに四球で無死満塁としますが、ここから変化球主体に切り替えて2者連続三振。最後も変化球で遊ゴロに打ち取り、無失点でした。

 なお後半の打線は、6回が2死から代打・俊介の右前打のみ(牽制死)。7回は2死から江越が死球、二盗とキャッチャーの送球エラーで三塁まで進むも追加点なし。8回もまた2死から藤谷が左中間三塁打があったけど、そのまま残塁。そして特別ルールで行われた9回裏はこれまた2死から小幡が四球を選んだだけ。6対3で試合終了です。

7イニング、99球を投げた岩貞

8日の先発は岩貞投手。4年前のHonda鈴鹿戦でも先発でした。
8日の先発は岩貞投手。4年前のHonda鈴鹿戦でも先発でした。

 試合後の話は岩貞投手から。7回は予定通り?「はい、そうです」。この炎天下、かなりきつかったのでは?「いえ全然。まだまだいけましたけど」。涼しい顔で言ってのけたけど、受けた長坂選手は「しんどそうだったので、頑張れ!頑張れ!と声をかけていた」と証言しています。

 試合を振り返って「ゲームの中でできる限りのことをやろうと思っていた。暑いので守備の時間を、より短くしようとかも考えて。ボールが走ってきているし、きょうはアンラッキーなヒットもあったけど、そのあとの打ち取り方がだいぶよくなったので継続してやっていきたい」と話しました。

 もう準備はできた?「7回投げられて、投げ終えたあとの疲労感も、まだいけそうな感じだったので。呼ばれてもいいように、しっかり調整していきたいです」。打席にも2度立ちましたね。「久しぶりだったんですけど、打席の次の回は入りを意識して投げられたので、よかったと思います」

8日の9回、満塁のピンチをしのいで戻るバッテリー。ドリス投手(左)を慰める?岡崎選手(右)。
8日の9回、満塁のピンチをしのいで戻るバッテリー。ドリス投手(左)を慰める?岡崎選手(右)。

 次はドリス投手。いきなり初球を連打されるなど無死満塁にしたものの無失点でした。最初は真っすぐ中心で満塁になり、そこから変化球に切り替えたのは?「全部のバッターが初球から振ってきたので、変えていかなきゃいけないと思って」。変化球はよかった?「きのうから変化球の精度を意識していて、きょうは自分が求めていた感じで変化球を投げられたので、よかったです」

 登板中に修正ができたのは1軍でも生きる?「2軍では初球から振ってくる選手が多く、そこは1軍と違うけど、1軍に上がったらまた対応していかないと」

監督がドリスに「スライダーGOOD!」

 平田監督に、岩貞投手が打席に立ったのは1軍昇格を見据えてのことかと尋ねたら「いやいや。岩貞は、自分でリズムを作りたいから、練習試合のとき打席に立たせてもらえれば、と言ってきただけよ。1軍とか、そういうんじゃなくて自分でね。ヒットも打たないのに困るよ~」と最後は笑いに。

7回の表が終わって戻ってきた中谷選手(左)を迎える岩貞投手(右)。2人で謝り合っています。
7回の表が終わって戻ってきた中谷選手(左)を迎える岩貞投手(右)。2人で謝り合っています。

 投球については「スライダーの精度が悪い。腕を振って、真っすぐ中心で、スライダーを打たれたり。いろいろ試しながらやっていた。まあボチボチじゃない?」とのこと。そこへドリス投手が登場すると「わざとやってんじゃないの?満塁って」と突っ込む平田監督に、ドリス投手は「あー、えー」と苦笑いでした。

 それから平田監督は「スライダー投げてたやろ?真っすぐとカットだけじゃしんどいけど。スライダーGOOD!」と言い、ドリス投手は「1軍でも投げたい。スライダーを投げたのは、きょうが初めてです」という返事。連続三振を奪った打者への、勝負球の前にスライダーを投げて、最後に真っすぐやフォークで空振りさせています。

野手陣のコメント集をどうぞ

 先制ホームランの陽川選手は「公式戦でこういう結果を出せるように」とコメント。今、意識していることは?「甘い球を一発で仕留めるとか、タイミングとかです」

試合後の挨拶で帽子を取る長坂選手。
試合後の挨拶で帽子を取る長坂選手。

 今季ファームでの初ホームランだった長坂選手。1軍ではプロ1号を放っていますけどね。「練習試合だから結果にはこだわっていませんけど、あの打席に関しては感触がよかったので、あさってから(の公式戦)につなげたい」

 5回2死満塁で2点タイムリー二塁打を放った中谷選手は、ナイスバッティングと声をかけたら「あれだけ!」と、かぶせるように返事がありました。そのあと自ら「でも、あれだけじゃダメ!」と続けています。

これは7日の大阪市立大戦で2点タイムリー二塁打を放った藤谷選手です。
これは7日の大阪市立大戦で2点タイムリー二塁打を放った藤谷選手です。

 最後は、この練習試合2つで6打数3安打3打点の藤谷選手です。8回の三塁打は「スライダーかカットボールか」という138キロの球を左中間へ飛ばしたもの。フェンス上部の金網にガシャンと当たる音がしました。あと少し、惜しかったですねえ。「ノーパワーってことですか。まだまだ頑張らないと」。なかなか殊勝なコメントで。なお2回の右前タイムリーは「僕らしくないヒットでしたね」と笑います。そうですね、とは言っていませんよ。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事