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フレッシュ球宴でつかむ何かが、後半戦の飛躍につながる《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
昨年のフレッシュ球宴(弘前)には、左から熊谷、島田、馬場、望月の4選手が出場。

 ことしのフレッシュオールスターゲームは7月11日に、仙台市の楽天生命パーク宮城で行われます。その出場選手が26日に発表されました。阪神からは昨年に続いて2度目となる、地元出身の馬場皐輔投手熊谷敬宥選手の2年目コンビと、小幡竜平選手斎藤友貴哉投手片山雄哉選手のルーキートリオが出場します。それぞれ1チーム4人ですが、昨年リーグ優勝したチームはプラス1。よって阪神からは2011年以来の5選手です。

 ウエスタン選抜、イースタン選抜とも21人が選出されました。そのうちウエスタンは13人、イースタンは12人がルーキー。ウエスタン選抜の監督を務める阪神・平田勝男監督がNPBの公式サイトで「昨年まで高校野球で大活躍した選手や、地元仙台出身の選手を多数選出しましたので」と語っているように、高校出のルーキーが両チームに5人ずついます。

 ニュース等でも『高校ビッグ4がフレッシュ球宴で対決!』と取り上げられた、イースタンの日本ハム・吉田輝星投手、ロッテ・藤原恭大選手、ウエスタンの中日・根尾昂選手、広島・小園海斗選手が揃いましたね。もちろん阪神の小幡選手も負けないぞと闘志を燃やしながら、きっと楽しみで仕方ないのでしょう。

 平田監督にとっては2014年(長崎)以来、5年ぶり6度目の“出場”。監督として出るのは2007年(松山)以来、12年ぶり2度目です。監督は試合前の守備練習でノックはしないんですかね?フレッシュオールスターが近づくと、練習がてら鳴尾浜でノックバットを持つ歴代監督の姿も風物詩のようでした。

今度はワクワクを与える立場で

 では、選出された5選手のコメントをご紹介しましょう。まず投手、初出場の斎藤投手からです。

ドラフト4位・斎藤投手。山形から見に来てくれる方々も多いでしょうね。写真は5月の甲子園にて。
ドラフト4位・斎藤投手。山形から見に来てくれる方々も多いでしょうね。写真は5月の甲子園にて。

 「違うリーグとの対戦で、開催が仙台ということもあり、山形から近い東北なので楽しみです。自分のアピールの場だと思うのでしっかりやりたい」という感想。対戦したい打者は?「社会人の同じチームで同期の松田(ロッテ)が出ていたら、松田と対戦したい」。これは残念ながらかないませんでしたね。来年のセ・パ交流戦に持ち越しです。

 目標は「とりあえず3人で抑えたい」という斎藤投手。仙台のイメージを聞かれると「小さい頃から試合は見にいっていたけど、プレーをするのは初めてなので楽しみです」とのこと。そして「野球が好きで、ディズニーランドへ行くみたいにワクワクしていたけど、次はそのワクワクを与える立場なので、ファンの方にアピールできるようやっていきたい」と素敵な抱負も語ってくれました。

「地元のみんなに見てもらえたら」

 続いて馬場投手。2度目の出場ですが、やはり楽しみな様子が見てとれます。対戦してみたい選手は?「あんまりそこは考えていなかったです。宮城で投げるので、楽しんで投げられたらな、というところです」。去年は先発で緊張したかと。「そうですねえ。どこで投げるにしろ、なかなかない機会なので自分のピッチングができるようにしたい」。三振3つとか?「ま、できたら。…わかんないですけど」

26日の夕方、鳴尾浜での馬場投手。2度目ですが今度は宮城なので、より楽しみでしょう。
26日の夕方、鳴尾浜での馬場投手。2度目ですが今度は宮城なので、より楽しみでしょう。

 三振は狙ってみますか?と聞いてみると「当てられたら終わりなので(笑)」と馬場投手。確かにそうですね。「まあ短いイニングなので。去年も楽しみましたけど、ことしも楽しめるよう。純粋に」。本当に去年は試合前も試合中も試合後も、みんなと話したり歩き回ったり、あんなに笑顔の馬場投手を初めて見たくらいです。

 そこに加えて、ことしは地元開催。「友だちとか、みんな来てくれるので、そこで見てもらえたら」。そこで投げるのは楽しみ?「楽しみというか…プレッシャー?」と言ってにこやかに笑っていました。

後半戦のために何かをつかむ!

 次は野手陣。2年連続出場の熊谷選手は「仙台でやれるのは嬉しい。なかなか仙台に行くことがないので。思いきり楽しみたいなと思います」という感想。去年も一度ありましたね?「そうですね、交流戦で行ったんですけど。プロで行けるのは交流戦くらいしかないので、貴重な時間だと思います。ファンの人を喜ばせられるような試合、パフォーマンスをしたいなと」

 昨年は1打席目にヒットを打ちました。ことしは?「ことしは右打席だけなので。いいとこは持っていきたいなと思います」。なるほど、スイッチではなくなったからヒットの確率が上がるかも?もちろん塁に出れば、の言葉に「走れたら…」という返事。それはまた控えめな。「打つ方で頑張りたいです」。そういうこと!失礼しました。

26日の試合後に囲み取材を受ける熊谷選手。クリクリ頭も似合いますね。
26日の試合後に囲み取材を受ける熊谷選手。クリクリ頭も似合いますね。

 MVP以外にホームラン賞もありますよ。「ホームランはいいです!狙ったらダメです。勘違いしちゃうんで(笑)。3安打3安打の方が価値もあるんじゃないかなと。あと、フレッシュオールスターでも何かきっかけをつかめたらいいと思うので。賞は獲りたいですけど、何かひとつのきっかけをつかんでリーグ戦でいい形で打てるようにしたいです」

 1軍も視野に入れて。「そうですね。1軍で早くやりたいですけど、まずは何かをつかんでファームで結果を出して。じゃないと1軍には上がれないと思うから。ちっちゃいことでもいいので何か、いい選手のものを盗めるようにしたいなと思います」

 気になる選手はいますか?年下の人も多いですが。「誰が出場するかまだ分からないので。高校出の選手でも、すごいものを持っていると思う。僕に足りないものを彼らの方が多く持っている。そういうのも機会があれば聞いてみたいです。貪欲に」。しっかりと地に足をつけて、前を向く。そんな印象の熊谷選手でした。

“同学年のショート”に負けない

 続いて、5人の中で唯一の十代、ルーキーの小幡選手です。出場が決まっての感想は嬉しい?楽しみ?と尋ねたら「一番は楽しみ!ですね。やっぱりいろんなチームの人が来るし、しかも高卒のショートが多いので。出るんじゃないかな~と思いますけど、それがすごく楽しみです」

 中日の根尾選手、広島の小園選手、他には?「宜保、太田」。そんなにいる?「ショート多いです」。という会話をしましたが、オリックスの宜保選手と太田選手は選出されていないので、今回は小幡、根尾、小園という3人。それでもショート守るのは大変ですね。平田監督がウエスタン選抜の監督だけど、逆に気を使って他チームの選手にするかもしれませんし。

 同じチームにも、相手チームにも多い同級生たちは、ライバル心を持って見ている?「そうですね。意識はします」。自身はどこを守るにしても、アピールしたいですね。「結果とかにこだわったりしないので、守備でも打席でもしっかり自分のプレーをできればいいなと思います」

小幡選手(写真)、根尾選手、小園選手のウエスタン遊撃手トリオが楽しみですねえ!
小幡選手(写真)、根尾選手、小園選手のウエスタン遊撃手トリオが楽しみですねえ!

 このところバッティングが上向き。何かつかんできた?「つかんできたというか、始動を早くするようにと(新井)良太コーチに言われてから、それが少しずつできてきて、打席の中でしっかりとした自分のスイングをできることが多くなったのが一番大きな理由だと。そこですね。監督にも始動が遅いとは言われていて、良太さんに教えてもらって」

 つい先日、23日のソフトバンク戦(久留米)ではプロ初ホームランも出ましたね。ご家族も観戦する前で。長打も増えたし、飛ばせるパワーもついたのでは?「ウエートは結構やっているんで」。自分でも体が変わってきたと感じる?「入った時に比べると重量が、重さが変わりました。ベンチプレスが40キロで10回いかなかったんですけど、60キロで10回いけるようになった」

 この重量というのは、ベンチプレスなどでかける“負荷”のことですね。いやいや、半年でこの数字はなかなかのものでしょう。ちなみに宮城は初めてだとか。東北は青森だけ行ったことがあると言います。「お兄ちゃんの試合を見に行きました。大学の」。小幡選手が中学生ぐらいだったんですかね。

「ホームランを狙いにいきます」

 最後は片山選手です。今回、イースタンには育成選手が3人出ていますが、ウエスタンでは片山選手1人でした。選出の感想は「嬉しいです、って言葉がいいですかね?経験したことがないので、評価してもらえるのはありがたいことですし、いろんなスター選手や僕よりすごい選手たちがいる中でプレーできるのは、今後の自分の糧にもなると思います。すごく学びたいという思いがあるので、何か感じてこられたら」と意欲的。

 対戦相手もチームメイトも未確認でしたが「いろんなピッチャーの球を受けられるし、向こうのピッチャーも見られる。そういうところでプレーできることに意味があると思います。楽しみたいですね。すごい選手たちに囲まれてやるわけですから、楽しんでやりたい。(彼らが)どういう感覚で野球をやっているのか、僕が普段考えないようなことを考えているのかなど、見てみたい。感じたい」と言います。

「MVP」「100万円」は言わせた形ですが、間違いなく狙ってくれるであろう片山選手です。
「MVP」「100万円」は言わせた形ですが、間違いなく狙ってくれるであろう片山選手です。

 片山選手としてはどんなプレーを見てもらいたい?「どんなプレーですか。もちろんホームランを打つつもりでいるので。打席に立ったらホームランを狙いに行きますし、盗塁を仕掛けて来たら刺したいですし。打撃、守備ともに頑張りたいですね」。そして?という問いに少し間をおいて、その意味に気づくと「あははは!100万円獲ります。あはは!これダメですよ。言わせたから」と笑い飛ばしました。

 「それはまあ最終的についてくるものですから。それは置いといて、とりあえず楽しみたいです」。なおウエスタンの指揮を執るのは平田監督だと伝えたら「さっきまでのこと全部、撤回しといてください(笑)。“真剣にやります”って書いといてください」と片山選手。全部書いちゃいました!

 

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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