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“岩貞-原口”の同級生バッテリー、次は甲子園で《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
BCL・石川との練習試合。ピッチャー岩貞、4番キャッチャー原口が実現しました。

 阪神ファームは今、BCリーグとの練習試合で北陸に遠征中。このところ毎年恒例ですね。ことしも昨年と同じく、石川ミリオンスターズと福井ミラクルエレファンツとの対戦で、どちらもナイターでの開催です。きのう21日の金沢市民野球場は風が冷たくて寒いくらいでした。きょうの福井は大丈夫でしょうか?

 

 きのう球場に着いて、まず声をかけたのは石川の岡本仁選手。覚えていらっしゃいますか?ことし2月の安芸キャンプにアルバイトで来ていた、キャッチャーです。ことしから石川に所属して、きのうの試合ではファースト→レフト→キャッチャーでフル出場。ヒットはなかったものの、7回のショートゴロはいい当たりだったと思います。試合後は阪神のベンチへ挨拶にきて、歓迎を受けていました。

 

石川の岡本仁捕手。3か月ぶりの再会でした。
石川の岡本仁捕手。3か月ぶりの再会でした。

 メンバー発表で「4番キャッチャー原口」のアナウンスがあり、スタンドのお客様は拍手と「おかえり~!」の声。これが復帰後初の4番ですね。そして「岩貞、原口のバッテリーなんてラッキー」という言葉も聞こえました。岩貞投手は以前から、病気と闘う同級生がグラウンドに戻ってきたらバッテリーを組みたいと話していたので、当人たちも何かしらの感慨があったと思います。

《練習試合》5月21日

BCL・石川-阪神 (金沢市民)

 阪神 020 000 023 = 7

 石川 000 000 000 = 0

◆バッテリー

【阪神】岩貞‐福永-石崎-歳内-尾仲-斎藤 / 原口-坂本(4回~)

【石川】野口(2回)-矢鋪(1回)-中島(1回)-飯野(1回)-新沼(2回)-伊藤(1回) / 喜多(1~4回)-ケビン(5~6回)-岡本(7~9回)

◆三塁打 神:坂本

◆二塁打 石:荒金

     神:原口、坂本、小幡2、島田、森越

◆打撃   (打-安-点/振-球/盗/失)

1]遊:小幡  (3-2-1 / 1-2 / 0 / 1)

2]二:熊谷  (4-1-0 / 2-1 / 0 / 0)

3]中:島田  (5-1-1 / 1-0 / 0 / 0)

4]捕指:原口 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

5]一:片山  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0)

6]右:板山  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0)

7]左:森越  (2-1-1 / 0-1 / 0 / 0)

8]指捕:坂本 (3-3-3 / 0-0 / 0 / 0)

9]三:藤谷  (3-0-1 / 3-0 / 0 / 0)

   

岩貞投手が先発。
岩貞投手が先発。
福永投手は2回を無失点。
福永投手は2回を無失点。
3人目は石崎投手。
3人目は石崎投手。

◆投手 (安-振-球/失-自) 最速

岩貞 3回 43球 (1-1-1 / 0-0) 143キロ

福永 2回 32球 (1-3-1 / 0-0) 150キロ

石崎 1回 14球 (0-0-0 / 0-0)  ※

歳内 1回 14球 (0-0-0 / 0-0)  ※

尾仲 1回 18球 (1-1-1 / 0-0)  ※

斎藤 1回 16球 (0-1-0 / 0-0)  ※

 ※表示されない球速が多かったため不明

 

     

《試合経過》※敬称略

 まず攻撃。2回に片山が右前打、板山は四球を選び、森越の犠打で1死二、三塁として坂本が中前タイムリー!2人が還って先制します。その後は得点なく進み、次は8回に先頭の坂本が左翼線二塁打を放って暴投で三塁へ。続く藤谷が左犠飛で1点追加しました。さらに小幡が右中間二塁打、2死後に島田のショート後方へ上がった飛球を捕れず、小幡が生還。記録はタイムリー二塁打のようで、この回も2点を加えて4対0。

 

歳内投手は7回に登板。
歳内投手は7回に登板。
8回は尾仲投手。
8回は尾仲投手。
9回は斎藤投手が三者凡退締め。
9回は斎藤投手が三者凡退締め。

 そして9回は、まず片山が四球を選び、板山の打球をレフトがいったん落としながら拾って二塁へ送球して片山がアウト(レフトゴロ)。1死一塁となりましたが、続く森越の右越え二塁打で板山はホームイン!送球の間に三塁へ進んだ森越は坂本の左越えタイムリー三塁打で還っています。2死後、小幡の2打席連続二塁打でもう1点追加。8回に続き、この回も長打3本が出て3点を奪いました。

 投手陣は、先発の岩貞がいきなり先頭の荒谷に右中間へ二塁打を浴びます。しかし次は空振り三振、そのあと四球を与えますが、これで原口が三盗を阻止!4番・今村は空振り三振で無失点でした。2回と3回は三者凡退で予定イニングを終えています。以降は坂本がマスクをかぶり、2人目として福永が登板。4回は2奪三振の三者凡退、5回にヒットと四球で無死一、二塁とするも三振と三ゴロ併殺(福永ナイススロー!)で無失点。

 7回の歳内は2死からショートのエラーで走者を出しますが、坂本が盗塁を刺し、3人で片づけました。8回の尾仲は1死からヒットと四球があったものの問題なし、9回は斉藤が登板してキッチリ三者凡退に切って取り、完封リレーで試合終了です。

「自分の課題は自分で克服していかないと」

 では試合後の話をご紹介しましょう。まず平田監督は岩貞投手について「まあまあやね。もっとボールのキレはあるはずやけど。まあ故障したわけじゃないから。次はファームの公式戦でイニング伸ばして。彼も早く1軍に戻りたい気持ち強いだろうし。きょう3イニング投げたってのは1週間ぶりかな?久しぶりにゲームの感触を味わったんじゃない?バッターと対戦することをね」と話しています。

 

試合後は両チームとファンの皆さんで記念撮影。
試合後は両チームとファンの皆さんで記念撮影。
ミリオンスターの皆さん、ちょっとぼやけてしまってすみません。
ミリオンスターの皆さん、ちょっとぼやけてしまってすみません。

 原口選手には「打つ方は、まだまだだねえ。だから1打席でも多く立たせようと思って」とのこと。それから3安打3打点の坂本選手のことも聞いてみました。「こっち来てバッティングが悪くて、ちょっとずつ自分らしさがね。梅野に勝つためにはもっと打たなきゃ!って、ちょっと崩していたところがあったので、由宇に連れていかずに打ち込ませた。日高がいいアドバイスしたみたい」

 この日、試合後のミーティングでいつもより長く話をしていた平田監督。その内容を伺ったところ「1軍でカネを稼ごうと思う選手らは、やっぱり個人でいろんな工夫をしているということ」という答えでした。

 「打てなくて、いつものように練習してたってダメじゃない。そこは自分で感じて、実戦に則した練習をするとかさ。それを、きょう森越がうまいこと出した。彼は練習から右に打ったりして。それは日高が言ってたよ。個人個人でやらないと。八木(裕)なんか1メートル前に来て打っていたよ。自分の課題を自分で克服していかないとダメだよ」

 名前の挙がった森越選手は、帰り際にこの話をすると嬉しそうな笑顔で「ありがとうございます!はい、頑張っていますよ~」と言っていました。

“もらった時間”をいかに生かすか

2安打の坂本選手はまずは2回に中前タイムリー!
2安打の坂本選手はまずは2回に中前タイムリー!
最後は9回のタイムリー三塁打で締めました。
最後は9回のタイムリー三塁打で締めました。

 次は、3打数3安打3打点と気を吐いた坂本選手です。平田監督が、残留練習で打ち込んだと話していた通り「いろいろやりました。時間をもらったんで。その時間を何とか結果にできるようにと打席に立っています」とのこと。どういうところを意識して?「しっかりセンター方向へ打てるように。ボールの見方とか待ち方とかを考えながら、自分のスイングで勝負できるってのを、もう一回見直してやりました」

 その結果の3安打ですね?「やりたいことが形になってきていると思いますが、結果より自分の中で感覚がよくなってきているので、いいことは続けて。足りない部分は、もっともっとよくなっていくようにやっていきたいです」

 1軍で正捕手をつかみつつある梅野選手に対しての思いを聞かれ「まあ、でも、自分のことしかコントロールできないので、自分のやることをしっかりやるだけです」と答えた坂本選手でした。まだ5月。暑い、熱い夏はこれからです。

4番キャッチャー・原口

1回に三盗を阻止した原口選手。
1回に三盗を阻止した原口選手。
4回にはレフトフェンス直撃の二塁打!
4回にはレフトフェンス直撃の二塁打!

 5月8日に実戦復帰した原口選手は、上富田、タマスタ、由宇、そして今回の北陸と続く、ホーム球場以外での試合にもすべて帯同。スタメンマスクもかぶり、DHではフル出場も経験しています。体のことは心配ですが、本人は「問題なし!普通に疲れていますけど(笑)」と、いたって元気です。

 きのうは復帰後初めての“4番キャッチャー”で、岩貞投手と組みました。それについては「長らく受けていないので、いいか悪いかという感じはわからないですけど、真っすぐの精度としては、本人にも言いましたが、あそこ(初回の先頭)ぐらいじゃないかなと。あとはもう全然問題なく投げていたので、また期待したいなと思います」

 バッティングの方は、4回にレフトフェンス直撃の二塁打。「まあ、まあまあ。感覚的にはまあ、いいものもあったので、また続けます。頑張ります」。岩貞投手が、甲子園でこのバッテリーの姿を見せるのが目標と言っていましたよ。「ありがたい言葉ですね。あとは僕がしっかり結果を残して、準備して頑張りたいと思います」

「2人で高みを目指していきたい」

復帰登板の岩貞投手。3回無失点でした。
復帰登板の岩貞投手。3回無失点でした。

 最後はインフルエンザから復帰した岩貞投手。最初に「久しぶりの登板だったけど、ゲーム勘も含めて、きょう投げられたのは大きいと思います」という感想を述べ、ピッチングに関して「ボールがもう1つ、2つくらい低めに投げていければ。真っすぐにしても変化球にまだまだ投げられると思います。しっかり調整を続けて状態を上げていきたい」とのこと。

 また、熱望していた原口選手とのバッテリーに「第一歩というところですね。でもやっぱり甲子園でやることに意味があると思います。2人でもっと高みを目指していきたい」と前を向いた左腕。その“高み”で、一緒にヒーローインタビューを受ける2人の姿を楽しみに待っています。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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