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今季2度目の2ケタ得点で快勝!原口選手が全体練習に合流《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
大腸がん手術から約3か月、全体練習に合流した原口選手はシートノックを終えて笑顔。

 先月下旬から今月にかけて、つまり改元をまたぎ3カード連続でビジターゲームだった阪神ファーム。ゴールデンウィークが終わり、久しぶりに鳴尾浜へ戻ってきました。と思ったら、7日から10日まで4日間滞在して、そこから再び遠征続き…。次に鳴尾浜で試合があるのは今月28日なんですね。

 そんな中、きのう7日は嬉しいニュースが!1月24日に大腸がんを公表し、入院、手術を経てリハビリを続けてきた原口選手が、全体練習に合流しました。朝は気温が低く、北寄りの風も吹いていた鳴尾浜で、汗を光らせながら駆け回った原口選手。試合前のシートノックでは大きな声を出し、セカンドへの送球もしっかりこなしています。

試合前のシートノックにも初参加した原口選手。それぞれの塁への送球も力強くこなしました。
試合前のシートノックにも初参加した原口選手。それぞれの塁への送球も力強くこなしました。
シートノック中、絶えず大きな声をかけています。
シートノック中、絶えず大きな声をかけています。

 この日は開始15分前くらいにグラウンドを出て、その足で室内練習場へ。まもなく訪れる“初打席”に向けて打ち込み、試合終盤にはバックネット下の部屋で見ていたようですね。平田監督は試合後の取材で「きょうはベンチに入っていない。さあ、あしたはどうしようかな~?」と言いつつ「まあ楽しみにしていてよ」とニッコリ。そして「動きもよかったし、シートノックも。バッティングはさすがだなという練習をしていたよ」と続けました。

 また山田バッテリーコーチは「専門的なところ、キャッチャーとしての動きを見ても、きょう特に問題なかったですね。でもまだゲームに出ていないので、ゲームに出る体力、打席に立つ体力、それにキャッチャーとしての、たとえばワンバウンドを止めるとか、そういう体力が要る。あしたから見てみます。焦らずに。急に、とは考えていない」と話しました。藤本トレーナーも「(全体での)練習はできていたと思います」とのこと。きょう以降の試合出場に支障はなさそうですね。最初は代打で1打席くらいかな?少しずつ、少しずつ前進しましょう。

3回、4回とも9人攻撃で計8点!

中日の根尾選手、シートノックでもうこんなに泥んこです。
中日の根尾選手、シートノックでもうこんなに泥んこです。

 では、きのう7日の中日戦の結果です。打線が3回、4回と2イニング連続で打者9人攻撃!ナバーロ選手の1号3ランや俊介選手の3点タイムリー二塁打などで計8点を取り、終盤にも四死球絡みで3点追加。ガルシア投手は、2点を失った4回以外がノーヒットというピッチングで11対2の快勝!3月21日の中日戦以来、今季2度目の2ケタ得点です。なお中日のルーキー・根尾選手は復帰後初スタメンでした。

《ウエスタン公式戦》5月7日

阪神-中日 8回戦 (鳴尾浜)

 中日 000 200 000 = 2

 阪神 003 500 21X =11

◆バッテリー

【阪神】○ガルシア(1勝)-岡本-才木 / 坂本‐小宮山(8回~)

【中日】●浜田達(1勝1敗)(3回1/3)-浜田智(2回2/3)-鈴木翔(2回) / 石橋

◆本塁打 神:ナバーロ1号3ラン(浜田達)

◆二塁打 神:俊介、山崎 中:モヤ

◆盗塁 神:島田(8)、熊谷(4)

◆打撃  (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]中:島田   (3-0-0 / 1-3 / 1 / 0) .239

2]遊:熊谷   (4-3-2 / 0-1 / 1 / 0) .245

3]一:ナバーロ (5-1-4 / 0-0 / 0 / 0) .143

〃一:片山   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .250

4]左:陽川   (3-2-0 / 0-1 / 0 / 0) .256

〃打左:板山  (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .168

5]右:俊介   (4-2-3 / 0-0 / 0 / 0) .321

〃打右:伊藤隼 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .149

6]二:山崎   (4-2-1 / 1-1 / 0 / 0) .367

7]三:藤谷   (3-1-0 / 2-2 / 0 / 1) .175

8]捕:坂本   (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .063

〃投:才木   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

9]投:ガルシア (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .167

〃投:岡本   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打捕:小宮山 (1-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .125

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

ガルシ 6回 96球 (3-6-1 / 2-2 / 1.59) 145

岡本  1回 16球 (1-1-0 / 0-0 / 2.25) 141

才木  2回 31球 (1-4-0 / 2-2 / 2.35) 149

         

《試合経過》※敬称略

バックスクリーンへ1号3ランを放ったナバーロ選手(左)。迎えるのは先に生還した島田選手(中)と熊谷選手(右)です。
バックスクリーンへ1号3ランを放ったナバーロ選手(左)。迎えるのは先に生還した島田選手(中)と熊谷選手(右)です。
こちらはベンチでの出迎え。
こちらはベンチでの出迎え。

 打線は3回、1死から島田の四球と熊谷の左前打に続き、ナバーロがカウント3-1からセンターバックスクリーンに当てる1号3ランを放って先制!そのあとも陽川の右前打や俊介の投手強襲安打、四球などで9人攻撃を見せますが、3点で終了しました。すると3回までノーヒットだったガルシアが4回に変貌。三ツ俣と藤井に連打され、4番・モヤの右中間二塁打で1点。1死後に四球を与えて満塁とし、続く7番・根尾(この日が復帰後初スタメン)の三ゴロを藤谷がバックホームするもセーフ。野選でもう1点与えました。

 3対2となった直後の4回裏、先頭のガルシアが右前打を放ち、島田と熊谷は連続四球で無死満塁となってナバーロの二ゴロで1点。陽川は四球で再び満塁とし、続く俊介が左翼線へ走者一掃のタイムリー二塁打!さらに山崎も左中間へのタイムリー二塁打で計5点を追加!ここで投手が代わって連続三振を奪われましたが、この回も打者9人の攻撃です。

 7回には藤谷が四球、代打・小宮山は死球、島田の四球などで2死満塁となり、熊谷が左前タイムリー!2人を還しています。8回は代打・板山が四球を選び、1死後に山崎と藤谷が連打して満塁。2死となったあと小宮山が右前タイムリー!これで11点目が入りました。

才木投手は9回2死から根尾選手(右・一塁走者)にヒットを許しますが、最後は三振締め!
才木投手は9回2死から根尾選手(右・一塁走者)にヒットを許しますが、最後は三振締め!

 なお4回に崩れたものの5回、6回と三者凡退で投げ終えたガルシア。4回以外はノーヒットで、走者も3回に三ゴロを捕った藤谷が一塁へ送球エラーして出した1人だけです。7回は岡本が登板して、2死から9番・石垣に左前打(ショート熊谷、グラブに当てたが…惜しい)されるも無失点。

 8回から才木と小宮山のバッテリーに代わり、まず8回は2三振を奪って三者凡退。9回も簡単に2死を取ったのですが、根尾にカウント2-2からの5球目を打たれました。この回からファーストを守る片山が捕れず、セカンドの山崎も捕れず…2人抜きのような形でライト前へ。しかし最後は石橋を空振り三振に仕留めて試合終了です。

4回以外は文句なしのガルシア

試合終了時のマウンド付近。外野陣を待っています。
試合終了時のマウンド付近。外野陣を待っています。

 試合後のコメントはガルシア投手から。「全体的にはいい感覚で投げられましたし、落ち着いてできたかなと。2点を取られたイニングは、いろいろ思うところがあるけど、全体的によかった」と試合を振り返っています。4回はマウンドが合わなかったという話を聞いたものの「四球を出した最後の球だけは合わなかったけど、そこに言い訳は何もないです。ただ(点を)取られたということ」と、本人からは潔い言葉が返ってきました。

 それを修正して5回と6回を完璧に抑えたことは収穫?「そうですね。そう思います。いい回だったかなと」。真っすぐにキレが出てきたように見える。「フォームに関してもしっかりできていると思うので、それがキレにつながっているのかな」。4月29日の中日戦(ナゴヤ)では4回を投げて、今回は6回。1軍復帰も近いのでは?「自分としてはいい感覚で来て準備はできていますが、上が決めることなので待ちたいと思う。下でじっくり時間があるなら、もう少しやりたいこともありますが、上(の判断)に任せるしかない」

 バッティングの方ではヒットも出て、一塁上で大喜びでしたね。「2日前に外で、みんなでバッティング練習をしたんですけど、成果が出てよかったです」

次回の1軍先発へ順調な才木

1軍での2勝は才木投手をまた一層大きくしたようです。
1軍での2勝は才木投手をまた一層大きくしたようです。

 才木投手は5月1日に1軍で2勝目を挙げたあと登板間隔が空くため一度抹消され、きのうは調整登板でした。事前に何イニング投げたいかと聞かれ「1回か2回」と答えたとか。「1イニング目がテンポ、2イニング目は変化球」をテーマに投げたと言います。「変化球を、もうちょっとうまく。きょうはよかった方です。使っていったらいいなと思う」

 なお根尾選手のヒットは完全に打ち取っていたものなので気にせず「クイックができてよかった」とのこと。平田監督も「いろいろ試したりできたと思う、いい2イニング。真っすぐもよかったし。また上でいいピッチングしてくれたらね」と満足そうでした。

粘って3安打2打点の熊谷

ヒーロースピーチは3安打の熊谷選手でした。
ヒーロースピーチは3安打の熊谷選手でした。
熊谷選手の言葉に、左の小幡選手が涙…ではないですね(笑)。
熊谷選手の言葉に、左の小幡選手が涙…ではないですね(笑)。

 続いて3安打2打点と気を吐いた熊谷選手です。他に1四球と1盗塁という内容。試合後のヒーロースピーチも担当したのですが、何と言ったか聞き取れませんでした。今季初の3安打に「きのう平田監督から『選球眼が大事だ』と言われて、自分のできることを最優先に考えてやっています。追い込まれても粘っていけたのが、結果としてよかったのではないかと思います」と話しました。確かに3回の左前打は7球目、7回の左前タイムリーは5球のファウルを含む9球目を打ったものですね。

 なお盗塁に関して、今季は自身の前にランナーがいることが多いため走れていないという話を以前していたのですが、それに加えて「ことしはアウトになる確率が高いので、もっと考えていきたい」と熊谷選手は言っています。

さすがのお仕事、俊介&山崎

常に黙々と仕事をこなす山崎選手。写真はないけど俊介選手も同じで、頼りになりますね。
常に黙々と仕事をこなす山崎選手。写真はないけど俊介選手も同じで、頼りになりますね。

 ナバーロ選手は先制の1号3ランについて「(ホームランを)狙ってはいなかったです。とにかく自分の仕事をということ、自分が今やっていることがしっかり結果に出てくれるようにと思いました」というコメント。

 4回に満塁の走者を一掃する二塁打を放った俊介選手は「あしたも頑張りましょう!」といい笑顔で帰途に就きました。そのあとタイムリー二塁打で続いた山崎選手は「ここで打つことが最終目的じゃなく、1軍で打たなくてはいけない立場なので。でもそのためにも(ここで)打つだけですね」とのこと。

痛かったけど打った藤谷

次は避けましょうね、当たりそうなボールは。
次は避けましょうね、当たりそうなボールは。

 最後に藤谷選手の話を。2回に死球を受けた際、左足かと思ったら右足を曲げ伸ばしして一塁へ行ったので、試合後に確認してみました。「右足です。ボールやと思っていたから避けなかった。それで見送った次の瞬間に“痛っ!”と」。つまり、単なるボールで避けなくても当たらないと思っていたんですね?「そう(笑)」。でも当たった瞬間にバットを手放して、相当痛がっていたような…。「メチャクチャ痛かった」。8回のヒットも痛い痛いと言いながら走ったみたいです。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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