Yahoo!ニュース

陽川選手の逆転打で望月投手が4勝目、小野投手も復帰登板《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
2日のオリックス戦、2月以来の実戦マウンドに「かなり緊張した」という小野投手。

 平成から令和へと改まった年号。新しい時代の幕開けは大型連休の真っ只中で、ご家族揃ってプロ野球観戦という方も多いでしょう。ただお天気がよくなくて、阪神のファームは4月30日、5月1日とオリックス戦(大阪シティ信用金庫スタジアム)を2日続けて流してしまいました。甲子園球場の1軍戦は無事に行われていたんですけどね。でもゴールデンウィーク後半は好天に恵まれるとか。皆さんも大いに楽しんでください。

 きのう2日、無事に行われたウエスタン・オリックス戦は17時開始、阪神にとって今季初のナイトゲームでした。オリックスの先発は阪神から移籍した竹安投手、3イニングをパーフェクトに抑えています。圧巻は2回で、4番から奪った3三振!1回のナバーロ選手から4連続三振ですよ。試合後、阪神ベンチへ顔を出した竹安投手にコーチ陣も「ナイスピッチング」と声をかけたほど。敵ながらあっぱれの投球内容ですからね。次は1軍の交流戦を楽しみにしましょう。

 その竹安投手と同い年の小野投手が、8回に登板しました。2月17日に宜野座キャンプで行われた日本ハムとの練習試合で右ヒジを痛め、その後はリハビリに励んできたので、2か月半ぶりの実戦マウンドです。前半はカメラマン席から戦況を見つめ、中盤以降にブルペンでピッチング。そして8回、マウンドへ向かう小野投手は飛び跳ねるような足取りで、照明に照らされた28の背番号も躍動していました。

まだ明るい試合開始直前。阪神にとって今季初ナイターです。
まだ明るい試合開始直前。阪神にとって今季初ナイターです。
阪神からオリックスに移籍した竹安投手。この日は見事なピッチングでした。
阪神からオリックスに移籍した竹安投手。この日は見事なピッチングでした。

 なお試合は1回に3連打で1点を失った先発の望月投手ですが、以降は毎回ランナーを出しながら0点に抑え、6回に陽川選手が2点タイムリー二塁打を放って逆転!9回にも板山選手の三塁打から小幡選手のタイムリーが出て、4対1で勝ちました。令和の小虎は白星スタート、貯金もまた10に戻しています。ただ2ケタ貯金になってから2週間は見事に勝ち負けが交互で、なかなか11に増えませんね。次は4日から由宇での広島3連戦。あす勝てば貯金が今季最多の11に、そしてリーグ一番乗りで20勝到達となります。

《ウエスタン公式戦》5月2日

オリックス-阪神 6回戦 (大阪シティ)

 阪神 000 003 001 = 4

 オリ 100 000 000 = 1

◆バッテリー

【阪神】○望月(4勝1敗)-岡本-小野-S斎藤(2S) / 坂本

【オリ】竹安(3回)-●田嶋(1敗)(4回)-張(1回)-漆原(1回) / 稲富

◆三塁打 神:板山

◆二塁打 神:陽川

◆打撃  (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]中:島田  (5-2-0 / 2-0 / 0 / 0) .262

2]二:熊谷  (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .232

3]一:ナバー (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .250

4]三:陽川  (4-1-2 / 2-0 / 0 / 0) .239

5]指:片山  (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .257

〃打指:山崎 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .375

〃打指:荒木 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .222

6]左:伊藤隼 (4-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .167

7]右:板山  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .169

8]捕:坂本  (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0) .000

9]遊:小幡  (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .206

  ※ナバー=ナバーロ

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ※

望月 5回 80球 (7-4-1 / 1-1 / 1.74) 153

岡本 2回 37球 (2-2-1 / 0-0 / 3.00) 142

小野 1回 19球 (0-0-1 / 0-0 / 0.00) 151

斎藤 1回 11球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 153

   ※球団計測の数値

《試合経過》※敬称略

6回の反撃。2死から熊谷選手が四球を選び、ナバーロ選手が中前打して一、三塁。
6回の反撃。2死から熊谷選手が四球を選び、ナバーロ選手が中前打して一、三塁。
続く陽川選手が中越えのタイムリー二塁打!
続く陽川選手が中越えのタイムリー二塁打!
熊谷選手が還ってナバーロ選手を迎え、逆転しました。
熊谷選手が還ってナバーロ選手を迎え、逆転しました。

 先発の望月は1回、1死から宗と頓宮の連打に続き4番・西野の右前タイムリーで先制されました。しかし西野は9-2-6と渡ったボールで二塁タッチアウト。マレーロは遊ゴロに打ち取ります。2回は先頭の宜保に左前打されるも後続をピシャリ。3回は連続三振のあと頓宮に四球を与えますが、坂本の盗塁阻止により3人で終了。4回は1死から連打されたものの杉本を遊ゴロ併殺に!5回は1死から左前打した比屋根の二盗を坂本が刺し、根本は空振り三振。4回7安打ながら1失点です。

 一方、オリックス・竹安に3回までパーフェクトピッチングを許した打線。9人で5三振を喫しています。4回は2人目の田嶋から先頭・島田が中前打、熊谷は遊ゴロ、ナバーロの振り逃げ(三振と暴投)で1死一、三塁と攻めますが、陽川は空振り三振。ナバーロも盗塁失敗で得点はありません。5回は伊藤隼の右前打のみと、粘投の望月を援護できないまま前半が終わりました。

 6回も連続三振を喫して2死となったのですが、ここで熊谷は四球を選び、ナバーロの中前打で2死一、三塁。続く陽川がフルカウントとなって6球目をセンターへ!その頭上を越えた打球で早々に生還した熊谷が、一塁から激走するナバーロを迎えた逆転のタイムリー二塁打!その陽川も、代打・山崎への4球目が暴投になって二塁からホームイン。この回、3点を取っています。

9回、ライトへの当たりを三塁打とした板山選手。三塁を回ってから戻り、疲労困憊です。
9回、ライトへの当たりを三塁打とした板山選手。三塁を回ってから戻り、疲労困憊です。
中村コーチは「回してしまった僕が悪い。板山はよく戻ってくれた!みんな集中している」と。
中村コーチは「回してしまった僕が悪い。板山はよく戻ってくれた!みんな集中している」と。
最後は小幡選手がタイムリー!守備でも客席から「おお~」と感嘆の声が漏れる好送球あり。
最後は小幡選手がタイムリー!守備でも客席から「おお~」と感嘆の声が漏れる好送球あり。

 7回は三者凡退、8回は張に対して1死から島田が中前打、熊谷は平凡な内野フライ…と思ったらサードの頓宮が落球。これで一、二塁となりましたが追加点はなし。9回は漆原に2死を取られてから、板山がライトへ大きな当たりを放ち、守備も少々もたついて一気に三塁まで行きます。さらに三塁も蹴って、もしかしてランニングホームラン?と思ったら、手を回していた中村コーチがあわてて制止、板山は三塁へ戻り事なきを得ました。坂本が四球を選んだあと小幡が右前タイムリー!これで4点目です。

 阪神のリリーフ陣は、まず岡本が6回から登板。先頭の宗に右前打、1死後に暴投で二塁へ進めるも後続を断って無失点。7回も先頭の杉本に左前打されますが問題なし。8回は小野が今季初登板しました。まず宗は陽川のナイスキャッチにより三ゴロ、ついで頓宮に四球を与え暴投で1死二塁となったものの、あとは内野ゴロ2つでキッチリ抑えています。そして9回は斉藤がビシッと三者凡退締め。「ヨイショ!」と気合いの声も漏れる力投でした。

2か月半ぶり、緊張の1イニング

 試合後のコメントは、復帰登板の小野投手からご紹介します。感想を聞くと「かなり緊張しました」という言葉。この日投げた19球のうち変化球は2球くらいだったのではないでしょうか。真っすぐ主体の投球を振り返って「坂本さんの要求とは逆球もあったので、そこはこれから修正していきたい。きょうは強いボールを投げるのが課題で、コースよりは強い球をと思っていました」とのこと。

8回に先頭打者の三ゴロをナイスキャッチ!小野投手を助けた陽川選手。
8回に先頭打者の三ゴロをナイスキャッチ!小野投手を助けた陽川選手。
そのあと四球の走者を出しながらも0点に抑えました。
そのあと四球の走者を出しながらも0点に抑えました。

 その結果は?「そんな悪くはないと思います。空振りも2回くらい取れたので」。最速151キロという数字で、これには平田監督も「そんなに出ていたの?」と驚いていたものの、小野投手本人は「まあ1イニングしか投げていませんし、スピードは意識していなかったから」と淡々。強いボールという点では「真っすぐで、もうちょいファウルとか取れたらよかったかなと思いますが、結果ゼロなのでそこはよかった」と話しました。

 投げていなかった期間は何を?「体を大きくしようと思いました。実際、体重も3~4キロ増えています。あとはフォームのバランスとか意識してやってきました」。最後に次へ向けての課題として「しっかりコースに投げ分けること。次までに準備していきたいです」と締めくくった小野投手です。

今季は舞洲のオリックス戦もベンチ入りしている横田選手、試合中も元気いっぱいです。
今季は舞洲のオリックス戦もベンチ入りしている横田選手、試合中も元気いっぱいです。

 なお平田監督は「さすがだな。ブルペンからいいもんな。もうイニングを伸ばしていくだけ。これまた楽しみになってくるで。フォアボールは1つ出したけど、久々で緊張もあったと思う。新たな小野のスタートを切れたよ」と満足げなコメントでした。次回登板の詳細に関しては、まだリハビリ組なので様子を見てトレーナー判断になると思われます。

刺激される立場から、する立場へ

 次に先発の望月投手です。5イニングすべて走者を出しながらのピッチング。それでも初回の1失点のみで、以降は守備にも助けられて抑えています。そして5回を投げ切った直後に打線が逆転してくれたため、これで4勝目。前日の1軍で才木投手も同じような展開でした。

先発の望月投手。ここ3試合、先発ですべて1失点の好投が続いています。
先発の望月投手。ここ3試合、先発ですべて1失点の好投が続いています。
5回を終えて「ナイスピッチング!」と声をかけられるも、苦笑いで戻ってきます。
5回を終えて「ナイスピッチング!」と声をかけられるも、苦笑いで戻ってきます。

 そういえば4月25日に望月投手が3勝目を挙げた時も、平田監督は前日に1軍で好投した才木投手の名前を出して「みんなの刺激になる」と話していたのを覚えています。今度は望月投手がファームのみんなを刺激する立場にならないといけませんね。それはもう、そろそろでしょうか?

 試合を振り返って「ちょっと序盤は変化球でカウントが取れなかった。カウント不利になることが多かった」と反省する望月投手。「高さを意識して、しっかり強い球を投げていこうと思いました。それはよかったかな。入りから意図したボールが投げられているというのはあった。ただ意図通りに投げていかないと、きついピッチングになる。次に生かしていきます」

打ち損じをなくして1軍へ戻る!

 6回に逆転の2点二塁打を放った陽川選手。もしホームゲームだったら、ヒーロースピーチをしていたかもしれませんね。このタイムリー二塁打のあと暴投で生還した時、ベンチの出迎えにゴリラポーズも見られました。ちょっと久しぶりだなと思って写真を撮ったのはいいけど、近すぎて失敗。いい笑顔だったのに残念です。

5回裏、まもなく沈む夕陽とサードを守る陽川選手。陽つながり?
5回裏、まもなく沈む夕陽とサードを守る陽川選手。陽つながり?
6回、逆転のタイムリー二塁打のあと暴投で生還した陽川選手(右)。
6回、逆転のタイムリー二塁打のあと暴投で生還した陽川選手(右)。

 ちなみに、このタイムリー二塁打のことを平田監督に聞いたら「一、三塁で三振したダメージの方が俺は大きいよ!」と一蹴されました。その前、4回の打席で三振ゲッツーとなったところですね。もちろん、これは平田監督ならではのパフォーマンス。すぐ近くで本人が聞いているのを承知してのことです。「あれぐらい、打って当たり前だよ。何なら放り込まないと。な?陽川」。振られた陽川選手も「はい!」と即答でした。

 では本人のコメントです。「これまで打ち損じが多かったので、1球で仕留めることを意識していた」というタイムリー二塁打。4回の打席については「反省です」のひとことでした。「これから課題を潰して、打ち損じなどをなくしていかないと(1軍に)上がれないので、意識してやっていきたい」。令和最初のゲームで、決意を新たにしています。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事