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フェニックス・リーグの巨人戦で江越選手が先頭打者HR!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
サンマリンスタジアムで、ちょうど1週間前と同じ顔合わせとなりました。

 ファームの秋季教育リーグ『第15回みやざきフェニックス・リーグ』は、きのう13日から第2クールに入り、阪神はKIRISHIMAサンマリンスタジアムで巨人と対戦しました。同じサンマリンで同じ巨人と戦ったファーム日本選手権は、ちょうど1週間前のことだったんですね。試合前にそう告げたら矢野監督は「1週間?なんかもっと前やったような気がする」としみじみ。確かに長く感じますね、この1週間は。

 試合後には揚塩球団社長から来季の監督要請があり、矢野監督はきょう朝一番の飛行機で帰阪しました。家族や近しい方々とも話をされるのでしょう。どうなるのか見守りたいと思います。なお、きょう14日のフェニックス・リーグは高橋建投手コーチが監督代行を務めるとのこと。また13日で全日程を終了した1軍から宮崎にやってくる選手もいるわけで、2019年に向かう戦いがもう始まります。

 さてフェニックス・リーグは第2クールに入り、13日は1週間前と同じ場所で巨人戦が行われました。今回は阪神がビジターのユニホームでベンチも三塁側ですが、先発は同じ浜地投手、試合結果も同じく阪神の勝ち。幕開きは江越選手の初回(初球)先頭打者ホームランで、これまた1週間前に2ランを放った時と同じ大江投手から打っています。ことし公式戦で15本のホームランを放ち、そのうち8本が先頭打者アーチで、そのうち2本が初球を捉えたものです。

《フェニックス・リーグ》 10月13日

巨人- 阪神 (サンマリン)

 阪神 100 000 010 = 2

 巨人 000 001 000 = 1

  ※特別ルール

◆バッテリー

【阪神】浜地-呂 / 長坂

【巨人】大江(6回)-鍬原(1回)-高木京(1回)-篠原(1回) / 田中貴-岸田(7回~)

◆本塁打 神:江越ソロ(大江) 巨:和田恋ソロ(浜地)

◆二塁打 神:江越

◆盗塁 神:緒方 巨:笠井2

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]中:江越  (3-2-2 / 1-1 / 0 / 0)

2]遊:熊谷  (3-1-0 / 1-1 / 0 / 0)

3]二:荒木  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

4]右:高山  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

5]指:岡崎  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

6]一:小宮山 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃一:小豆畑 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]左:緒方  (3-1-0 / 2-0 / 1 / 0)

8]捕:長坂  (3-0-0 / 1-0 / 0 / 1)

9]三:藤谷  (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

 

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

浜地 6回 72球 (6-3-1 / 1-1) 146

呂  3回 48球 (1-4-2 / 0-0) 144

《試合経過》  ※敬称略

 1回、江越が大江の初球(135キロ)をレフトスタンドへ放り込んで先制。2死後に高山が右前打するも二盗失敗で1点止まりです。2回と3回は2三振ずつ奪われて三者凡退。4回、5回はヒットや四球で走者を出しますが、併殺で無得点。6回は2死から江越の死球と熊谷の右前打で一、三塁としたものの追加点はありません。

 先発の浜地は1回が2死から松原に中前打、2回は松澤と田中貴の連打、3回は若林の右前打と松原への四球で、毎回ランナーを出しますが要所を締め、自身の盗塁阻止もあって無失点!さらに4回は9球、5回は6球で三者凡退に切って取る好投を披露しました。ところが6回、2死を取ったあと4番の和田恋に2球目をレフトスタンドへ…。任されたイニングの最後で同点弾を浴びてしまいます。

7回から3イニングを0点に抑えた呂投手。
7回から3イニングを0点に抑えた呂投手。

 しかし打線は8回、先頭の緒方が中前打して2死後に二盗を決めると、江越の左越え二塁打で生還!7回から登板し、笠井のヒットと盗塁(長坂の送球エラーで三塁へ)などで2死一、三塁のピンチをしのいだ呂が、8回は三者凡退。9回も笠井への1四球(二盗成功)があっただけで2三振を奪って無失点と好投。1点のリードを守って逃げ切りました。

 開幕から3連敗したあと、連勝で2勝3敗となった阪神ファーム。そういえば昨年は8試合を流したとはいえ、フェニックス・リーグ初の無敗優勝(8勝2分け)だったんですよね。矢野監督が合流してからも中止だらけで、でも最終戦に勝って記念撮影したのを思い出します。

いかに変化球を振らないか、が課題

 では試合後、練習を終えてから聞いた矢野監督の話からご紹介しましょう。まず初球を打って先頭打者ホームランの江越選手について「らしいね、江越らしい。ことしは1発で仕留めようというふうに言っていて、先頭打者ホームランも多かった。(きょうも)1発で仕留めて。あとは最後のもう1打席やね。あいつが1軍で出ようと思ったら、あの1発だけではやっぱり出られへんから。もう1本打った、ああいうプラスアルファがね」

1週間前の日本選手権とは打って変わって、好天に恵まれたサンマリンスタジアム。
1週間前の日本選手権とは打って変わって、好天に恵まれたサンマリンスタジアム。

 続けて「いつも言っているけど、守備と足と身体能力はもう、ずば抜けていいから。ああいうふうに打てたら必要とされる選手になっていく。それを課題にフェニックスでやっていると思うので、1本で終わらず2本、3本と打てるように。(相手バッテリーに)球数を投げさせられるようになっていけば、すごい選手になる」と矢野監督。

 今まで1本で終わっていたというのは技術の問題かと聞かれ「そりゃ技術でしょう。でも言うのは簡単なんだけど、やるのはメチャクチャ大変なのよ。俺らも根気よく頑張っていかなあかんし、あいつ自身もそうやし。さっきも言ったけど、いかに変化球を振らないっていうか、カウントを自分で作っていけたら。いいバッターってそうでしょ?松井秀喜なんてボールを振らんもん。打てるボールをじーっと待つ。いかにボールを振らないか。それで自分でカウントを作れるようになればいいし、難しいボールはやっぱり打たれへんから。それが課題かな」と答えています。

「内容のあるピッチングだった」

13日の試合前、ゴロ捕球をする浜地投手。ファーム日本選手権と同じ巨人戦での先発でした。
13日の試合前、ゴロ捕球をする浜地投手。ファーム日本選手権と同じ巨人戦での先発でした。

 次に浜地投手についての話です。しっかりゲームを作りましたね。「内容もよかった。きょうはチェンジアップを多投していたけど、真っすぐは1軍でも通用すると思う。それに伴うカウントを整える変化球と、真っすぐで追い込んだりウイニングショットの変化球が、まだ1軍で安定して結果を出すというところでは未知数、課題だけど、きょうはチェンジアップがまあまあいいところで決まった部分もあったし。だからフェニックスで、どんどん試していけばいい。イニングも投げられたのはよかった。牽制もテンポを変えるというか、ランナーにとっては走りにくい感じのものを、考えて自分でできるから。内容のあるピッチングやったと思う」

 そのあと矢野監督は「和田恋に結果的に(ホームランを)打たれたという、あそこで打たれちゃうとやっぱりもったいないよね。勝ち投手の権利があって、2アウト取って、最後の1人で。想定すると、あそこで抑えて勝ち投手の権利を持って代われるのか、ホームランを打たれて同点で代わるのかは、1人でもう全然変わっちゃうから。ファームでもずっと“もう1人やぞ、もう1人やぞ”って、俺は現役時代から言っているんだけど。そういうとこでも、もったいない部分もあったし。そこらへんは課題かな」という言葉も追加。

 またフェニックス初で、登板自体も久々だった呂投手には「球の走りもまあまあよかったし、カウントに苦しむっていうところも普通よりは少なかったと思うから。三振も取れたしね」と評価しました。

いい教訓になったホームラン

12日に行われた『街中イベント』で笑顔いっぱいの浜地投手。
12日に行われた『街中イベント』で笑顔いっぱいの浜地投手。

 変わって選手のコメントです。浜地投手は「前半、練習で試していたことを試合でやったんですけど、ことごとく打たれたというか。打たれて、こうなったら打たれるんだということがわかりました」と振り返っています。それは、いい意味で勉強になった?「そうですね。ランナー出てからも、その間合いとかランナーを置いてからのピッチングっていう練習もできたので。前半は、そういう面でいい収穫があったと思います」

 悔やまれるのは6回2死からのホームラン?「後半はある程度、形になってきてチェンジアップも決まるようになって。6回までと言われていたから、いい感じで2アウトを取って…最後はやっぱり3人で終わらないといけないところでした。ちょっともう一回そこは気を引き締め直すというか、気を緩めたつもりはないんですけど、自然とそうなっちゃっていることもあるので。いい教訓にして次につなげられれば」

 このあとのフェニックス・リーグで「きょうはいい感じに試せたので、それを踏まえて精度を上げていけたらなと思っています」とのことでした。

目指せ!無敵の江越大賀

 江越選手は2日と3日の練習試合(鳴尾浜)で2試合連続ホームランを放ち、6日のファーム日本選手権でも2ランを打ったので、今月だけで4本目。しかも13日は約2ヶ月ぶりの先頭打者ホームランです。久しぶりですね?「はい」。打ったのは?「真っすぐです」。ピッチャーに球数を投げさせられたら、なおいいと矢野監督が言っていました。もちろん初球で放り込めるのもまた魅力ですよね。「まあ、そこはそれでいいんですけど、追い込まれた時とかは…そういうことだと思います」

13日の試合前、記者陣と話をする矢野監督。留守のきょう14日もいい試合をしましょう!
13日の試合前、記者陣と話をする矢野監督。留守のきょう14日もいい試合をしましょう!

 自分でカウントを作ることができれば、という話も。「真っすぐのタイミングで打ちにいって、変化球を振らされることが結構多いので、それが1つ見逃せるだけでも。1ボールからになるのか、1ストライクからになるのか。そこでキャッチャーの配球も全然違ってくると、監督にも言われました。ボールが先行すればピッチャーも(真ん中へ)寄ってくるかもしれないですし。そこは課題ですね」

 打つことで結果を出せれば、もう無敵の江越選手ですよね?「いや~。やることは多いですけど。一番の課題は…」。そのあとに続く言葉は、やはり“バッティング”でしょう。この秋、また力を蓄えて羽ばたく背番号25を楽しみにしています。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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