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阪神の安芸キャンプ・横田選手が一日早く、外で打っちゃいました!「すごく嬉しかったです」

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
気持ちよさそうにバットを振り、打球の行方を見る横田選手。

 阪神ファームの高知県安芸キャンプでは、それぞれの分野で“臨時コーチ”をお招きして専門的な指導をいただいています。『ベースボールメディカルセンター』代表の相澤一幸さんは第1クールに続いて15日と16日の2日間、体の腱(けん)の使い方を指導。すべてが「打つ」「投げる」「走る」という野球の動きにつながっているんですね。選手だけでなく、監督やコーチ、スタッフの方々も自分でやってみながら聞いていました。

矢野監督(左)に見守られながら、相澤さん(右)に送球動作を教わる横田選手(中)。
矢野監督(左)に見守られながら、相澤さん(右)に送球動作を教わる横田選手(中)。
矢野監督が直接、横田選手の背中を触って説明。
矢野監督が直接、横田選手の背中を触って説明。
動画も撮って、その場でチェックします。
動画も撮って、その場でチェックします。

 この日、横田慎太郎選手はウォーミングアップやベースランニングを本隊でこなしたあと、いつものように下へ移動。安芸ドーム内でバッティングや、サブグラウンドでキャッチボールなどを行うと思っていたのですが、しばらくしてサブグラウンドへ行ってみると、そこには相澤さんと矢野燿大監督、トレーナーの方々など数人に囲まれて投げる動作をしています。

 しばらく見ていたら、矢野監督も「そうそう!それでいいんや」と声をかけたり、自身も動いてみせたり。どうやらスローイングを修正しているようです。やがて「おお~最初と全然ちゃうやん!ビフォーアフターやなあ」という矢野監督の笑顔もありましたが、本人は「はい!」「はい!」と、アドバイスにも称賛にも同じ返事です(笑)。確かに、背中の伸び具合とか素人目にわかるような変化も。私も少しやってみたところ、肩凝りにも効きそうでした。って…すみません。

 そのあと安芸ドームへ向かった横田選手。でも荷物を置いたままなので何かやるんだなとは思ったら、バット手に戻ってきます。ペッパーかな?あれ、バッターボックスに行くの?…ええっ、まさか!

屋外でロングティーをやっちゃいました

安芸ドームへ向かった横田選手はバットを持って再登場し…
安芸ドームへ向かった横田選手はバットを持って再登場し…
ロングティーを始めました!左はトスする手嶋トレーナー。
ロングティーを始めました!左はトスする手嶋トレーナー。

 そのまさかでした。サブグラウンドで始まったのはロングティーバッティングです。安芸ドームの中ではティーバッティング、ロングティーバッティングとも既に何度かやっていて、マシンもカーブ、ストレート、新井良太コーチがピッチャーを務めてのボールも打っている横田選手。しかし、たとえティーバッティングでも屋外で打つこと自体が病気になって以来、初めてのことです。昨年2月の宜野座キャンプ序盤から1年ぶりですね。

 気づいた我々が必死で見つめるせいか、少し照れたようは素振りもありましたが、笑顔をまじえながら50スイング。そのうち17本がダイレクトでネットに当たっています。本来は、チーム本隊が西武との練習試合で春野球場へ出かけている17日に、安芸で屋外フリー打撃を初めてやる予定でした。一日早く、外で打つ横田選手をご覧になったファンの方も、そして春野へ行くためフリー打撃を生で見られない私も、このプチサプライズは大歓迎。フリーの前に、ちょっと様子をみたのかもしれません。

この時間だからできることを

始めてから1時間も経っていないのですが、明らかに動きがスムーズに。
始めてから1時間も経っていないのですが、明らかに動きがスムーズに。
見ていた矢野監督から「いいねえ!」と声がかかります。
見ていた矢野監督から「いいねえ!」と声がかかります。
最後に相澤さん(左)、矢野監督(右)とおさらい。
最後に相澤さん(左)、矢野監督(右)とおさらい。

 では練習後の矢野監督の話からご紹介しましょう。まず横田選手のスローイング修正について。「この前は秋本先生(春や秋のキャンプで何度も指導いただいているプロスプリントコーチ・秋本真吾さん)にも来てもらったけど、今の段階でやれることをやっていこうと。横田は走り方もいいとは言えないので走り方の修正。きょうのスローイングも、修正していこうと思って見てもらった。最後の方はそれなりに形になってたからね。本人も、今後こうやっていけばいいというのがわかっただろう。体操もいろいろ教えてもらったし」

 今の、この時間を生かしてということ?「これがすぐ試合に出るとなると、こういうことはしにくいけど、今の時間を利用してね。もっとバンバン出るようになった時に、いいスローイングやいい走りになれば」

 スローイング、いいと言えなかった?「悪い。コントロールがよくないと本人も思っている。悪送球になってもいいから、教わったことを再現できるように、置きにいかないでと話した。あいつは硬いからねえ。リラックスできるようにやっていけばいい。正面を向いて手を使って投げているだけ。肩を使って、体を回して、最後は背番号が前に見えるように」

焦らず、段階を踏んでと監督

 外でロングティーをしましたが、17日の屋外フリー打撃に備えて?「まあそれもあるんやろうけど、あんまり注目すると緊張するから。こっそり、穏やかに、優しい目で見てやってください(笑)。前に一歩進んでるね。それが問題なくできれば、やれることがまた増える。段階を踏んでやっていく。そのステップアップが、あすのフリー」

ボールをとらえる瞬間は、やはり真剣な表情ですね。
ボールをとらえる瞬間は、やはり真剣な表情ですね。

 少しずつでいいと?「焦らせる気なんて、まったくない!焦らせるのが一番よくないから。俺らは極力、段階を踏んで、ゆっくりやってほしい。本人のことを思えばね。ファンの方は期待すると思うけど、焦らせないよう長い目で見てやってください」。わかりました。こっそり、穏やかに、優しくですね。

 17日の練習試合(西武B班、春野)について「あすは7イニングになったんよ。ピッチャーは福永、竹安、谷川あたり。勝ち負け関係なく7回裏までやる」と矢野監督。そして「上本も出る。あすはDH、18日(高知ファイティングドッグス、安芸)は守ると思う。順調にいけば、呼ばれるかもしれない」。そこ、そこなんですよ。ファンの方が一番気にしているところ!と言ったら「ま、終わってからね」と少しニヤリ?

「すごく嬉しかった!」「ワクワクします」

 横田選手本人のコメントです。外でロングティーをやるのは初めてですよね?「初めてです」。室内ではやっていたけど、感覚は違う?「全然違うんで、すごく嬉しかったですし、少しは前に進めたかなと思う。もっともっと振れる練習も多くしていきたいなと思います」

でも時おり見せる嬉しそうな笑顔が、すべてを物語っています。
でも時おり見せる嬉しそうな笑顔が、すべてを物語っています。

 50スイングで17本がネットを揺らしました。納得できる当たりもあった?「まだまだです。初めてにしては、少しはよかったかなと思いますけど、OKと言える状態じゃない。練習をしっかりしないと。前だけを見てやっていこうと思います」。スローイングの修正については?「自分の欠点だったので、教えてもらってよかったです。スムーズに投げられたので、そこはよかった」とのこと。

 最後に、いよいよ屋外でのフリー打撃ですねと言われた横田選手。「はい、ワクワクします!」と元気な声でした。

 ※なお翌17日に行われた横田選手の屋外初フリーバッティングの様子は、練習試合・西武戦の詳細とともに次の記事でご紹介しています。こちらからご覧ください→<阪神・安芸キャンプ 練習試合で好投の谷川投手が宜野座へ!横田選手の屋外初フリー打撃>

谷川投手、今度は右打者の内角を

 最後に、きょうの西武との練習試合で登板するルーキー・谷川昌希投手の話も書いておきます。前回は1イニングでしたが、今度は2イニング。少し増えましたね。「はい」とニッコリ。相手がNPBのチームというのは?「あんまり…別に意識はないですね」。キャンプ半分で、早くも2試合目の実戦チャンス。「ありがたいです」

きょう西武戦で2イニングを投げる予定の谷川投手。これは16日の投内連係の写真です。
きょう西武戦で2イニングを投げる予定の谷川投手。これは16日の投内連係の写真です。

 どのような課題を持って投げますか?「失投をなくすのと、自分が思っている球をしっかり投げること。コースと強さ、どちらか悪くても、どちらかでカバーできるように。それと前回はみんな左バッターだったので、今度は右バッターへのインコースをしっかり」。ランナーを置いての対策も要りますが、でも出さない方がいい?「それは別に」。なるほど、出たら出たで試せることもあると?「はい」

 話すたびに「お、これはいいコメント」と思わせてくれるルーキーです。いつか“谷川語録”も集めてみましましょうかね。

     <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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